雪太郎のつぶやき

美しいもの、面白いもの、切ないもの、考えさせる物・・・。一人が好きだけど、独りじゃ寂しい。そんな私のつぶやき・・・・。
クラシック音楽が苦手な人にはお薦めできません。暗いのが嫌いな人にはお薦めできません!!お子様にもお薦めできません!!
[謝辞]
父と母に、家族に、多くの慰めと喜びを与えてくれた、過去、現在、そして未来の芸術家達に、感謝!!
[おことわり]
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2009.08.31 Monday

はやみね かおる 「復活!! 虹北学園文芸部」

はやみね かおる
講談社
¥ 1,260
(2009-07-25)

一見アニメの主役風のカバーイラストです・・・誰だっけな〜???(汗)

最近のライトノベルは皆同じようなイラストになってきてちょっとね〜〜・・・それなりに魅力を感じさせてくれないと手に取る気にもなりませんし・・・かと言っていかにも漫画風・・・と言うのも困りもの・・・これなんか・・・ギリギリセーフ!というところですね。(笑)

『「つまり、虹北学園に文芸部はないってこと?」「だから、さっきからそういってるじゃない!」めんどうくさそうな葵のことば。数秒後、すべてを理解したわ たしは、さけび声をあげていた。…そりゃないよ、セニョール。小説家になりたい人も、そうでない人も必読の熱血文芸部物語!はやみねかおるの最新作は、渾 身の書き下ろし』
(〜amazon)

作者のはやみね氏は児童向け?の探偵物などを書いてきた方かな?初めて聞く名前ですが、膨大な作品一覧をみるとちょっと驚かされますね。この本は講談社の創業100周年を祝う「書き下ろし100冊」というシリーズの一冊らしく、作家として一番大事な「作家魂」を高らかに歌い上げている・・・という雰囲気のものです。

青い目に白い肌、長い黒髪の・・・チビ。(笑)小説家志望の中学1年生岩崎マインは、入学早々衝撃的な事実を知る。憧れだった「文芸部」が・・・無い!!と言う事実を・・・。文芸部復活のためには、4月末までに5名の部員を集めなければ・・・。絶望的な状況にも関わらず、ひたすら元気一杯のマインは奮闘する、というお話です。

ま、細かいことは無用ですね。ただただ、パワフルなマインの泣き笑いの様子を、笑いながら見ていれば良いのです。

さすがに、プロの小説家が描く小説家の卵の物語です。創作のヒントやテクニック、本が出来る上で重要な基本的知識などが少しずつですが書かれていて参考になります。また、登場する人物のキャラクターも、作家志望と言っても色々なタイプの人間がいることを考慮に入れて書かれているようで感心します。単なるライトノベルじゃないですね。

とは言っても・・・非常に強烈なキャラクターばかりの上、ストーリーもはっきり言って体育会系・・・ほとんど漫画かな?(笑)

「文芸部」という存在を、「聖」なるものと思っている方にはちょっとショックかも。(笑)

ただ、若い人たちの読書離れが言われている昨今、こんな元気なお話を読めば少しは興味が湧くのではないかと思えます。近い将来に、この本を読んで作家になりました!なんて人が出てきたら良いですね。

続刊を期待したいところです。

2009.08.30 Sunday

放送予定

た、台風が来るのかな?明日は出かけるのに〜〜〜!(汗)


8/31 (月) 2:35 〜 3:30 (55分) BSフジ(Ch.8)
今井美樹LIVE at ブルーノート東京。2007年11月19日(月)・20日(火)「BLUE NOTE TOKYO」で行ったライブ。

9/2 (水) 0:00 〜 0:55 (55分) BSフジ(Ch.8)
INORAN LIVE 2008。LUNASEAのギタリストINORANが、2008年11月24日に渋谷C.C.LEMONホールで行ったライブの模様を、ダイジェストでお送りする。

2009年 9月 4日(金)午前10:00〜午前11:49(109分)BS2
第14回 宮崎国際音楽祭

2009年 9月 4日(金)午後0:00〜午後0:25(25分)教育
スーパーバレエレッスン ロイヤル・バレエの精華 吉田都(2)

2009年 9月 4日(金)午後2:00〜午後3:30(90分)BShi
登川誠仁“伝説のライブ” 沖縄民謡スーパースターの競演

9/4 (金) 22:00 〜 22:55 (55分) BS朝日(Ch.5)
うたの旅人 「青葉城恋唄」さとう宗幸。

2009年 9月 4日(金)午後10:49〜翌日午前0:45(116分)教育
公演コーナー(1) 「東京クヮルテット 〜結成40年・円熟の響き〜」公演コーナー(2) 「カルミナ弦楽四重奏団演奏会」

2009年 9月 4日(金)午後11:20〜午後11:50(30分)BShi
オール・ザット・オーケストラ −サイモン&ガーファンクル−

9/5 (土) 12:58 〜 13:53 (55分) テレビ東京(Ch.7)
モーニング娘。アメリカ初上陸ライブ。国民的アイドル、モーニング娘。が北米最大のコンベンション、アニメエキスポ2009にゲストとして招待された。番組は、「女の子アイドル」として海外で も評価される彼女たちの人気の秘密を探るため、アメリカ本土初のライブや海外ファンとのサイン会に完全密着!秘蔵映像、ロサンゼルスでのオフショットを交 えながら、盛り上がるライブの模様を完全ドキュメントでお届けします!

9/5 (土) 18:30 〜 19:00 (30分) BS朝日(Ch.5)
題名のない音楽会 「第19回出光音楽賞受賞者ガラコンサート」。日下紗矢子(ヴァイオリン)、篠崎和子(ハープ)、谷口睦美(メゾ・ソプラノ)、沼尻竜典(指揮)、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団。

2009年 9月 5日(土)午後8:00〜午後9:30(90分)BS2
“ベンチャーズ”結成50年!エレキギターと駆け抜けた半世紀。

2009年 9月 5日(土)午後11:00〜翌日午前2:09(189分)BShi
ウイークエンドシアター サントリーホール公演 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」

2009年 9月 5日(土)午後11:25〜午後11:55(30分)教育
佐野元春のザ・ソングライターズ「矢野顕子 Part1」。

2009年 9月 6日(日)午前6:00〜午前7:55(115分)BShi
N響 ほっとコンサート2009

2009年 9月 6日(日)午後0:33〜午後2:30(117分)BShi
世界のマエストロ・小澤征爾 オペラ「利口な女狐(めぎつね)の物語」。

9/6 (日) 13:00 〜 14:55 (115分) BSフジ(Ch.8)
辛島美登里クリスマスコンサート2008 ーSILENT NIGHTー FINAL。08年12月22日に「東京芸術劇場 大ホール」でのライブ。

2009年 9月 6日(日)午後4:00〜午後6:00(120分)BShi
世界のマエストロ・小澤征爾サイトウ・キネン・フェスティバル2009。

2009年 9月 6日(日)午後5:00〜午後6:00(60分)総合
甦るビートルズ〜THE BEATLES Rebirth。

2009年 9月 6日(日)午後8:00〜午後8:45(45分)BShi
クラシックミステリー 名曲探偵 アマデウス「ボロディン“ダッタン人の踊り”」。

2009年 9月 6日(日)午後9:00〜午後10:00(60分)教育
N響アワー − 新シーズン開幕〜名指揮者と名曲の饗宴〜 −

2009年 9月 6日(日)翌日午前1:00〜翌日午前4:25(205分)BS2
クラシック・ロイヤルシート ミラノ・スカラ座 歌劇「ドン・カルロ」

FMは・・・。

2009年 8月31日(月)午後7:30〜午後9:10(100分)
ベストオブクラシック・セレクション −マーク・パドモア テノール・リサイタル−

2009年 9月 1日(火)午後7:30〜午後9:10(100分)
ベストオブクラシック・セレクション −モザイク・カルテット−

2009年 9月 2日(水)午後7:30〜午後9:10(100分)
ベストオブクラシック

2009年 9月 3日(木)午後7:30〜午後9:10(100分)
ベストオブクラシック・セレクション −チェロ・グランド・コンサート−

2009年 9月 4日(金)午後7:30〜午後9:10(100分)
ベストオブクラシック・セレクション −ベルリン・フィル 6人のバシストたち−

2009年 9月 6日(日)午後7:20〜午後9:00(100分)
FMシンフォニーコンサート −第28回響きの森クラシック・シリーズほか−

2009年 9月 6日(日)午後9:30〜午後10:00(30分)
吹奏楽のひびき −大阪市音楽団ライブ−(1)


地味なプログラムが多いですが・・・。(汗)

2009.08.30 Sunday

マリさん・・・その(9)

ちょっぴり時間が掛かりましたが(汗)・・・・それでは、アニメ「BLUE DROP」第9話から・・・。


朝の青海寮。


輝く日差しを浴び、屋根瓦の上で戯れる3羽の雀・・・聞こえてくるマリの声、戸を叩く音・・・。

「どうしたの〜?ミッチー・・・急がないと遅刻しちゃうよ〜!!ミッチーってば!!」
「あ〜!!まだ着替えてない!!」入口の引き戸を開けたとたん、ジャージー姿で机に突っ伏したままのミッチーを見つけて驚くマリ。

「・・・何やってんだ全く・・・」

「ん・・・?・・・あら??」呆れたようにつぶやきながらも、普段と違う部屋の様子に気付くマリ。


床や机に散乱する紙屑・・・・・付箋の付いた沢山の本(46冊?)・・・。 眠ったままのミッチーに静かに歩み寄り、寝顔を覗き込むマリ・・・。

「ん・・・?」 かすかな寝息をたてて眠り続けるミッチー。

「頑張ってんだ・・・・脚本・・・・」小さく頷いて・・・つぶやくマリ・・・。

「ん・・・??!!えっ!!」ふと気付いて背後の時計(8時33分)を見返し驚くマリ。

「・・・って言ってる場合じゃな〜い!!」

大きく息を吸い、口の前に両手を揃え、眠り続けるミッチーに向かって叫ぶマリ!(笑)



「こら〜〜〜!!!起きろ〜〜〜!!!!」



朝の寮に響き渡る・・・マリの叫び声・・・あわてて飛び立つ雀たち・・・。(爆)



  「Lagenaria siceraria」   「夜の・・・思い出・・・」



木立の間の通学路。学校に向かうマリとミッチー。


「ふあ〜〜〜〜ぁっ!・・・」歩きながら大きな欠伸をし、途中で気付いて口を閉じ、思わず赤面するミッチー。(笑)

「大丈夫〜?ちゃんと寝てないんじゃないの〜?」かすかに苦笑しながら、横から覗き込んで様子を伺うマリ・・・。

「夕べは調子が良くて・・・ついつい・・・」眠そうに答えるうちにもまぶたが下がり・・・。

「あっ!!」途端につまづいて倒れそうになるミッチー!(笑)

「おっと〜!・・・あんまり無理しない方が・・・」と、後からミッチーの手を取り心配するマリ・・・。

「あぁ・・はい・・・でも〜書いていて久々に手応えあるって気がするから・・・大丈夫です」微笑むミッチー。

「そっか!!」納得するマリ。

「で〜・・・・どんなお話なの!??」一瞬上を向いてから、ミッチーに向き直って顔を寄せ、唐突に聞くマリ。

「そ・・・それは・・・出来上がってからのお楽しみってことで・・・・」戸惑って目を逸らし、声を潜めるミッチー・・・。

「え〜〜〜良いじゃない〜!ちょっとだけ教えてよ〜!」

「でも〜・・・まだ最後とか決まってないし・・・」

んん・・・どっち道ホームルームでも発表するんでしょう?途中まででも良いからさ〜!??お願い!」ミッチーの前に立って胸に手を当て、下から覗き込むようにしてねだるマリ。(笑)

「じゃ〜・・・・大体の粗筋だけ・・・・」マリの視線を受け恥ずかしそうに目を逸らし、紅潮した顔で語りだすミッチー・・・。

     ・
     ・
     ・

2年櫻花の教室・・・黒板には「HR 学園祭の企画」の文字・・・。


椅子に座り、両手を祈るように揃えて語るミッチー・・・。

ミッチーの周りに立って聞き入るクラスメートたち。自分の席で正面を向いたままの萩乃・・・頬杖をつく朱音・・・、後向きで椅子に座り真直ぐにミッチーを見つめるマリ・・・・・・。教室の後方、黒板の前に立って聞き入る裕子先生・・・。

静かに流れるミッチーの声・・・浮かび上がる鮮やかなイメージ・・・。

「ごく普通の少女が、炎で焼かれる夢から醒めて、気が付くと暗い檻の中にいて。

そこはかつて人々から、聖なる少女と崇められたものの、今では異端の烙印を押され、囚人となったジャンヌ・ダルクが捕らえられている、中世の牢獄だったんです。

ふいに眼前に現われた少女を、牢内のジャンヌは悪魔の使いと罵ります。

いきなり悪魔呼ばわりされた少女は、反発して、狭い牢の中で少女とジャンヌは険悪な雰囲気になってしまいます。

すでにジャンヌの処刑を明朝に控えた牢獄に、様々な人々が訪れます。

親切な牢番のおかみ。

ジャンヌを熱狂的に支持していた見習い修道女。

ジャンヌと共に戦った騎士。

少女は、訪れた人達に必死に助けを求めます。

けれど、人々の目には、少女の姿がジャンヌとして映っているのです。

少女の目には見えている牢内の本当のジャンヌの姿や声は、訪れた人々には分からないんです。

少女をジャンヌと思い込んだ人々と接し、傍らのジャンヌの話を聞くうちに、少女は、ジャンヌの孤独な胸の内を理解していきます。

それまでジャンヌは、自分の心の中を人にさらけ出す事も出来ずにいて、辛い事も、苦しい事も、悲しいことも、全て自分ひとりで抱え込んでいたんです。


屈託のない少女に接する内に、ジャンヌは徐々に心を開いていきます。

全てに絶望し、諦めていたジャンヌは、いつしか、自分の命に代えてでも大切にしたいものを再び見つけます。

誰でも希望を持つことが出来る・・・諦めずに信じ続けることが・・・きっと何かを変えていく・・・。

未来を恐れず、希望を捨てない事によって・・・・・



揺れる眼差し、組んだ両手に力を込めて、熱っぽく語るミッチー・・・。

「ぇ・・・そんなお話を書ければ良いなって・・・思ってるんですけど・・・」ふと我に帰って周りを見渡して、クラスメートたちの視線と沈黙に戸惑うミッチー。

「・・・・・・・・あ・・・あの・・・ダメだったらまた、別のお話を考えますから・・・

ミッチーを見つめる萩乃・・・椅子から突然立ち上がるマリ。

「そんな事無い!!スッゴク良かったよミッチー〜〜〜!!」涙を浮かべた目、感激の面持ちでミッチーの手を取って何度も振るマリ。同じように感激の声を上げるクラスメートたち。

「あ・・・・・・?!」自分に向けられた歓声に戸惑うミッチー・・・。

「香月さん素適〜!!」「感動したわ・・・」「凄いじゃない!!」「何て良いお話なの〜?!!」「俄然やる気になってきた〜」沸き返る2年櫻花。

目を見開き、信じられぬ面持ちのミッチー・・・・。



「は〜い。じゃぁ皆席について〜」パンパンと手を叩いて促す裕子先生。

「素晴らしかったわ・・・・香月さん・・・・」ゆっくりと教卓に向かって歩く途中、ミッチーの背に手を当て小声で賞賛する祐子先生。息を飲み、頬を紅潮させたまま興奮の収まらぬ様子のミッチー・・・。

「え〜と・・・それじゃ〜脚本は引き続き香月さんに頑張って貰うとしてぇ・・・」教卓にもたれながら・・・おもむろに萩乃の顔を見つめる祐子先生。意を受けて小さく肯き、苦笑しながら立ち上がる萩乃。

「学園祭まで、後一ヶ月少しです。先ほど、香月さんが発表して下さったお話を上演することを前提に、今の段階で出来る準備を始めたいと思いますが、どうでしょうか?」言いながらクラスを見渡す萩乃。

「賛成〜!」声を合わせる2年櫻花。


「ですから・・・・・・まずは、衣装や大道具の材料の準備を・・始めないと・・・・です・・・」黒板の前で、自信なさそうに言うミッチー。その横で、中世フランス、牢獄、配役(脚本待ち)、大道具、小道具、衣装・・・と板書していく萩乃。

「もちろん、香月さんの脚本が終わらないと・・・正確な所は分かりませんが・・・」向き直って言いながら、小さく肩をすくめてミッチーを見つめる萩乃・・・。

「あ!す・すみません・・・」慌てて頭を下げるミッチー。

「謝ることないよ〜」「期待してるからね〜」「頑張ってね・・・」クラス中から次々に掛かる励ましの声。息を弾ませ、身を縮め、うつむき加減で聞き入るミッチー・・・横顔を見つめる萩乃・・・。

「まずは品物の下見と・・・最低限用意する物の買い出しが・・・必要ですね・・・。とりあえず必要な物として・・・模造紙・・・ボール紙・・・」淡々とした口調で要点をまとめ、板書していく萩乃・・・教卓を前にうつむいたままのミッチー・・・。


窓際から・・・その様子を見つめる・・・BLUEのアジサシ・・・。

     ・
     ・
     ・

「エカリルは・・・お前の艦のコマンダーは・・・いったい何をやっているのだ?」

海底のBLUE艦橋。モニターをみつめながら、いぶかしむアザナエル・・・。

「あれは・・・フォリメの生態調査で・・・れっきとした探査任務だ!」口ごもりながら・・・思わず目を伏せ・・・最後には強弁するツバエル。(笑)

「探査?・・・遊んでいる様にしか見えんな!」腕組みをしたまま、呆れたように言うアザナエル。

「捕虜のくせにうるさい!」立ち上がって食ってかかるツバエル。

「コマンダーには・・・ちゃんとしたお考えがあるのだ・・・」

「我々が口を出すことではない・・・」静かに告げるツバエル・・・。

「お考え・・・か・・・・」皮肉たっぷりに言いながら・・・考え込むアザナエル・・・胸に掛かるペンダント・・・。

    ・
    ・
    ・

その頃、1番艦ノヴァールでは、連絡が途切れたアザナエルに関する報告を聞くシバリエルが・・・。

「ヤツならば確実に任務を遂行しよう・・・あの艦を確実に・・・」片目を細め、不適な表情でつぶやくシバリエル・・・。

同じ頃、BLUEのハンガーに安置されたアザナエルの乗機では・・・機首のランプが赤く明滅し・・・。

     ・
     ・
     ・

「え〜〜〜!!」

「じゃぁ萩乃様は〜!?」「早退してお出かけにぃ〜??!!」「しかもあの女と二人っきりでぇ〜??!!!!」(怒)

二年櫻花の入り口でミッチーを前にして、衝撃的な事実を聞いて叫ぶ親衛隊!(笑)

「買い出しと下見に・・・隣の町まで行くことになって・・・」肯きながら説明し、ゆっくりと後ろを振り向くミッチー・・・。

黒板に書かれている「あみだくじ」・・・ピンクのチョークで丸が書かれている名前は「千光寺」と・・・太陽マークも付け加えられた「若竹」・・・。


駅の構内に鳴り響く発車のベル。懸命に階段を駆け下り、閉まりかけた電車のドアをかすめて滑り込むマリと萩乃・・・。走り出す電車・・・荒い息の下から顔を見合わせ、ほっとして思わず笑い合う二人。


「く、悔しい〜〜〜!!」

こだまする・・・親衛隊の叫び!!(笑)

・・・」当惑して・・・顔を引きつらせるミッチー・・・。(汗)


カーブした海沿いの線路を走り去る・・・二人を乗せた電車・・・。

     ・
     ・
     ・

「わぁ〜〜!!凄い〜〜!!」開け放った窓から身を乗り出すようにして、目の前に広がる海と、汽笛を鳴らしながら悠然と航行する白い大型客船を見つめるマリ。

「窓・・・閉めてくれる・・・」風になびく長い黒髪を押さえ、手にした手帳を見つめながら、迷惑そうに言う萩乃・・・。

・・・うう〜ん・・・・!」ふくれっ面で萩乃を見返してから、ふてくされて、叩き付けるように窓を閉めるマリ。(笑)

他に乗客の見あたらない・・・静かな車内・・・。

「資材と生地と後は・・・」小声でつぶやきながら、手帳にメモを書き付ける萩乃・・・

「ねえ・・・」頬杖をして、併走する客船を見つめたまま・・・萩乃に声をかけるマリ・・・。

「なに・・・?」

「前に港で見たあの大きいやつってさぁ・・・」

「ん・・・何?!」はじかれたように顔を上げ、マリを凝視する萩乃・・・。

「あれ・・・あなたの船なんでしょう・・・・?」客船を見つめたまま静かに問いかけるマリ・・・。

「・・・・そうよ・・・それがどうかした・・・?」一瞬の沈黙を経て手帳に視線を戻し・・・平静を装って答える萩乃・・・。

「なんだかさぁ・・・初めて見る気がしなかったのよねぇ・・・・」

「・・・・そう・・・・不思議ね・・・・」メモの手を休めることなく・・・無表情で答える萩乃・・・。

「う〜ん・・・・どうしてかなぁ・・・・」ぼんやりと外を見つめながら・・・考え込むマリ・・・。

「・・・乗せてあげましょうか・・・?」手帳に目を落としたまま・・・静かに問いかける萩乃・・・。

「え!・・・・あの船に??!・・・・・本当??!!」驚いて萩乃に向き直るマリ。

「・・・・ええ・・・・」真っ直ぐにマリを見つめ・・・小首を傾けて答える萩乃・・・。

「やった〜!!」椅子から腰を浮かせて喜ぶマリ。

「・・・怖く・・・ないの・・・?」戸惑ったように問いかける萩乃・・・。

「何が?」不思議そうなマリ・・・。

「・・・私達の・・・・・・」口ごもる萩乃・・・。

轟音と共に突然トンネルに入り真っ暗になる車内・・・数秒の後、点灯した車内灯の下で見つめ合う二人・・・。

「・・・本当はさぁ・・・船だけじゃぁ・・・ないんだよね・・・」視線を落とし、ためらいがちに話し出すマリ・・・。

ん・・・?」見つめる萩乃・・・。

「・・・あなたのことも・・・昔から・・・知っているような・・・気がしてたんだ・・・・」かすかに頬を染め・・・視線を逸らし・・・囁くようなマリの・・・声・・・。

暗いトンネルを背景に、マリを凝視する・・・萩乃の・・・横顔・・・。

轟音と共にトンネルを抜け、海辺の街に向かって遠ざかる、二人を乗せた電車・・・・。

     ・
     ・
     ・

立ち並ぶビル・・・溢れる車・・・多くの人が行き交う町中・・・。

はァ・・・・・凄いね・・・まるでお祭りみたい・・・!」周囲を見回して圧倒されるマリ。

「キョロキョロしないで、行くわよ!」横目でマリを見ながら、トートバッグを肩に歩き出す萩乃。

「ええ!ちょっと待ってよ!ねぇ〜〜!」慌てて後を追うマリ。


ビルにかかる看板の上から、そんな二人を観察するBLUEのアジサシ・・・。


画材店で店員に説明を聞きながらメモをとる萩乃・・・物珍しそうに見回すマリ。

意見を聞こうと?振り返った萩乃の前にマリは居ず・・・離れた場所でオモチャに見入るマリ。

顔をしかめながらマリを探し、しゃがみこんだマリの姿を認めてため息をつく萩乃・・・。(笑)

後ろからマリの肩に置かれる萩乃の手・・・気付いて振り返るマリ・・・。

その目に映るエイリアンの不気味な顔!悲鳴を上げて尻餅をつくマリ!(笑)

良く見れば・・・目の前にあったのはエイリアンの印刷されたオモチャの箱・・・その裏から現れる・・・萩乃の笑顔・・・。

画材店の中を見て回る萩乃・・・高い棚を、惚けたように見上げるマリ・・・。

盛んにメモをとる萩乃・・・その顔を突然覆う白いベール・・・不思議そうに振り返った萩乃が見たのは・・・。

頭に白いベール・・・両手に真っ赤な薔薇のブーケを抱き、うつむき加減で瞳を閉じ・・・花嫁を演じるマリ・・・・・・一呼吸おいて萩乃に向けられる・・・・花のような・・・マリの笑顔・・・・。

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夕焼けに染まった街・・・遊園地のスナックコーナーで一休みする二人・・・。

「これで・・・大体揃ったかな・・・?」メモを手に、足元の荷物を点検する萩乃。

ドリンクを飲みながら見つめるマリ。

「あ〜疲れたぁ〜!」椅子にすわったまま、大きな伸びをしながら叫ぶマリ。(笑)

「あなた!何もしてないじゃない!」呆れる萩乃。(笑)

「確かに〜!」悪びれる様子もなく答えるマリ、ため息をつく萩乃。(笑)

「そうだ!無事に買い物を済ませたご褒美にさぁ〜〜・・・ん!」頭上を指さすマリ。

「え??」不思議そうに視線を巡らす萩乃・・・。

そこには、真っ赤な夕日にクッキリと浮かび上がる・・・観覧車・・・・。

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「凄〜い〜!!」かすかにキシミ音を上げながら上昇するゴンドラの中、歓声を上げるマリ・・・。

夕日の中に浮かび上がる町並み。その先の海と・・・島々・・・。

「綺麗だねぇ〜!学校のある街とは大違いだぁ〜!」立ったまま、窓に顔を寄せて興奮した面持ちのマリ。

「そんなに離れていないんだけど・・・この街はターミナルがあるから・・・」椅子に座ったまま落ち着いて話す萩乃。

「あっちが学校かぁ〜・・・」

「ここからじゃぁ見えないわね・・・」

夕暮れの光景を静かに見つめる二人・・・。

「・・・・・・ねぇ・・・」言いにくそうに切り出すマリ・・・。

「・・・ん?・・・」不思議そうに視線を向ける萩乃・・・。

「・・・・帰りはさぁ〜・・・・・歩いてみない?・・・」背を向けたままうつむき加減で、恐る恐る言い出すマリ。

「歩いて?・・・3時間位・・・かかるわよ・・・」戸惑ったように答える萩乃。

うう・・・やっぱり遅くなっちゃうとマズイかなぁ・・・」肩をすくめるマリ。

夕日を浴びながら、ゆっくりと回転していく観覧車・・・。

「寮には電話を入れておけば良いけど・・・でも、どして?・・・」

「最近運動不足だしさ・・・もう少し歩いてみたいなぁ〜・・・なんてえ・・・」額を窓に付けたまま、頬を赤らめ・・・恥ずかしそうに答えるマリ。

「・・・そうね・・・」静かに答える萩乃・・・。

「え?!・・・良いの〜?」驚いて、意外そうに顔を向けるマリ。

「・・・・・私も・・・・もう少し・・・歩きたい気分だから・・・・」

吐息をつきながら頷き・・・マリから夕日にを視線を逸らしてながら・・・ゆっくりと・・・囁くように答える・・・萩乃・・・・。

ああ・・・・・・」声を失い・・・萩乃の横顔を・・・見つめる・・・マリ・・・・。

夕日を見つめる2人・・・上昇を続けるゴンドラ・・・その上に降り立つ・・・BLUEのアジサシ・・・。

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「おいBLUE!このモニター行為も、正規の作戦行動なのか?!」艦橋で腕を組み、顔をしかめて問いかけるアザナエル。

「コマンダーよりの指示は出ていない・・・」答えるBLUE。

「これは・・・私の・・・自発的な作戦行動だ!」恥ずかしさから顔を赤らめ、顎を突き出すようにして言い張るツバエル。(笑)

「浮かれたコマンダーに、覗き趣味のガンナーか・・・この艦の規律はどうなっている!!?」呆れるアザナエル。

「う・・・うるさい!」思わず立ち上がり、食ってかかるツバエル。(笑)
 
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「はい。伝えます。それじゃ・・・」暗くなった夜空の下の青海寮。

「千光寺さんからでした。少し遅くなるから、心配しないようにって」電話室から出てソファーでくつろぐ船津丸と朱音に伝えるミッチー。

「ん?・・・ま〜た若竹が、我が儘言ってんじゃないの?」料理雑誌を見ながら皮肉を言う朱音。

「心配いらないって!萩乃が一緒なんだから!」海王新聞を見ながらなだめる船津丸。

「ま、そりゃそうだ〜」声を上げて笑い合う2人。

そのやりとりを、無言で見つめるミッチー・・・。

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暗い夜空を背景に輝く町並み・・・坂道を下っていくトラックの四角い影と赤いテールランプ・・・。

ユウガオの花が絡みつく道路脇のポール・・・。

肩を並べ・・・人通りのない坂道の歩道を、ゆっくりと上がってくる・・・マリと萩乃・・・。

「最初は・・・・あなたと二人で買い物なんて・・・冗談じゃない!・・・て、思ってたけど・・・」紙袋を両腕で抱え込んで意外そうに言うマリ。

「・・・それはお互い様よ・・・」微笑みながら言い返す萩乃。

「ん・・・何〜!?」萩乃に向かって睨むように顔を向けながら・・・小声で笑うマリと・・・萩乃・・・。

「でも・・・不思議だね〜・・・」

「何がぁ?・・・」

「こんなに・・・色々な話ができるとは・・・思わなかった・・・」かすかに紅潮した顔を上げ・・・しみじみと言うマリ・・・。

「・・・・・・・・・それも・・・お互い様!」マリの横顔をしばらく見つめてから・・・ぷいと横を向くようにして・・・思わせぶりに答える萩乃。(笑)

「もう・・・・ずるいぞ〜!」むくれるマリ。(笑)その横を逃げるように駆け出す萩乃・・・。

車道を次々と下ってくる車・・・広い歩道を・・・笑い声をあげながら駆け上がっていく・・・マリと萩乃の後ろ姿・・・。


背後の標識の上から二人を見つめる・・・BLUEのアジサシ・・・・。

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    ・

「全く・・・緊張感のカケラもない!」艦橋で、呆れたように言い放つアザナエル・・・。

「コマンダーは・・・何かを探しておられるのかも知れない・・・」モニターに映るマリと萩乃を見つめながら、考え込むようにつぶやくツバエル・・・。

「どう言うことだ?」不審そうに問いかけるアザナエル。

「私にも分からないが・・・ただ・・・・」小さく首を振ってから・・・言い淀んで目を見開くツバエル。

「ただ?・・・」

「あのフォリメに・・・会ってからだ・・・・」モニターに目を向けるツバエル。

「んん・・・??」不思議そうに視線を巡らすアザナエル。

「あんな風に・・・笑うようになられたのは・・・・」

笑顔を交わしながら走り続ける・・・モニターの中のマリと萩乃・・・。

痛ましげに・・・見つめ続けるツバエル・・・。

打たれたように・・・無言でたたずむ・・・アザナエル・・・。

広い艦橋にかすかに響く・・・マリと萩乃の・・・子供のような・・・笑い声・・・・・・。

モニターの中を・・・走り続ける・・・二人・・・・・・。

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痛みをこらえるようにゆっくりと運ばれる足・・・丸められた模造紙の入った紙袋を抱えながら、苦痛に顔をしかめるマリ・・・。
車道を走り去る車のライトに浮かび上がるのは、無言で先を歩きながら、ふと気付いて振り返る萩乃の姿・・・。

「どしたの?」不思議そうに問いかける萩乃。

「ど・・・どうもしないよ!あ〜おなか減ったねぇ〜!へへっ」街灯の下で冷や汗をかきながら、強がって笑顔を見せるマリ。

「ん・・・」向き直って、再び歩き出す萩乃・・・歯を食いしばり、右足をかばいゆっくりと後を追うマリ・・・。

     ・
     ・
     ・

「このフォリメは・・・あの事故に関係が?」モニターに映るマリを見て、問いかけるアザナエル。

「ん・・・特殊な能力も・・・おそらくは・・・」頷いて、慎重に答えるツバエル。

「接触テレパスか・・・」考え込むアザナエル・・・街灯と街灯の暗闇に、小さく映るマリと萩乃・・・。

     ・
     ・
     ・

同じ頃の海王学園・・・窓際の地球儀・・・ガラスに映る室内・・・。

「平成11年度在校生徒名簿」を脇に、ワープロで、マリに関するレポートを作成する祐子先生。

「現状、若竹マリの周囲に変化は見られず・・・か・・・」

画面に映るのは生徒名簿、No.1019062「川嶋朱音」、No.10196068「香月みち子」、No.1019077「千光寺萩乃」・・・住所・・・岡山県倉敷市味刺2−8−1・・・。

突然表示される「!ERROR!」と、ワープロのアラーム音。

「ん・・・?」操作を続ける祐子先生。繰り返し鳴るアラーム音・・・。

「どう言うこと??・・・ここだけにプロテクト??」

不審がる祐子先生・・・「!ERROR!」表示のままの・・・萩乃の画面・・・。

     ・
     ・
     ・

ゆっくりと抜かれる靴・・・親指の付け根が赤く染まったマリの右足・・・。

「マメがつぶれちゃってる・・・」しゃがんだまま、マリの靴を手に痛々しげにつぶやく萩乃・・・。

「だ、大丈夫だよ!行こう!」バス亭のポールに手をかけながら、強がりを言うマリ。

「お・・・ん!」萩乃から靴を受け取り履こうとしたが、後ろによろけて右足を突き・・・・。

「痛っ!」顔をしかめるマリ・・・足元に転がる靴・・・。

ああ・・・」ため息をつき、跪いてマリの足元の靴を拾う萩乃・・・。

「どうしよう・・・・もう・・・バスも終わってるし・・・・」手にした靴を見て、考え込む萩乃・・・。

突然辺りを満たす雨音・・・。

「あぁ・・・・!」暗い空を見上げ・・・顔をしかめる萩乃・・・。

暗い夜空・・・心細い街灯の灯り・・・降り注ぐ・・・雨粒・・・。


道路脇の壊れた看板・・・「売り店舗」の張り紙・・・。


雷が鳴り、本降りとなった雨の中、薄暗い街灯に浮かび上がる、暗く、小さなドライブイン・・・。


暗い室内・・・壁に掛かったままのメニューの木札・・・テーブルの上に伏せられた椅子・・・荒れ果てた店内・・・。

かすかな外光に浮かび上がる・・・・窓際のテーブル・・・向かい合って長椅子に座る・・マリと萩乃・・・。

呆然とした様子・・・ゆっくりと・・・手にしたハンカチで、濡れた髪の毛を拭くマリ・・・。

轟く雷鳴・・・稲光に浮かぶマリの姿・・・。

「凄い雨・・・」つぶやくマリ・・・窓の外を見つめる二人・・・。

「当分止みそうにないわね・・・」静かに言う萩乃・・・濡れた窓ガラスを通して見えるぼんやりとしたマリの姿・・・。

「あっ!」

「どしたの?」

「に・・荷物!・・・え!!」慌てて周囲を探し回るマリ。

・・・さっき靴を脱いだ時ね・・・小降りになったら取りに行ってみましょう・・・だいじょぶよ・・・」

涙目になったマリを見て慰める萩乃・・・。

「でも・・・ボール紙と模造紙・・・」泣きべそをかきながらつぶやくマリ。バス亭の路上で雨に打たれる紙袋と模造紙・・・。

     ・
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     ・

「大丈夫かなぁ・・・」青海寮の読書室で、雷鳴を聞いて脚本を執筆する手を止め、外を見ながら二人を案じるミッチー・・・。

     ・
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     ・

「よく降るわねぇ・・・・」暗い店内・・・外を見ながらつぶやく萩乃・・・長椅子の上で膝を抱えてうつむいたままのマリ・・・。

「足・・・・まだ痛む?・・・・」優しく問いかける萩乃・・・無言のマリ・・・。

「気にしなくて良いのよ。荷物だったらまた買えば良いんだから・・・」

「馬鹿みたいだアタシ・・・調子に乗って・・・こんな・・・」膝小僧に顔を埋め・・・身を縮めて、すすり泣くようにつぶやくマリ・・・。

暗い夜空・・・心細い街灯の光・・・殺風景な暗い店内・・・ソファの上の・・・心細げなマリの足・・・雨に打たれる・・・模造紙・・・無言で見つめる萩乃・・・。

横を向いて何かを探す萩乃・・・立ち上がる靴音・・・。

うつむいたままのマリ・・・その体にかけられる布・・・。

「ん・・・?」気付いて顔を上げるマリ・・・。

マリの横に座り、布で二人を包もうとする萩乃・・・。

「冷えちゃうから・・・」横からマリを覗き込むようにして囁く萩乃・・・。

・・・」泣きながら・・・再び顔を伏せるマリ・・・。


激しく降り続く雨・・・街灯の青い光・・・暗い店内・・・窓際に・・・小さく寄り添う・・・二人・・・。


稲光に浮かぶ・・・寂しそうな萩乃の表情・・・。


「私達の・・・星にはね・・・」静かに語り出す萩乃・・・うつむいたままのマリ・・・。

「地球で言う、女性しか存在しないの・・・」寂れた暗い店内・・・壁の「瀬戸内紀行」のポスター・・・。

「それでも・・・生殖は可能なんだけど・・・」カウンターの上の・・・ガラスの割れた壁掛け時計・・・。

「このままでは滅んでしまうことが・・・分かってるの・・・」青白く・・・ほのかに明るい窓・・・。

「だから・・・この星に・・・」小さく横を向き・・・視線を逸らす萩乃・・・稲光に浮かび上がる・・・表情・・・。

「う・・・?」体にかかる布を引かれ・・・横を見る萩乃・・・。

・・・」そこには・・・疲れ切った様子で・・・寝息を立てるマリが・・・。

激しい雨音・・・窓際に小さく見えるマリと萩乃・・・。


その様子を、街路灯の上から見つめるBLUEのアジサシ・・・赤く光る双眼・・・。

     ・
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     ・

「あ、あいつは!・・・自分が何を言ってるのか分かっているのか?!!」声を震わせるアザナエル。

「軍規であるアルメの内情を・・・一体どう言うつもりだ!」

街灯の傘の上・・・雨に打たれながら二人を凝視するアジサシ・・・。

「私は・・・コマンダーを信じている・・・」モニターを見つめながら、静かに語るツバエル・・・。

「オノミルも同じだった・・・」

「えっ?!・・・んん・・・」一瞬息を呑み・・・視線を逸らせるアザナエル・・・。

「お前にも・・・信じろとは言わん・・・」蘇るオノミル最期の姿・・・。

「だが・・・分かってはもらえないか・・・」アザナエルを見つめ懇願するツバエル・・・。

「コマンダーが・・・どれだけご自分を責め苛んできたのかを・・・」痛ましげに俯き、再びモニターを見つめるツバエル・・・。

んん・・・・」溜息をつき・・・モニターに視線を移すアザナエル・・・。

モニターの中のドライブインの暗い窓・・・。

肩を寄せ合い、小さく映る・・・マリと萩乃・・・・・・。

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     ・

轟く雷鳴・・・。

寝入ったまま・・・突然息を荒げる萩乃!!

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「コマンダーの脳波パターンに変化!」急変を告げるBLUE!鳴り響くアラーム!

息を呑むツバエル!

「接触テレパス??!!」叫ぶアザナエル!

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連続する雷鳴!眠ったまま苦しげに白い息を吐く萩乃・・・蘇る・・・悪夢・・・。



闇夜に浮かぶ、周囲を火に包まれた神隠島の遠景・・・夜空を横切る光。

上空からの光線に包まれて白く輝くBLUE!

「エミルフォースドライブの内圧上昇!制御が効きません!」急を告げるツバエルの声!響き続けるアラーム音!

「コマンダー応答して下さい!コマンダー!・・・」

双胴機で神隠島上空を飛ぶエカリル・・・。

「こんな!・・・こんなこと!!」眼下に広がる荒涼とした島!散乱する死体!!悲痛な叫びを上げるエカリル!

「こんな!!」死体の握る刃物・・・切断された人体・・・動揺するエカリル・・・。

「コマンダー!コマンダー!応答して下さいコマンダー!!」繰り返すツバエル。

双胴機のモニターに映る、生命反応を示す赤い光点・・・。

「ハッ!!」モニターに見入るエカリル!

「このままでは・・・機関がもちません!」切迫したツバエルの叫び!

エカリルの瞳に映る・・・モニター上の光点・・・。

息を呑む・・・エカリル・・・・。

轟音をあげて・・・飛び去る双胴機・・・・。


轟く雷鳴!!

稲光に浮かび上がるマリと萩乃・・・身を寄せ合い・・・寝入ったまま白い息を吐き、苦しげな二人・・・。


天空からBLUEに降り注ぐ光!

「コマンダー!ブリッジからはコントロール不能!オノミルが、オノミルが機関室に!!」

暗い神隠島上空を、何度も横切る光の波・・・。

「オノミル!そこは危険だ!退避しろ!」

風防が開き、無人となった双胴機・・・。

「オノミル!!」絶叫するツバエル・・・。

海中に飛び込み・・・深みを目指すエカリル・・・。

あっ!」沈んでいく人影をみとめ、歯を食いしばって腕をかくエカリル・・・。

暗い水底に向かって沈んでいく・・・幼い少女・・・次第に近づくエカリル・・・。

開かれる少女の目・・・ほのかに明るい海面を背景に、近づいてくる長い髪の人影・・・。

ゆっくりと伸ばされる少女の両腕・・・見つめるエカリル・・・差し伸べる白い手・・・。

沈んでいく二人・・・触れ合って・・・握りしめられる・・・二人の・・・手と手・・・。

次第に明るさを増す海面・・・不思議そうに見つめる少女・・・涙を流すエカリル・・・・。

急激に白熱する海面!まばゆい光に包まれていくマリと・・・エカリル・・・。

爆発と同時に、火球に包まれるBLUE!

爆風と光線に包まれ・・・消えて行く・・・神隠島・・・。

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     ・

「ハッ!」

意識を取り戻し、両目を見開くマリ!

轟く雷鳴・・・・。

暗い室内・・・目覚めた二人・・・降り続ける雷雨・・・。

「あなたが・・・」萩乃に目を向け・・・囁くマリ・・・。

「・・・・」無言で・・・顔を背ける萩乃・・・。

「あなたが・・・私を・・・助けてくれたのね?!」萩乃の顔を覗き込みながら問いかけるマリ。

「・・・・・そうなんでしょ?・・・・」

「・・・・・・・・ん・・・・・・・・・」かすかに頷く萩乃・・・。

・・・・・・・・・・・!!」声にならない声を上げ、被っていた布をはらって、泣きながら萩乃にしがみつくマリ・・・。

「あ・・・・・・」戸惑う萩乃・・・。

「ありがとう!・・・ありがとう!・・・・萩乃〜!」泣きじゃくるマリ・・・・。

呆然としたまま・・・ゆっくりと・・・マリの背にまわされる・・・萩乃の手・・・。

泣き続けるマリ・・・無表情のまま・・・溜息をつく・・・萩乃・・・。

轟く雷鳴・・・・。

稲光に浮かぶ・・・抱き合ったままのマリと萩乃・・・。

     ・
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     ・

画像が切れたBLUEのモニター・・・・。

俯く・・・ツバエル・・・。

呆然と見つめる・・・アザナエル・・・。

「あのフォリメを・・・助けた・・・・」

「オノミルを・・・・・見殺しにして・・・・」

揺れる瞳・・・信じられない面持ちで・・・苦渋に満ちた言葉をつぶやく・・・アザナエル・・・・・・。

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     ・

轟く雷鳴・・・・・。

暗いままの窓・・・・闇に沈む・・・・・・ドライブイン・・・・・・。

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     ・
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   (続く)


では・・・最初から見所を・・・。

まずは・・・3羽の雀ですが・・・可愛いですね。(笑)

そして、ミッチーの自室に散乱する大量の資料に驚かされます。一冊一冊内容を吟味して描いているのか???まさかね・・・。(笑)多分、大倉監督の思い入れの強さがあの大量の本に現れているんでしょうね。

「Lagenaria siceraria」   「夜の・・・思い出・・・」

え〜と・・・ユウガオだったかな?花言葉もどこかにあったかと思います。それなりに意味深ですね。
BLUE DROPは夜の物語だと思います。濃密で、暗く、切ないお話です。マリと萩乃の過した一夜の、余りにも濃密な、切ない「思い出」です・・・。

浮かび上がる鮮やかなイメージ

この場面の挿絵?は「りちゅうぞんび」さんの作品で、ぞんびさんのHPでは日記がもう見られなくなっていてはっきりしませんが、2007年の3月か4月頃?にアニメプロダクションと打ち合わせが行われたと書かれていたと記憶しています。今回改めて見てみたら、最初は殺風景だった背景が、ジャンヌと少女の中が良くなるにつれて一輪の薔薇の蕾が咲き、さらには花園になっていくという事が分かってちょっと驚きました。中々見物なのですよ!

そして・・・ジャンヌと萩乃を象徴する薔薇がここに・・・・。

少女をジャンヌと思い込んだ人々と接し、傍らのジャンヌの話を聞くうちに、少女は、ジャンヌの孤独な胸の内を理解していきます。

それまでジャンヌは、自分の心の中を人にさらけ出す事も出来ずにいて、辛い事も、苦しい事も、悲しいことも、全て自分ひとりで抱え込んでいたんです。


屈託のない少女に接する内に、ジャンヌは徐々に心を開いていきます。

全てに絶望し、諦めていたジャンヌは、いつしか、自分の命に代えてでも大切にしたいものを再び見つけます。

誰でも希望を持つことが出来る・・・諦めずに信じ続けることが・・・きっと何かを変えていく・・・。

未来を恐れず、希望を捨てない事によって・・・・・



この部分は特に言うことはないかな。このBLUE DROPという物語の全てがここに・・・。


目を見開き、信じられぬ面持ちのミッチー・・・・。

影の主役ミッチーにとっての晴天の霹靂のような場面ですね。良家の子女達の間で、ひたすら目立たなかったミッチーが、初めて存在を認められたのです。良かった良かった。(笑)

「・・・怖く・・・ないの・・・?」「・・・私達の・・・・・・」

マリと萩乃の電車の場面ですね。マリの記憶が戻って来つつある・・・。その事実におののく萩乃の描写が凄いですね。そして、怖くないの?と聞く萩乃・・・。自分が侵略者であり、加害者であるという自責の念に苛まれている萩乃の、正直な気持ちが表れています。だからこそ・・・距離を置かなくてはならない・・・・そんな気配もあって切ないのですね・・・。

「・・・あなたのことも・・・昔から・・・知っているような・・・気がしてたんだ・・・・」

対してマリは・・・運命的なものを感じながらもその正体が分からず、ひたすら萩乃に思いを寄せる様子が・・・痛々しい・・・。それが、萩乃にとっては両刃の剣になっているとも知らず・・・。

頭に白いベール・・・両手に真っ赤な薔薇のブーケを抱き、うつむき加減で瞳を閉じ・・・花嫁を演じるマリ・・・・・・一呼吸おいて萩乃に向けられる・・・・花のような・・・マリの笑顔・・・・。

何も言うことはありません・・・。萩乃にとっての大切な情景です。しっかりと脳裏に刻みましょう・・・。このような何気ない光景の積み重ねが、全話を見終わったときに生きてくるのですが、そこまで考えて作られていることに驚かされます。


吐息をつきながら頷き・・・マリから夕日にを視線を逸らしてながら・・・ゆっくりと・・・囁くように答える・・・萩乃・・・・。ああ・・・・・・」声を失い・・・萩乃の横顔を・・・見つめる・・・マリ・・・・。

う〜ん・・・美しい・・・・。

この観覧車の場面も電車の場面も、顔の表情を見せなかったり視線をそらせたままの描写が多いのですが・・・それぞれの場面で二人が何を考えているのか?本音は何か??そんな事を思いながら見つめる時間が・・・至福です・・・。見る者の想像力を刺激し、二人の心に寄り添う様に・・・そんな風に考えて作られているのでしょうか?凄いです・・・。

「こんなに・・・色々な話ができるとは・・・思わなかった・・・」「・・・・・・・・・それも・・・お互い様!」

お互いに、初めて本音を言い合った場面ですね。ずっと・・・ずっと・・・話したかった・・・。そんな気持ちがにじみ出しています。


「コマンダーは・・・何かを探しておられるのかも知れない・・・」「あのフォリメに・・・会ってからだ・・・・」「あんな風に・・・笑うようになられたのは・・・・」

エカリルをずっと見つめ続けてきたツバエルだからこそ言える言葉です。もちろん、その答えも知っているはず・・・でも言えないですよね・・・それほどに・・・アルメの美学は・・・重いんです・・・。


モニターの中を・・・走り続ける・・・二人・・・・・・。

第4話の最後と同じです。二人だけで走る場面は、とても切なく・・・美しい・・・無垢なる魂の触れ合い・・・。そして・・・この光景は・・・はかないもの・・・。


激しく降り続く雨・・・街灯の青い光・・・暗い店内・・・窓際に・・・小さく寄り添う・・・二人・・・。

運命的な二人の存在を象徴するような光景です・・・。


「私は・・・コマンダーを信じている・・・」「コマンダーが・・・どれだけご自分を責め苛んできたのかを・・・」

ここも切ないね・・・。エカリルの苦しみを知りぬいているツバエルです・・・愛すべき上官を懸命に支えようという部下の姿が麗しい・・・。

「コマンダーの脳波パターンに変化!」急変を告げるBLUE!鳴り響くアラーム!

何気なく書かれていますが・・・もの凄く高度な科学技術ですよね!「事故の真相」にもつながる大事な要素です・・・。

天空からBLUEに降り注ぐ光!

ここに全ての真相が!

次第に明るさを増す海面・・・不思議そうに見つめる少女・・・涙を流すエカリル・・・・。急激に白熱する海面!まばゆい光に包まれていくマリと・・・エカリル・・・。

美しい場面です。海中で涙が見えるのか?とか、何故息が続く?なんて考えてはいけません!!(笑)

この場面には、マリと萩乃の二人だけが生き残り、二人の間だけで成立する接触テレパスの秘密が描かれているのですね。まさしく・・・運命の刻印のようなものです・・・。母なる海の深みが二人を救い、そして過酷な運命を背負わせた場面です。

泣き続けるマリ・・・無表情のまま・・・溜息をつく・・・萩乃・・・。

全てが分かったと思い歓喜に震えるマリ。そして対照的な萩乃・・・。萩乃にとっては、地獄の釜の蓋が開いたに等しい事態です。自分の罪を告白し許しを請わなければ・・・ただただ・・・針のムシロの日々が始まる・・・。

「オノミルを・・・・・見殺しにして・・・・」

良く見ると分かる、ツバエルがオノミルの名を叫んだ時、エカリルはすでに乗機を離れていたと思うが、フォリメの命など何とも思っていなかったアザナエルには通じない・・・。怨念のこもったようなつぶやきが悲しい・・・。この場面をもって物語は、暗い水底に向かって転がり出す・・・。


う〜ん・・・何度見ても・・・凄まじいばかりのドラマに満ちた第9話です。

特に、マリと萩乃の交流場面では、一瞬も目が離せません!!切なく震える二人の心が手に取るように分かって感動的です!

こんな物語に出会えて良かった・・・。

2009.08.29 Saturday

クラウディオ・アバド/ルツェルン祝祭管弦楽団演奏会

暑いですね・・・・こういう時は避暑に行きたいものです・・・例えばスイスとか・・・。(汗)

ルツェルン・・・良いところですよね・・・多分・・・。(笑)

と言うことで、録音しておいたNHK-FMを聴きました。


 − “ルツェルン音楽祭2009”から −

「ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 作品26」プロコフィエフ作曲
                      (27分00秒)
「ソナタ ト長調 K.455」 ドメニコ・スカルラッティ作曲
                       (1分35秒)
                   (ピアノ)ユジャ・ワン

「交響曲 第1番 ニ長調“巨人”」       マーラー作曲
                      (52分00秒)
ほか

              (管弦楽)ルツェルン祝祭管弦楽団
                (指揮)クラウディオ・アバド
  〜スイス・ルツェルン ルツェルン文化会議センターで収録〜
                   <2009/8/12>
  (スイス放送協会提供)
(〜NHK-HP)

いまやこの音楽祭の顔となったアバドの演奏会です。
いつものホールでの録音ですから期待して聴き始めました。

1曲目は・・・宝箱のようなプロコフィエフ・・・。

ラヴェルを思わせる、透徹した透明感が充満していますね・・・。

でも・・・どことなくエキセントリックな展開は、紛れもなくプロコフィエフです・・・。

オーケストラもピアノも、何とも滑らかで、吹き抜けるそよ風のように感じます。この軽妙さこそ凄さの裏返しなのかもしれませんが・・・随所に聴かれる超絶技巧には唖然・・・。
ユジャ・ワンのピアノも派手さはありませんがスムーズで快適〜〜です。

アンコールの
スカルラッティ・・・か、可愛い!!(笑)

ゲストのハーピスト吉野直子の話も面白かった。

初めは・・・頭が真っ白になる位
怖かった!慣れるまで(数年かかった)は、声が小さくて困った・・・。リハーサルは分奏から始め、次第に全体へ・・・。全体演奏では、棒や表情での、最小限のニュアンスの指示があるくらい・・・。オケに対する信頼から、互いに音を聴き合って曲の完成度の高めていくように仕向けてくれる・・・と、興味深い話が聞けました。

メインはマーラーの1番

ほとんど耳タコのこの曲ですが、アバドが取り上げるからには何らかの「意味」が有るんでしょうね。やはり・・・もう一度きちんとやっておきたい・・とか。当然、最後の全集を目指してるのか??

今回の演奏は、あちこちで細かな傷が散見されたり、極部分的にテンポを細かくいじったりしていましたが、基本的にはひたすら「穏やか」な演奏に感じました。虚飾を廃した「素」・・・でしょうか?

あえて言えば、青年マーラーの孤独と熱狂の森を「彷徨う」感じかな?

さすがにコーダでは金管に合わせて立ち上がってしまいました(笑)が、全体的にはちょっとまとまりに欠けているような気もします。まあ、この辺はほとんど「運」みたいなものですし・・・聴く側の環境も大いに影響しますから後日もう一度聴いてみようかな・・・。

それに、演奏家の顔を見ながらだと受ける感じが変わるということもあるので、いずれBShiか何かで放送されるでしょうから楽しみに待ちましょう。その場合は・・・完成度の関係で、多分、別の日の演奏会になるでしょうが・・・。(汗)

そう言えば・・・ルツェルン音楽祭のカレンダーをみると、8月12日というのは初日の公演と言う事になります。音楽祭自体は来週末まであるようですから・・・行きます??(笑)

2009.08.27 Thursday

誉田 哲也「武士道エイティーン」

誉田 哲也
文藝春秋
¥ 1,550
(2009-07)

少し前に、時間つぶしで立ち読みをした時、偶然手にしたのが時代小説でした・・・。江戸時代の武士の、刀の試し切りや切腹の介錯人のお話でしたが・・・剣の道も中々凄まじいものがありましたね・・・。(汗)

さて、出ましたシリーズ第3巻です!多分・・最終巻?

イラストは長崎訓子氏。今まで通りのスッキリしたものですが、扉を開いたところにはTシャツとジーパン姿の香織と、フワフワドレス?姿の早苗のイラストもあります。栞代わりの紐も紅白2本です。

現代の女子高生と「武士道」という異例の組み合わせを描いたこのシリーズですが、主人公たちも3年生となり、最後の夏、そして「その先」について、色々な面からお話をまとめる展開となりました。

『高校時代を剣道にかける、またとない好敵手。最後の夏、ふたりの決戦のとき。新進気鋭が放つ痛快・青春エンターテインメント、いよいよ天王山!わたしたちは、もう迷わない。この道をゆくと、決めたのだから。』
(〜amazon)

「武士道シックスティーン」「武士道セブンティーン」と読んできて、これが最後?の1冊、となると、ちょっと期待するところが有るわけですが、お話が素直に展開していくか?と言うとこれが大違いで、面食らってしまった・・・と言うのが正直なところです。

まず目次からして尋常でない!(笑)

数字がついてるのが13章あるのですが、所々に4編ほどの番号のついていない手書きの文字で書かれた章がある。どうやらそれらは文藝春秋ウェブ「パンセ」上で昨年末から半年ほどの間に発表されていた作品で、サイド・ストーリーという感じのものらしい。そして、それ以外の番号付きが書き下ろしですね。

さて、出だしは・・・一方の主人公「ほとんど男」の磯山香織の、試合会場における「ほとんど男」の独白が続く。(笑)ま、この辺はいつも通りなのですが・・・久しぶりに読んだ為か?やたらと「乱暴」で「ぎこちない」ものを感じ・・・悪く言うと「雑」と言う事に・・・。

大丈夫かな〜??と案じながら読み進むのですが・・・・。(汗)

前の2巻でも同様でしたが、今回も章毎に語り手が変わります。そして・・・サイド・ストーリーの部分では・・・今まで、いわゆる「脇役」だった登場人物が語ります。

これが・・・実は・・・凄いのです!

早苗の姉、緑子の・・・切なく・・・泣ける話・・・。

桐谷道場の・・・隠された・・・恐ろしくも切実な真実!(立ち読みした本を思い出した・・・。)

いつも酒臭〜い!早苗の顧問、吉野先生の18歳の頃の・・・凄まじくも・・・泣ける話・・・。

そして・・・香織の後輩田原の、言うに言えなかった孤独な戦い・・・。

基本的には主人公二人の泣き笑いがメインですが、彼女たちを取り巻くこれらの人々それぞれの物語も大変読みごたえがあります。中には、運命的な「出会い」や、あっと驚く「真相」が描かれている部分もあって、作者の手腕に唸ります!

そして、それぞれ単独でも凄いお話が全体の進行に合わせて展開していくのですが、その結果として、この物語が、香織と早苗の二人だけのものではなく、多くの、「剣道」あるいは「武士道」の道を歩く者たちに共通する苦しさ、切なさ、素晴らしさを語っているのだな、と分かって来ます・・・。

剣道経験者には分かるかと思いますが・・・防具を着けることで自分の正面だけを見据える事になり、そして、基本的には、相手に対して真っ正直に切り込ん行くしかないのが剣道です。長年に亘って身についたそれは、防具を外しても現れてしまい・・・ぶきっちょで、馬鹿正直な生き方しかできなくなる・・・。

そうです。このお話に登場する人物全てが、それぞれにそんな生き方をして、悩み、苦しみ、泣き、笑っているのですね。それが分かってくるに従って・・・何と味わい深い物語・・・と思えてくるのです・・・。

結末は・・・明日を思い・・・未来を思い、互いに相手を思いやりながらも・・・やはり一緒に剣の道を・・・一生続くこの道を共に歩きたい・・・二人の、そんな思いがあふれる切ない会話で終わります。

最初はちょっと面食らいますが読み進む内に引きこまれ、最後はしっとりとした情感に包まれて読了できました。全体の構成に??と感じる部分がない訳ではありませんが、誉田 哲也って凄い作家だ・・・そんな風に実感できる作品です。

多分完結????読んでない方には3冊まとめてお薦めしましょう。

でも・・・武士道20でも30でも・・・書けると思いますよね・・・なにしろ、武士道の道は・・・死ぬまで続くんだから・・・。

2009.08.25 Tuesday

エリアフ・インバル/ケルンWDR交響楽団演奏会

久しぶりにNHK-FMのベストオブクラシックを聴きました。

今週は特集「ヨーロッパ夏の音楽祭2009」です。

 − “ラインガウ音楽祭2009”から −

 ▽エリアフ・インバル指揮、ケルンWDR交響楽団演奏会

「楽劇“ワルキューレ”から
     “ウォータンの別れと魔の炎の音楽”」ワーグナー作曲
                      (15分30秒)
             (バス・バリトン)ザムエル・ヨウン

「交響曲 第6番 イ長調」         ブルックナー作曲
                      (54分30秒)

               (管弦楽)ケルンWDR交響楽団
                 (指揮)エリアフ・インバル
  〜ドイツ・エルトヴィレ エーバーバッハ修道院で収録〜
                    <2009/7/3>
  (西部ドイツ放送協会提供)

(〜NHK-HP)

このラインガウ音楽祭というのはちょうど1年前にも放送がありましたが、その時が初めて聞いた名前でした。昔からあったのかどうかも知りませんし、調べて分かるのは・・・ワインの産地として有名らしい・・・と言う事位かな?(汗)

注目したいのは演奏する場所がエーバーバッハ修道院だということですね。響きの豊かな巨大な空間・・・降り注ぐ音のシャワー・・・昨年の放送でも聞き惚れました・・・。

今回も・・・中々良い音してます!

今夜はかなり涼しいので、窓を閉めてコンデンサーヘッドホンで聴いてみました。う〜ん・・・MDRもかなりこなれてきましたが、冴え冴えとした精妙な響きは望むべくもありません・・・。

1曲目のワーグナーはかなりのオンマイクと感じる力強い音で・・・楽しめました。(笑)ザムエル・ヨウンという歌手は初耳ですが、強靱な声でしたね。

メインであるブルックナー交響曲第6番は・・・元々教会での演奏を理想とする作曲家ですから・・・豊かな響きに聞き惚れます・・・。

ただ・・・やはり・・・なんだか良く分からない曲だよな・・・。(笑)

全体の構成美というより、一瞬一瞬の響きを楽しむような個性的な曲・・・要するに・・・名曲・・・じゃないな。(笑)

そんな曲ですが、さすがにあちこちでハッとする瞬間があって驚かされます。ほとんど粗野と言っていいような旋律なのに降り注ぐ余韻の美しさに陶然となる・・・と言う感じ。

う〜ん・・・捨てがたい曲かな。

曲によっては、その曲にふさわしい演奏の「場」というものがあると思うけど、ブルックナーは正にそう言う曲だと感じますね。石造りの教会の大伽藍こそ「鳴るべき場所」でしょう。

また来年も聴きたいものです。

2009.08.23 Sunday

Top Runner 庄司紗矢香

遅ればせながら、録画しておいたNHKのTop Runnerを観ました。

今回は庄司紗矢香(26才)です!!

(ちなみに・・・minamina日記さんによると収録は6月14日、2時間半に亘ったそうですが・・・観覧者募集の締め切りは6月12日だったはず・・・随分忙しいな・・・。(汗))

以下、一部省略したり、ちょっぴり大袈裟な部分もありますが、出来るだけ忠実に・・・。

白い柔らかな感じの衣装で、楽器を片手に持って登場した庄司紗矢香、やはり小柄で痩せていますが、発するオーラのせいか?会場の拍手もやたらと力が入ってました!!(笑)

声が・・・低めでかすれている・・・ハスキーボイスというか?おばさん声というか?生まれた時の産声からこうだったらしく、突然変異?と母親がショックを受けたそうな・・・。(笑)

16歳での快挙で有名となりましたが、世界中の演奏家が集うパリを本拠地にして4年となった現在も、楽旅が多いながら刺激の多い日々を送っているらしい。

ロシアのノボシビルスクでは零下43度の空港に軽装(現地人から見たら)で降りたって死にかけ、多くの市民の同情をかった(セーターの山ができた)・・・と、確かに大変刺激的だ・・・。(笑)

使っているヴァイオリンを最近変えたそうで、以前の日本音楽財団所有のストラディヴァリウスJoachim(ヨアヒム)」(1715年製)から、上野製薬(株)所有のストラディヴァリウス「レカミエ」(1729年製作、ナポレオンが当時のフランス社交界の花形レカミエ夫人に送った。『蠱惑的な音色と官能的なフレージングで一世を風靡した"エルマン・トーン"』で有名なミッシャ・エルマンが使っていた)に・・・どちらも文化遺産みたいなものです。

そして・・・「深くて甘美な音」らしく・・・「これからどんどん音を出してコミュニケーションを深めて音を出していきたい」そうだ。

「(ヴァイオリンとの関係はコミュニケ−ションだと)私はそう信じてます。やっぱり生き物だと思いますし、お互いのやっぱり、気持ちとか個性とか・・・時間をかけて対話していく様な所があると思います・・・」と意味深・・・ただ・・・ヨアヒム同様に・・・デカク見えるし・・・。

(高いんでしょうね、これってね〜・・・)でしょうね・・・・」。(笑)

ここで、エルガーの「愛の挨拶」を演奏・・・たっぷりとしたヴィブラート・・・確かに甘美な音・・・ドレスは真紅・・・。(ピアノ伴奏は岩崎淑)

初めてのスタジオ演奏は「新鮮でしたね・・・色んなものが見えて・・・」。(笑)

演奏するときに心掛けていることは・・・・。

「曲・・・の、持つ魅力・・・を伝える事。それには作曲家が何を考えていたかとか、どういう風な演奏を欲していただろうかということで、時代背景とかその作曲家のスタイルだとか音楽観とか学んだりとか・・・。出来る限りでは、その・・・自筆・・・の、スコアが手に入ったりすれば、それは凄く・・・大きな・・・ヒントになりますよね。その・・・自筆・・・のスコアが手紙の様なものなので、メッセージ・・・みたいな感じで見ると、その作曲家のその時の感情であったりとか、どこの音符に・・・こう・・・心がこもっていたかとか・・・その線の・・・こう・・・書き具合とか・・・。一音・・・ずれてフォルテピアノになってるか、ここからピアノになってるかって、そう言う様な事?でも、それによってもう音楽が・・・違ってくる、この、原語が違ってくるので、そこからくみ取ろうと思えばいくらでもこう・・・くみ取れるって言うのが・・・どれだけこう・・・その・・・一つの線・・・に・・・どれだけ気持ちを込めてるかって事を・・・やはり想像する・・・と言うことですね・・・」

う〜ん・・・訥々・・・というか、頭の回転に口がついていかない感じが・・・日本語は苦手?(笑)

演奏家としての使命とは・・・。

「存在する・・・曲・・・。その作曲家の意図を・・・出来る限りくみ取って。それには想像力が凄く・・・研究と勉強と練習と・・・あと想像力がいるんですけれど・・・。それをまあ一言で言えば努力をして行けば・・・きっと・・・こう・・・それを伝えられる・・・。その曲の魅力を今生きている人に・・・伝えること・・・。それは・・・あくまでも演奏家の使命だと思っているので・・・。演奏家の為に作曲家がある訳じゃ無くって・・・ってことはいつも・・・よく思う事なんです・・・」

6月の演奏会ではリゲティのヴァイオリン協奏曲に挑戦したが・・・。

「次元の違う・・・レパートリーだったので、私にとっても本当に、こういう曲は初めてで・・・。あの、小さい時に一度聴いて、凄く魅了されたので、絶対にあの・・・一度は弾きたいコンチェルトってリストに入れてたんですけれど・・・。でも・・・実際に勉強してみても・・・こんなに苦労した・・・ことは・・・今までどんなコンチェルトでも無かったので・・・。練習中は・・・この協奏曲はもう嫌〜〜ってなりました。(笑)どうしようかと思いましたね・・・。(笑)あの・・・今まで一度もそう言うことはなかったんですけれど・・・それだけ・・・異質なコンチェルトでした・・・」

リゲティの曲は『楽器のパート毎に音程、拍子、タイミングが微妙にズレながら、それでいてまとまりながら、流れるように進んでいく・・・』という複雑さが特徴で、自分のパートと同時にオケのパートも理解しないといけない・・・。ズレる音符と一致する音符を目を皿の様にして追いながらの練習・・・。(汗)

中々・・・壮絶でした・・・。(笑)


多才な庄司紗矢香は演奏する曲のイメージを「絵」に描いてみるそうです。紹介されたリゲティの場合も「中世の手」という題名で・・・ヴァイオリンを通して視る荒涼とした世界の心象風景と思えたが・・・エゴンシーレ風の痛い画風?(汗)

「これは2楽章の冒頭、ソロで、一人で弾く所なんですが・・・とってもこう神秘的で・・・何かに包まれているような?感覚というのが・・・私には凄く感じられて・・・イメージを・・・浮かべてたんですけれど・・・」

絵にする理由は・・・。

「無意識的な・・・曲への解釈とか・・・感じている事と言うのは、目で見えることによって・・・かえって自分で・・・こう・・・整理できたり・・・理解できたりっていうこと・・・で、それでまた・・・音楽に帰ってくという作業が凄く・・・私の中ではそれが気になっていて・・・」

毎回描くのか?

「溜まってきたら・・・出すようにしてますね・・・」

そうか・・・溜まるんだ・・・。(笑)

(ちなみに、またまたminaminaさんの記事によると5月から6月にかけて庄司紗矢香の作品ばかりの個展もあったらしい・・・。画家である母親の背中を見て育ったのですからね・・・。音楽の道に行ってしまった娘が絵も描いてくれる・・・お母さん・・・うれしかった?)



1983年、東京生まれの庄司紗矢香は一人っ子。父親はコンピューター技師、母親は画家。母親の留学について行って、3歳から5歳までイタリアのシエナで・・・。

ヴァイオリンとの出会いは・・・。

「4歳の時に・・・その・・・シエナにあるその・・・キジアーナ音楽院というのがあって・・・そこでオープンのコンサートが・・・あったので・・・そこに連れて行ってもらったんですね。それで私がもう・・・フォール・イン・ラブしたのがヴァイオリンだった・・・んですね・・・・」
「私は凄く歌が好きだったんですけれど・・・。イタリアなんで皆で歌う・・・もう皆でいつも歌、歌ってて・・・。ただ・・・その・・・私も凄くカンツオーネとかオペラとか凄く憧れたけれど・・・とにかく声がもう・・・こんなんで・・・スッゴク低かったから・・・やっぱり歌手は・・・無理だねぇ・・・って・・いう事言われて・・・。それでもそのヴァイオリンってのが・・・もう・・・本当に声の様に歌った楽器だったから・・・多分・・・それで・・・だと思うんですよね・・・・」

4歳にしての「挫折」(笑)と「出会い」か・・・。

「最初はその楽器・・・の名前が分からなかったので・・・下宿してた所にあったお箸を持って・・・もう・・・弾くマネをしたらしいんですけれど・・・。で・・・母も最初何の事か分かんなくて・・・「やりたいやりたい」とか言ってて・・・。で、ある時そのテレビで、オーケストラなんかが出た時に「これっこれっ」って言うんで・・・。でも・・・その時も本当にまだ・・・子供のことだから・・・って言うんで1年待って・・・。それでも・・・あの・・・まだ・・・言ってたんで・・・で、「ああ・・・まァ・・・しょうがない」って事で・・・買ってくれたんですけど・・・」

「5歳になる直前ぐらいだったと思いますけど・・・」

子供の頃の性格は・・・。

「基本的にシャイでしたね・・・。あの・・・凄くこう・・・感情の起伏・・・とかは激しい方・・・だったとは思うんですけれど・・・それを知られるのが・・・嫌・・・だったり・・・して・・・。心配をかけたくないとか・・・やっぱり・・・こう・・・ストレートに・・・出せないタイプだったから・・・。だからかえって周りからは・・・こうクールな感じで見られてたかもしれないけれど・・・。ディズニーランドでねぇ・・・迷子になっちゃった事があって・・・小さい時に・・・。で・・・母が・・・スッゴイ、もうホントに心配して来たのに・・・私なんかもう「風で髪の毛が乱れちゃう〜」とか言って・・・そう言う感じの・・・でしたね・・・」

「(それは、内心は凄い切なくてて悲しいのに・・・)そうでしたね・・・。(お母さんの前ではこういう風にしている。平気な子だった訳じゃなくて・・・)うん・・・そうですね・・・」

5歳で帰国してヴァイオリンを習い始めた庄司紗矢香・・・。

「ある意味、その・・・初めてヴァイオリンを手にした時・・・・から、その・・・絶対にこの楽器を手放さない、諦めないってことは・・・・自分で・・・自覚・・・してましたね・・・。それは・・・やっぱり、自分から頼んで手に入れて貰った物ってのは、スッゴク私には責任感があって・・・これだけ頼み通したんだから・・・絶対頑張ろうっていうのが・・・ありました・・・ね・・・」

5歳にして決意!

10歳のとき近所が火事になったときもヴァイオリンだけは手放さなかった。(母親は枕だった・・)

レッスン代の家計への負担が大きく、母親からは常に「諦めてくれた方が助かる」と言われ・・・。

「ふ〜ん、て聞いてましたけれど、でも、私は・・・止めると言う事は考えられなかったので・・・「いや・・・でも・・・頑張る」・・・ということを言いましたね・・・」

少学6年生、11歳の時、全日本学生音楽コンクール小学生の部で、そのままでは「不利」と言われる分数楽器で全国1位に。

「もしどうしても、その・・・続けたいんだったら・・・登竜門があるから・・・そこで1位になれば続けて良いけど、もう、2位とか3位だったらキッパリ諦めて頂戴って・・・母に言われて・・・。でもそれは・・・今考えると凄く酷な・・・無茶な事ですけれど・・・。で・・・私はそう言われたので・・・もう1位になるしかなかったと言うか・・・。でもそれは本当に運が良かった・・・私も必死で頑張りましたけれど。でも・・・頑張ったからといって・・・1位になれるとは限らない訳ですし・・・だから・・・そう意味でも凄くラッキー・・・ではあったんですね・・・」

予想外の結果に驚く周囲・・・。

「母とかも・・・本当に・・・えっ!っという感じで・・・」(笑)

14歳でヴィニャフスキ国際コンクールジュニア部門で優勝。ロシア人出場者から刺激を受けて、15歳でケルン音楽大学に留学。そして伝説のロシア人教師との出会い・・・。

「今、私が勉強しなければいけない事って言うのは・・・順番がちょっと逆になってしまったけれど技術・・・だな〜と思って・・・、いわゆるロシアン・ボーイングって言って・・・その・・・あの・・・レガートを大切にしたり、弓を滑らかに使うボーイング・・・ですけれど・・・。ボーイングってのはこっちの・・・弓使い・・・なんですが・・・。それも・・・流派がいくつかあって・・・私はその・・・こう・・・語るように自由自在な・・・ロシアン・ボーイングに凄く魅せられて・・・。で・・・ロシアに行きたいって思ってたんですけれど・・・本当は・・・。私はもう・・・ロシアに行くって・・・母に言って・・・。そしたら色々調べてもくれたんですが・・・。え〜・・・そうしている内に・・・その・・・先生と会う機会があって、(ザハール)ブロン先生って言う・・・あの・・・素晴らしい先生にお会いする機会があって・・・勉強しに行っても良いですか?と聞いたら、「良いよ」って言ってくれたので・・・それで、交換留学みたいな形で・・・最初は・・・」


16歳でパガニーニ国際コンクールに出場。毎日11時間の練習、10日間で11曲の課題をやり遂げた結果、史上最年少、日本人初の優勝者に。

「曲数が凄く多かったというか、10日間で11曲あったんですけれど、1次予選から最終まで・・・。その準備・・・というのは凄くやはり・・・その時点では凄く大変でしたし・・・演奏会も少しずつ始めていた時点だったので・・・そういった・・・精神的なプレッシャーももちろんありましたし・・・。そうですね・・・もう練習は・・・必死に・・・練習しましたね・・・」

優勝して・・・。

「あの・・・今までの優勝者っていうのが・・・本当に私の尊敬する方達ばかり・・・が・・・なっているので・・・やはり、そう言う事を今まで、その、日本の国旗を背負ってコンクールに出た訳ですけれど・・・。やはり、その、今までで日本人の優勝者がなかったって言うこととか・・・後になって全部知った事です・・・けれど・・・。特に私意識して出てなかったので・・・。(笑)でも・・・やはり・・・今度は・・・こう・・・パガニーニコンクールの優勝者としてのを背負って・・・行くんだな・・・っという気持ちはありましたね・・・」

「これから・・・は・・・プロの仲間入り・・・という・・・事を、凄く・・・思っ・・・たし・・・。やはり、それだけに・・・羞じない・・・生き方・・・生き方というか、演奏をしていきたいと思いました・・・」

ここで、2曲目の演奏を・・・。

曲目はパガニーニの「ラ・カンパネラ」・・・。早送りで聞くと・・・一層凄い!(笑)

もちろん保存しますよ!

質問コーナーとなりまして・・・。

運動は・・・。

「そうですね・・・あの・・・特に、最近・・・・・・無いんです。(笑)あの・・・ドイツにいた頃は・・・あの・・・良く・・・プールで泳いだりとか、ジョギングとか凄くやってたんですけれど・・・。最近・・・中々無くて・・・しなきゃいけないなぁとは思ってるんですけれど・・・。ただ、あの、やはり基本は・・・あの・・・良く寝る事と良く食べることでなのでぇ・・・あの・・・歩ける時は歩くようにしてます。散歩・・・歩くことは凄く好きだし・・・。そうですね・・・なんかやった方が良いですね・・・。(笑)」

ホールを作るとしたら・・・。

「いや〜もう、あの・・・実を言えば、日本て言うのは一番・・・ホール・・・コンサート・ホールが豊かな国で・・・あの・・・もう、本当に正直これ以上要らないと思うんですけど。(笑)もう、あの・・・世界中のアーティストがいらして、日本中の、国内どこに行っても・・・もう、ホールの質・・・本当に驚異的だってのは・・・皆が・・・口を・・・揃えて言います・・・」

これからどんな演奏家に・・・。

「幸いまだ、私自身の演奏に、満足がいってないから・・・あの・・・もっと理想の・・・演奏をしていきたいし・・・ですし・・・音楽の・・ために・・・生きていければいいなぁ・・・ということ。普通の、生活をしていく上で経験すること・・・そう言う事も・・・演奏に、そのまま映し出される・・・ということ・・・。それは・・・とても厳しい・・・ですけれど・・・う〜ん・・・豊かに・・・なれる・・・と言うことと・・・。それにやはり・・・私自身に・・・正直であること・・・そういう演奏・・・そして生き方をしていきたいと思います・・・」

あなたにとってのヴァイオリンとは?

「あたしに・・・とっても・・・本当に一番・・・親密な・・・関係・・・であって・・・。本当に・・・あたし自身・・・でもあるし・・・。こう・・・何か・・・辛い事があったり・・・したら・・・こう・・・逃げられる場所・・・。あたしの居場所・・・でもあるし・・・。そう言う関係だと思います・・・」

終始、柔らかな微笑みを浮かべ・・・沈思黙考を経て訥々と語る庄司紗矢香・・・ストイック・・・あるいはちょっと浮世離れしているとも思えますが・・・良いんです・・・そのままで・・・。(笑)

なにしろ・・・幼くして、音楽とともに生きる決心をした人なんですからね・・・。

10年前のパガニーニ国際コンクールの時のニュース映像を見ると・・・か、変わってませんね・・・。

さ、さすがです!(笑)

これからの活躍を、大いに期待いたしましょう・・・。

2009.08.23 Sunday

放送予定

今日は処暑。少しは涼しくなるのでしょうか?

2009年 8月24日(月)午後11:00〜午後11:55(55分)教育
LIFE 井上陽水 40年を語る 第一夜

2009年 8月24日(月)午後11:30〜翌日午前0:40(70分)BS2
MUSIC JAPAN 新世紀アニソンSP 完全版

2009年 8月24日(月)翌日午前0:40〜翌日午前1:50(70分)BS2
チャットモンチー LIVE in 武道館

2009年 8月25日(火)午後11:00〜午後11:55(55分)教育
LIFE 井上陽水 40年を語る 第二夜。

2009年 8月25日(火)翌日午前0:10〜翌日午前1:40(90分)BS2
スーパーライブ Perfume in 武道館

2009年 8月26日(水)午後11:00〜午後11:55(55分)教育
LIFE 井上陽水 40年を語る 第三夜。

2009年 8月26日(水)翌日午前0:40〜翌日午前2:12(92分)BS2
スーパーライブ mihimaruGT in 武道館

2009年 8月27日(木)午後11:00〜午後11:55(55分)教育
LIFE 井上陽水 40年を語る 第四夜。

2009年 8月27日(木)翌日午前0:15〜翌日午前1:50(95分)BS2
スーパーライブ 秦基博 in 武道館

2009年 8月28日(金)午前10:00〜午前11:40(100分)BS2
N響演奏会。8月2日NHKホールでの現田 茂夫 指揮「ほっとコンサート2009」から。

2009年 8月28日(金)午後0:00〜午後0:25(25分)教育
スーパーバレエレッスン <新> ロイヤル・バレエの精華 吉田都(1)

2009年 8月28日(金)午後9:00〜午後9:50(50分)BS2
あなたの街で夢コンサート − 岐阜県・羽島市 −

2009年 8月28日(金)午後10:00〜午後10:50(50分)BS2
SOUND+1「音見習+吉田兄弟」

2009年 8月29日(土)午後0:00〜午後0:30(30分)教育
佐野元春のザ・ソングライターズ「スガシカオ Part1」。

2009年 8月29日(土)午後11:25〜午後11:55(30分)教育
佐野元春のザ・ソングライターズ「スガシカオ Part2」。

2009年 8月29日(土)午後11:30〜翌日午前1:00(90分)BS2
FUNKY MONKEY BABYS ライブ in 武道館

2009年 8月29日(土)翌日午前0:00〜翌日午前1:35(95分)総合
今夜も生でさだまさし − 夏の終わりに水戸で芸術? −。水戸市・水戸芸術館から中継だって!

2009年 8月30日(日)午前6:00〜午前7:20(80分)BShi
フランツ・ウェルザー・メスト指揮 クリーブランド管弦楽団 演奏会

2009年 8月30日(日)午後7:30〜午後9:00(90分)BS2
魅惑のスタンダード・ポップス

2009年 8月30日(日)午後9:00〜午後10:00(60分)教育
オーケストラの森。

2009年 8月30日(日)午後11:30〜翌日午前1:00(90分)BShi
ワールド・プレミアム・ライブ ワールド・ロック・ライブ ▽ボズ・スキャッグス

2009年 8月30日(日)翌日午前1:00〜翌日午前2:50(110分)BS2
クラシック・ロイヤルシート ベルナルト・ハイティンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団演奏会

2009年 8月30日(日)翌日午前2:50〜翌日午前4:30(100分)BS2
クラシック・ロイヤルシート ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団ブラス・クインテット コンサート

FMは・・・

2009年 8月24日(月)午後7:30〜午後9:10(100分)
特集・ヨーロッパ夏の音楽祭2009(1) −“ザルツブルク音楽祭2009”から−ベルトラン・ド・ビリー指揮、ウィーン放送交響楽団演奏会

2009年 8月25日(火)午後7:30〜午後9:10(100分)
特集・ヨーロッパ夏の音楽祭2009(2) −“ラインガウ音楽祭2009”から−エリアフ・インバル指揮、ケルンWDR交響楽団演奏会

2009年 8月26日(水)午後7:30〜午後9:10(100分)
特集・ヨーロッパ夏の音楽祭2009(3) −“モンペリエ音楽祭2009”から−ダニエレ・ガッティ指揮、フランス国立管弦楽団演奏会

2009年 8月27日(木)午後7:30〜午後9:10(100分)
特集・ヨーロッパ夏の音楽祭2009(4) −“ルツェルン音楽祭2009”から−クラウディオ・アバド指揮、ルツェルン祝祭管弦楽団演奏会

2009年 8月28日(金)午後7:30〜午後9:10(100分)
特集・ヨーロッパ夏の音楽祭2009(5) −“プロムス2009”から−チャールズ・マッケラス指揮、BBCフィルハーモニック演奏会


と言うところかな?ザルツブルク音楽祭のライブ・・・これだけ??(汗)

驚くのはBS2の充実振りですが・・・ハイビジョンで頑張ってもらいたいところですね。(笑)

2009.08.22 Saturday

エイドリアン フォゲリン「ジェミーと走る夏」

千葉 茂樹 訳

原作は、米国フロリダ州タラハシー在住のAdrian Fogelinによる「Crossing Jordan」。「Crossing Jordan」と言うのは、作中の思慮深き「おばあちゃん」の愛唱歌で、虐げられた黒人奴隷が救いの地を思って歌った・・・という雰囲気のもの。古代ヘブライ人がヨルダン川を超えて「約束の地」=死に至る・・・という旧約聖書?のエピソードからきた黒人霊歌か何かかな?連続TVドラマにもこの題名のものがあるらしい・・・。

『12歳の少女キャスは、父さんが建てた高いフェンスのすきまで、同い年のジェミーと出会った。となりにひっこしてきた黒人の少女ジェミーは、キャスといっ しょで走るのが大好き。黒人ぎらいの父さんにはないしょで、ジェミーとの秘密の交流をつづけるキャス。でも、ある日、おたがいの家族に見つかってしま い…』
(~amazon)

やたらと元気な表紙ですが、ちょっと気が重くなるテーマの本です。米国という国は歴史的にアフリカ黒人の犠牲の上に成り立ったと言っても過言じゃないのでは?と思いますが、過去の事実はその末裔の中に深く傷を残し、いまだ疼くことが止まない・・・。頑ななキャスの父、毅然としたジェミーの母、単なる「偏見」と言って済ませるには二人の過去の体験は余りに重く、それぞれの家族の中にも軋轢が生じる・・・。

未来ある子供達は、その「疼き」を目撃して途方に暮れるが、様々なエピソードを通して二つの家族は次第に近づいていく・・・というお話。

共に走り、共に「ジェーン・エア」を読み、共に語ることで友情を深めていくキャスとジェミーの様子は、典型的な米国のティーンエイジャーの姿でしょうが、その親世代の中にはいまだにこのような人々もいるのだろうな、と思うとちょっと残念にも感じますし、一面の真実なのだろうと納得もしてしまいますが、それを本という形で21世紀の今も提示しなければならないというのは・・もはや病理か?とも思えますね。

結末は・・・表紙のように爽やかに!。(笑)

ちょっとほろ苦く、複雑な味わいですが、子供の病気という非常事態や、スポーツ大会の興奮を通して次第に歩み寄っていく二つの家族の姿は、理性だけでは解決できないこの問題の根の深さをも実感させてくれます。

そうか・・・あの国の活動的な雰囲気の中には、こんな面もあるのか?と妙に納得しました。(汗)

2009.08.21 Friday

SONY MDR-EX700SL audio-technica AT3A50ST/0.5 BK

最近使っているものを紹介しておきましょう。

以前から真面目に音楽を聴くときはSTAXのコンデンサーヘッドホンを使ってきていたのですが、暑い季節は絶えられません〜!!(笑)

昨年はそのために音楽そのものを聴く機会が減ったほどでした。(汗)

実は、MDR-EX700SLは一昨年の発売直後に購入していたのですが、余りに「酷い音」で投げ出していたのでした。結構な値段でしたが、イヤホンじゃダメか?と・・・。

今年も5月を過ぎると暑い日が増えてきて、困ったな〜・・・と思っていたのですが、ソネブロのネタを作るためにも何とかしなくては・・・と言うことで、しまい込んでいたMDR-EX700SLを取り出して試して見ました。

使っているサウンドカードPRODIGY HD2 ADVANCEにはヘッドホン端子があるので、それを使って見ると・・・やはり硬い音・・・。(汗)

しかし・・・大きな期待をしなければ使えるかな?と言う事でそのまま使って来ていたのです。

で、現在ですが・・・エージングのお陰でしょうか?いや〜何だか良い音に聞こえてきました。(笑)

嵌め方やイヤーパッドで音が変わるとか言われるのですが、一番大きなイヤーパッドを使ってみたところ遮音性も良く、結構繊細な音もクッキリと聞こえて快適です。コンデンサーヘッドホンだと周囲への音漏れ大きくて騒音となりかねないのですが、このタイプだとそれもほとんど無くて家人にも評判が良いです。

逆に気付いたのが、コンデンサーヘッドホンの遮音性の悪さで、暑いからと窓を開けたりすると、外の騒音がモロに聞こえて、いかに高性能なコンデンサー型でも宝の持ち腐れです。よくよく考えれば当たり前なのですが、窓を開ける季節は使い物になりませんね。(汗)

と言うことで、最近はMDRばかり使ってますが、困ったのは、単独でのVOL調節が出来ない事ですね。STAXや外付けSPもあるので、PCのVOLは余りさわりたくないし・・・。あれこれ探してみて見つけたのがaudio-technicaの ボリューム付きヘッドホン延長コード です。調節範囲が狭いのですが、実用上は充分で重宝してます。大変安いコードですが、購入直後に落としてしまい、気付かずに自分の車でひいてしまったのですが大丈夫でした!そんな意味でもお薦めです!(笑)

大きなお屋敷でオーディオルーム完備の方だったら笑ってしまうようなお話ですが、参考になる方もいないではないだろう・・・ということで書いてみました。

只・・・もう一つ気になるのは・・・これでも暑いのは何故だ〜?(笑)

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