ちょっぴり時間が掛かりましたが(汗)・・・・それでは、アニメ「BLUE DROP」第9話から・・・。
朝の青海寮。
輝く日差しを浴び、屋根瓦の上で戯れる3羽の雀・・・聞こえてくるマリの声、戸を叩く音・・・。
「どうしたの〜?ミッチー・・・急がないと遅刻しちゃうよ〜!!ミッチーってば!!」
「あ〜!!まだ着替えてない!!」入口の引き戸を開けたとたん、ジャージー姿で机に突っ伏したままのミッチーを見つけて驚くマリ。
「・・・何やってんだ全く・・・」
「ん
ん・・・?・・・あら??」呆れたようにつぶやきながらも、普段と違う部屋の様子に気付くマリ。
床や机に散乱する紙屑・・・・・付箋の付いた沢山の本(46冊?)・・・。
眠ったままのミッチーに静かに歩み寄り、寝顔を覗き込むマリ・・・。
「ん・・・?」
かすかな寝息をたてて眠り続けるミッチー。
「頑張ってんだ・・・・脚本・・・・」小さく頷いて・・・つぶやくマリ・・・。
「ん・・・??!!えっ!!」ふと気付いて背後の時計(8時33分)を見返し驚くマリ。
「・・・って言ってる場合じゃな〜い!!」
大きく息を吸い、口の前に両手を揃え、眠り続けるミッチーに向かって叫ぶマリ!(笑)
「こら〜〜〜!!!起きろ〜〜〜!!!!」
朝の寮に響き渡る・・・マリの叫び声・・・あわてて飛び立つ雀たち・・・。(爆)
「Lagenaria siceraria」 「夜の・・・思い出・・・」
木立の間の通学路。学校に向かうマリとミッチー。
「ふあ〜〜〜〜ぁっ!・・・」歩きながら大きな欠伸をし、途中で気付いて口を閉じ、思わず赤面するミッチー。(笑)
「大丈夫〜?ちゃんと寝てないんじゃないの〜?」かすかに苦笑しながら、横から覗き込んで様子を伺うマリ・・・。
「夕べは調子が良くて・・・ついつい・・・」眠そうに答えるうちにもまぶたが下がり・・・。
「あっ!!」途端につまづいて倒れそうになるミッチー!(笑)
「おっと〜!・・・あんまり無理しない方が・・・」と、後からミッチーの手を取り心配するマリ・・・。
「あぁ・・はい・・・でも〜書いていて久々に手応えあるって気がするから・・・大丈夫です」微笑むミッチー。
「そっか!!」納得するマリ。
「で〜・・・・どんなお話なの!??」一瞬上を向いてから、ミッチーに向き直って顔を寄せ、唐突に聞くマリ。
「そ・・・それは・・・
出来上がってからのお楽しみってことで・・・・」戸惑って目を逸らし、声を潜めるミッチー・・・。
「え〜〜〜良いじゃない〜!ちょっとだけ教えてよ〜!」
「でも〜・・・まだ最後とか決まってないし・・・」
「
んん・・・どっち道ホームルームでも発表するんでしょう?途中まででも良いからさ〜!??お願い!」ミッチーの前に立って胸に手を当て、下から覗き込むようにしてねだるマリ。(笑)
「じゃ〜・・・・大体の粗筋だけ・・・・」マリの視線を受け恥ずかしそうに目を逸らし、紅潮した顔で語りだすミッチー・・・。
・
・
・
2年櫻花の教室・・・黒板には「HR 学園祭の企画」の文字・・・。
椅子に座り、両手を祈るように揃えて語るミッチー・・・。
ミッチーの周りに立って聞き入るクラスメートたち。自分の席で正面を向いたままの萩乃・・・頬杖をつく朱音・・・、後向きで椅子に座り真直ぐにミッチーを見つめるマリ・・・・・・。教室の後方、黒板の前に立って聞き入る裕子先生・・・。
静かに流れるミッチーの声・・・
浮かび上がる鮮やかなイメージ・・・。
「ごく普通の少女が、炎で焼かれる夢から醒めて、気が付くと暗い檻の中にいて。
そこはかつて人々から、聖なる少女と崇められたものの、今では異端の烙印を押され、囚人となったジャンヌ・ダルクが捕らえられている、中世の牢獄だったんです。
ふいに眼前に現われた少女を、牢内のジャンヌは悪魔の使いと罵ります。
いきなり悪魔呼ばわりされた少女は、反発して、狭い牢の中で少女とジャンヌは険悪な雰囲気になってしまいます。
すでにジャンヌの処刑を明朝に控えた牢獄に、様々な人々が訪れます。
親切な牢番のおかみ。
ジャンヌを熱狂的に支持していた見習い修道女。
ジャンヌと共に戦った騎士。
少女は、訪れた人達に必死に助けを求めます。
けれど、人々の目には、少女の姿がジャンヌとして映っているのです。
少女の目には見えている牢内の本当のジャンヌの姿や声は、訪れた人々には分からないんです。
少女をジャンヌと思い込んだ人々と接し、傍らのジャンヌの話を聞くうちに、少女は、ジャンヌの孤独な胸の内を理解していきます。
それまでジャンヌは、自分の心の中を人にさらけ出す事も出来ずにいて、辛い事も、苦しい事も、悲しいことも、全て自分ひとりで抱え込んでいたんです。
屈託のない少女に接する内に、ジャンヌは徐々に心を開いていきます。
全てに絶望し、諦めていたジャンヌは、いつしか、自分の命に代えてでも大切にしたいものを再び見つけます。
誰でも希望を持つことが出来る・・・諦めずに信じ続けることが・・・きっと何かを変えていく・・・。
未来を恐れず、希望を捨てない事によって・・・・・」
揺れる眼差し、組んだ両手に力を込めて、熱っぽく語るミッチー・・・。
「ぇ・・・そんなお話を書ければ良いなって・・・思ってるんですけど・・・」ふと我に帰って周りを見渡して、クラスメートたちの視線と沈黙に戸惑うミッチー。
「・・・・・・・・あ・・・あの・・・ダメだったらまた、別のお話を
考えますから・・・」
ミッチーを見つめる萩乃・・・椅子から突然立ち上がるマリ。
「そんな事無い!!
スッゴク良かったよミッチー〜〜〜!!」涙を浮かべた目、感激の面持ちでミッチーの手を取って何度も振るマリ。同じように感激の声を上げるクラスメートたち。
「あ・・・
あ・・・?!」自分に向けられた歓声に戸惑うミッチー・・・。
「香月さん素適〜!!」「感動したわ・・・」「凄いじゃない!!」「何て良いお話なの〜?!!」「俄然やる気になってきた〜」沸き返る2年櫻花。
目を見開き、信じられぬ面持ちのミッチー・・・・。
「は〜い。じゃぁ皆席について〜」パンパンと手を叩いて促す裕子先生。
「素晴らしかったわ・・・・香月さん・・・・」ゆっくりと教卓に向かって歩く途中、ミッチーの背に手を当て小声で賞賛する祐子先生。息を飲み、頬を紅潮させたまま興奮の収まらぬ様子のミッチー・・・。
「え〜と・・・それじゃ〜脚本は引き続き香月さんに頑張って貰うとしてぇ・・・」教卓にもたれながら・・・おもむろに萩乃の顔を見つめる祐子先生。意を受けて小さく肯き、苦笑しながら立ち上がる萩乃。
「学園祭まで、後一ヶ月少しです。先ほど、香月さんが発表して下さったお話を上演することを前提に、今の段階で出来る準備を始めたいと思いますが、どうでしょうか?」言いながらクラスを見渡す萩乃。
「賛成〜!」声を合わせる2年櫻花。
「ですから・・・
ん・・・まずは、衣装や大道具の材料の準備を・・始めないと・・・・
です・・・」黒板の前で、自信なさそうに言うミッチー。その横で、中世フランス、牢獄、配役(脚本待ち)、大道具、小道具、衣装・・・と板書していく萩乃。
「もちろん、香月さんの脚本が終わらないと・・・正確な所は分かりませんが・・・」向き直って言いながら、小さく肩をすくめてミッチーを見つめる萩乃・・・。
「あ!
す・すみません・・・」慌てて頭を下げるミッチー。
「謝ることないよ〜」「期待してるからね〜」「頑張ってね・・・」クラス中から次々に掛かる励ましの声。息を弾ませ、身を縮め、うつむき加減で聞き入るミッチー・・・横顔を見つめる萩乃・・・。
「まずは品物の下見と・・・最低限用意する物の買い出しが・・・必要ですね・・・。とりあえず必要な物として・・・模造紙・・・ボール紙・・・」淡々とした口調で要点をまとめ、板書していく萩乃・・・教卓を前にうつむいたままのミッチー・・・。
窓際から・・・その様子を見つめる・・・BLUEのアジサシ・・・。
・
・
・
「エカリルは・・・お前の艦のコマンダーは・・・いったい何をやっているのだ?」
海底のBLUE艦橋。モニターをみつめながら、いぶかしむアザナエル・・・。
「あれは・・・フォリメの生態調査で・・・れっきとした探査任務だ!」口ごもりながら・・・思わず目を伏せ・・・最後には強弁するツバエル。(笑)
「探査?・・・遊んでいる様にしか見えんな!」腕組みをしたまま、呆れたように言うアザナエル。
「捕虜のくせにうるさい!」立ち上がって食ってかかるツバエル。
「コマンダーには・・・ちゃんとしたお考えがあるのだ・・・」
「我々が口を出すことではない・・・」静かに告げるツバエル・・・。
「お考え・・・か・・・・」皮肉たっぷりに言いながら・・・考え込むアザナエル・・・胸に掛かるペンダント・・・。
・
・
・
その頃、1番艦ノヴァールでは、連絡が途切れたアザナエルに関する報告を聞くシバリエルが・・・。
「ヤツならば確実に任務を遂行しよう・・・あの艦を確実に・・・」片目を細め、不適な表情でつぶやくシバリエル・・・。
同じ頃、BLUEのハンガーに安置されたアザナエルの乗機では・・・機首のランプが赤く明滅し・・・。
・
・
・
「え〜〜〜!!」「じゃぁ萩乃様は〜!?」「早退してお出かけにぃ〜??!!」
「しかもあの女と二人っきりでぇ〜??!!!!」(怒)
二年櫻花の入り口でミッチーを前にして、衝撃的な事実を聞いて叫ぶ親衛隊!(笑)
「買い出しと下見に・・・隣の町まで行くことになって・・・」肯きながら説明し、ゆっくりと後ろを振り向くミッチー・・・。
黒板に書かれている「あみだくじ」・・・ピンクのチョークで丸が書かれている名前は「千光寺」と・・・太陽マークも付け加えられた「若竹」・・・。
駅の構内に鳴り響く発車のベル。懸命に階段を駆け下り、閉まりかけた電車のドアをかすめて滑り込むマリと萩乃・・・。走り出す電車・・・荒い息の下から顔を見合わせ、ほっとして思わず笑い合う二人。
「く、悔しい〜〜〜!!」こだまする・・・親衛隊の叫び!!(笑)
「
あ・
あ・・・」当惑して・・・顔を引きつらせるミッチー・・・。(汗)
カーブした海沿いの線路を走り去る・・・二人を乗せた電車・・・。
・
・
・
「わぁ〜〜!!凄い〜〜!!」開け放った窓から身を乗り出すようにして、目の前に広がる海と、汽笛を鳴らしながら悠然と航行する白い大型客船を見つめるマリ。
「窓・・・閉めてくれる・・・」風になびく長い黒髪を押さえ、手にした手帳を見つめながら、迷惑そうに言う萩乃・・・。
「
む・・・
うう〜ん・・・・!」ふくれっ面で萩乃を見返してから、ふてくされて、叩き付けるように窓を閉めるマリ。(笑)
他に乗客の見あたらない・・・静かな車内・・・。
「資材と生地と後は・・・」小声でつぶやきながら、手帳にメモを書き付ける萩乃・・・
「ねえ・・・」頬杖をして、併走する客船を見つめたまま・・・萩乃に声をかけるマリ・・・。
「なに・・・?」
「前に港で見たあの大きいやつってさぁ・・・」
「ん・・・
何?!」はじかれたように顔を上げ、マリを凝視する萩乃・・・。
「あれ・・・あなたの船なんでしょう・・・・?」客船を見つめたまま静かに問いかけるマリ・・・。
「・・・・そうよ・・・それがどうかした・・・?」一瞬の沈黙を経て手帳に視線を戻し・・・平静を装って答える萩乃・・・。
「なんだかさぁ・・・初めて見る気がしなかったのよねぇ・・・・」
「・・・・そう・・・・不思議ね・・・・」メモの手を休めることなく・・・無表情で答える萩乃・・・。
「う〜ん・・・・どうしてかなぁ・・・・」ぼんやりと外を見つめながら・・・考え込むマリ・・・。
「・・・乗せてあげましょうか・・・?」手帳に目を落としたまま・・・静かに問いかける萩乃・・・。
「え!・・・・あの船に??!・・・・・本当??!!」驚いて萩乃に向き直るマリ。
「・・・・ええ・・・・」真っ直ぐにマリを見つめ・・・小首を傾けて答える萩乃・・・。
「やった〜!!」椅子から腰を浮かせて喜ぶマリ。
「・・・怖く・・・ないの・・・?」戸惑ったように問いかける萩乃・・・。
「何が?」不思議そうなマリ・・・。
「・・・私達の・・・事・・・」口ごもる萩乃・・・。
轟音と共に突然トンネルに入り真っ暗になる車内・・・数秒の後、点灯した車内灯の下で見つめ合う二人・・・。
「・・・本当はさぁ・・・船だけじゃぁ・・・
ないんだよね・・・」視線を落とし、ためらいがちに話し出すマリ・・・。
「
ん・・・?」見つめる萩乃・・・。
「・・・あなたのことも・・・昔から・・・知っているような・・・気がしてたんだ・・・・」かすかに頬を染め・・・視線を逸らし・・・囁くようなマリの・・・声・・・。
暗いトンネルを背景に、マリを凝視する・・・萩乃の・・・横顔・・・。
轟音と共にトンネルを抜け、海辺の街に向かって遠ざかる、二人を乗せた電車・・・・。
・
・
・
立ち並ぶビル・・・溢れる車・・・多くの人が行き交う町中・・・。
「
はァ・・・・・凄いね・・・まるでお祭りみたい・・・!」周囲を見回して圧倒されるマリ。
「キョロキョロしないで、行くわよ!」横目でマリを見ながら、トートバッグを肩に歩き出す萩乃。
「ええ!ちょっと待ってよ!ねぇ〜〜!」慌てて後を追うマリ。
ビルにかかる看板の上から、そんな二人を観察するBLUEのアジサシ・・・。
画材店で店員に説明を聞きながらメモをとる萩乃・・・物珍しそうに見回すマリ。
意見を聞こうと?振り返った萩乃の前にマリは居ず・・・離れた場所でオモチャに見入るマリ。
顔をしかめながらマリを探し、しゃがみこんだマリの姿を認めてため息をつく萩乃・・・。(笑)
後ろからマリの肩に置かれる萩乃の手・・・気付いて振り返るマリ・・・。
その目に映るエイリアンの不気味な顔!悲鳴を上げて尻餅をつくマリ!(笑)
良く見れば・・・目の前にあったのはエイリアンの印刷されたオモチャの箱・・・その裏から現れる・・・萩乃の笑顔・・・。
画材店の中を見て回る萩乃・・・高い棚を、惚けたように見上げるマリ・・・。
盛んにメモをとる萩乃・・・その顔を突然覆う白いベール・・・不思議そうに振り返った萩乃が見たのは・・・。
頭に白いベール・・・両手に真っ赤な薔薇のブーケを抱き、うつむき加減で瞳を閉じ・・・花嫁を演じるマリ・・・・・・一呼吸おいて萩乃に向けられる・・・・花のような・・・マリの笑顔・・・・。 ・
・
・
夕焼けに染まった街・・・遊園地のスナックコーナーで一休みする二人・・・。
「これで・・・大体揃ったかな・・・?」メモを手に、足元の荷物を点検する萩乃。
ドリンクを飲みながら見つめるマリ。
「あ〜疲れたぁ〜!」椅子にすわったまま、大きな伸びをしながら叫ぶマリ。(笑)
「あなた!何もしてないじゃない!」呆れる萩乃。(笑)
「確かに〜!」悪びれる様子もなく答えるマリ、ため息をつく萩乃。(笑)
「そうだ!無事に買い物を済ませたご褒美にさぁ〜〜・・・ん!」頭上を指さすマリ。
「え??」不思議そうに視線を巡らす萩乃・・・。
そこには、真っ赤な夕日にクッキリと浮かび上がる・・・観覧車・・・・。
・
・
・
「凄〜い〜!!」かすかにキシミ音を上げながら上昇するゴンドラの中、歓声を上げるマリ・・・。
夕日の中に浮かび上がる町並み。その先の海と・・・島々・・・。
「綺麗だねぇ〜!学校のある街とは大違いだぁ〜!」立ったまま、窓に顔を寄せて興奮した面持ちのマリ。
「そんなに離れていないんだけど・・・この街はターミナルがあるから・・・」椅子に座ったまま落ち着いて話す萩乃。
「あっちが学校かぁ〜・・・」
「ここからじゃぁ見えないわね・・・」
夕暮れの光景を静かに見つめる二人・・・。
「・・・・・・ねぇ・・・」言いにくそうに切り出すマリ・・・。
「・・・ん?・・・」不思議そうに視線を向ける萩乃・・・。
「・・・・帰りはさぁ〜・・・・・歩いてみない?・・・」背を向けたままうつむき加減で、恐る恐る言い出すマリ。
「歩いて?・・・3時間位・・・かかるわよ・・・」戸惑ったように答える萩乃。
「
うう・・・やっぱり遅くなっちゃうとマズイかなぁ・・・」肩をすくめるマリ。
夕日を浴びながら、ゆっくりと回転していく観覧車・・・。
「寮には電話を入れておけば良いけど・・・でも、
どして?・・・」
「最近運動不足だしさ・・・もう少し歩いてみたいなぁ〜・・
・なんてえ・・・」額を窓に付けたまま、頬を赤らめ・・・恥ずかしそうに答えるマリ。
「・・
・そうね・・・」静かに答える萩乃・・・。
「え?!・・・良いの〜?」驚いて、意外そうに顔を向けるマリ。
「・・・・・私も・・・・もう少し・・・
歩きたい気分だから・・・・」
吐息をつきながら頷き・・・マリから夕日にを視線を逸らしてながら・・・ゆっくりと・・・囁くように答える・・・萩乃・・・・。「ああ・・・・・・」声を失い・・・萩乃の横顔を・・・見つめる・・・マリ・・・・。夕日を見つめる2人・・・上昇を続けるゴンドラ・・・その上に降り立つ・・・BLUEのアジサシ・・・。
・
・
・
「おいBLUE!このモニター行為も、正規の作戦行動なのか?!」艦橋で腕を組み、顔をしかめて問いかけるアザナエル。
「コマンダーよりの指示は出ていない・・・」答えるBLUE。
「これは・・・私の・・・自発的な作戦行動だ!」恥ずかしさから顔を赤らめ、顎を突き出すようにして言い張るツバエル。(笑)
「浮かれたコマンダーに、覗き趣味のガンナーか・・・この艦の規律はどうなっている!!?」呆れるアザナエル。
「う・・・
うるさい!」思わず立ち上がり、食ってかかるツバエル。(笑)
・
・
・
「はい。伝えます。それじゃ・・・」暗くなった夜空の下の青海寮。
「千光寺さんからでした。少し遅くなるから、心配しないようにって」電話室から出てソファーでくつろぐ船津丸と朱音に伝えるミッチー。
「ん?・・・ま〜た若竹が、我が儘言ってんじゃないの?」料理雑誌を見ながら皮肉を言う朱音。
「心配いらないって!萩乃が一緒なんだから!」海王新聞を見ながらなだめる船津丸。
「ま、そりゃそうだ〜」声を上げて笑い合う2人。
そのやりとりを、無言で見つめるミッチー・・・。
・
・
・
暗い夜空を背景に輝く町並み・・・坂道を下っていくトラックの四角い影と赤いテールランプ・・・。
ユウガオの花が絡みつく道路脇のポール・・・。
肩を並べ・・・人通りのない坂道の歩道を、ゆっくりと上がってくる・・・マリと萩乃・・・。
「最初は・・・・あなたと二人で買い物なんて・・・冗談じゃない!・・・て、思ってたけど・・・」紙袋を両腕で抱え込んで意外そうに言うマリ。
「・・・それはお互い様よ・・・」微笑みながら言い返す萩乃。
「ん・・・何〜!?」萩乃に向かって睨むように顔を向けながら・・・小声で笑うマリと・・・萩乃・・・。
「でも・・・不思議だね〜・・・」
「何がぁ?・・・」
「こんなに・・・色々な話ができるとは・・・思わなかった・・・」かすかに紅潮した顔を上げ・・・しみじみと言うマリ・・・。
「・・・・・・・・・それも・・・お互い様!」マリの横顔をしばらく見つめてから・・・ぷいと横を向くようにして・・・思わせぶりに答える萩乃。(笑)
「もう・・・・ずるいぞ〜!」むくれるマリ。(笑)その横を逃げるように駆け出す萩乃・・・。
車道を次々と下ってくる車・・・広い歩道を・・・笑い声をあげながら駆け上がっていく・・・マリと萩乃の後ろ姿・・・。
背後の標識の上から二人を見つめる・・・BLUEのアジサシ・・・・。
・
・
・
「全く・・・緊張感のカケラもない!」艦橋で、呆れたように言い放つアザナエル・・・。
「コマンダーは・・・何かを探しておられるのかも知れない・・・」モニターに映るマリと萩乃を見つめながら、考え込むようにつぶやくツバエル・・・。
「どう言うことだ?」不審そうに問いかけるアザナエル。
「私にも分からないが・・・ただ・・・・」小さく首を振ってから・・・言い淀んで目を見開くツバエル。
「ただ?・・・」
「あのフォリメに・・・会ってからだ・・・・」モニターに目を向けるツバエル。
「んん・・・??」不思議そうに視線を巡らすアザナエル。
「あんな風に・・・笑うようになられたのは・・・・」笑顔を交わしながら走り続ける・・・モニターの中のマリと萩乃・・・。
痛ましげに・・・見つめ続けるツバエル・・・。
打たれたように・・・無言でたたずむ・・・アザナエル・・・。
広い艦橋にかすかに響く・・・マリと萩乃の・・・子供のような・・・笑い声・・・・・・。
モニターの中を・・・走り続ける・・・二人・・・・・・。 ・
・
・
痛みをこらえるようにゆっくりと運ばれる足・・・丸められた模造紙の入った紙袋を抱えながら、苦痛に顔をしかめるマリ・・・。
車道を走り去る車のライトに浮かび上がるのは、無言で先を歩きながら、ふと気付いて振り返る萩乃の姿・・・。
「どしたの?」不思議そうに問いかける萩乃。
「ど・・・どうもしないよ!あ〜おなか減ったねぇ〜!へへっ」街灯の下で冷や汗をかきながら、強がって笑顔を見せるマリ。
「ん・・・」向き直って、再び歩き出す萩乃・・・歯を食いしばり、右足をかばいゆっくりと後を追うマリ・・・。
・
・
・
「このフォリメは・・・あの事故に関係が?」モニターに映るマリを見て、問いかけるアザナエル。
「ん・・・特殊な能力も・・・おそらくは・・・」頷いて、慎重に答えるツバエル。
「接触テレパスか・・・」考え込むアザナエル・・・街灯と街灯の暗闇に、小さく映るマリと萩乃・・・。
・
・
・
同じ頃の海王学園・・・窓際の地球儀・・・ガラスに映る室内・・・。
「平成11年度在校生徒名簿」を脇に、ワープロで、マリに関するレポートを作成する祐子先生。
「現状、若竹マリの周囲に変化は見られず・・・か・・・」
画面に映るのは生徒名簿、No.1019062「川嶋朱音」、No.10196068「香月みち子」、No.1019077「千光寺萩乃」・・・住所・・・岡山県倉敷市味刺2−8−1・・・。
突然表示される「!ERROR!」と、ワープロのアラーム音。
「ん・・・?」操作を続ける祐子先生。繰り返し鳴るアラーム音・・・。
「どう言うこと??・・・ここだけにプロテクト??」
不審がる祐子先生・・・「!ERROR!」表示のままの・・・萩乃の画面・・・。
・
・
・
ゆっくりと抜かれる靴・・・親指の付け根が赤く染まったマリの右足・・・。
「マメがつぶれちゃってる・・・」しゃがんだまま、マリの靴を手に痛々しげにつぶやく萩乃・・・。
「だ、大丈夫だよ!行こう!」バス亭のポールに手をかけながら、強がりを言うマリ。
「お・・・ん!」萩乃から靴を受け取り履こうとしたが、後ろによろけて右足を突き・・・・。
「痛っ!」顔をしかめるマリ・・・足元に転がる靴・・・。
「
ああ・・・」ため息をつき、跪いてマリの足元の靴を拾う萩乃・・・。
「どうしよう・・・・もう・・・バスも終わってるし・・・・」手にした靴を見て、考え込む萩乃・・・。
突然辺りを満たす雨音・・・。
「あぁ・・・・!」暗い空を見上げ・・・顔をしかめる萩乃・・・。
暗い夜空・・・心細い街灯の灯り・・・降り注ぐ・・・雨粒・・・。
道路脇の壊れた看板・・・「売り店舗」の張り紙・・・。
雷が鳴り、本降りとなった雨の中、薄暗い街灯に浮かび上がる、暗く、小さなドライブイン・・・。
暗い室内・・・壁に掛かったままのメニューの木札・・・テーブルの上に伏せられた椅子・・・荒れ果てた店内・・・。
かすかな外光に浮かび上がる・・・・窓際のテーブル・・・向かい合って長椅子に座る・・マリと萩乃・・・。
呆然とした様子・・・ゆっくりと・・・手にしたハンカチで、濡れた髪の毛を拭くマリ・・・。
轟く雷鳴・・・稲光に浮かぶマリの姿・・・。
「凄い雨・・・」つぶやくマリ・・・窓の外を見つめる二人・・・。
「当分止みそうにないわね・・・」静かに言う萩乃・・・濡れた窓ガラスを通して見えるぼんやりとしたマリの姿・・・。
「あっ!」
「どしたの?」
「に・・荷物!・・・え!!」慌てて周囲を探し回るマリ。
「
あ・・・さっき靴を脱いだ時ね・・・小降りになったら取りに行ってみましょう・・・だいじょぶよ・・・」
涙目になったマリを見て慰める萩乃・・・。
「でも・・・ボール紙と模造紙・・・」泣きべそをかきながらつぶやくマリ。バス亭の路上で雨に打たれる紙袋と模造紙・・・。
・
・
・
「大丈夫かなぁ・・・」青海寮の読書室で、雷鳴を聞いて脚本を執筆する手を止め、外を見ながら二人を案じるミッチー・・・。
・
・
・
「よく降るわねぇ・・・・」暗い店内・・・外を見ながらつぶやく萩乃・・・長椅子の上で膝を抱えてうつむいたままのマリ・・・。
「足・・・・まだ痛む?・・・・」優しく問いかける萩乃・・・無言のマリ・・・。
「気にしなくて良いのよ。荷物だったらまた買えば良いんだから・・・」
「馬鹿みたいだアタシ・・・調子に乗って・・・こんな・・・」膝小僧に顔を埋め・・・身を縮めて、すすり泣くようにつぶやくマリ・・・。
暗い夜空・・・心細い街灯の光・・・殺風景な暗い店内・・・ソファの上の・・・心細げなマリの足・・・雨に打たれる・・・模造紙・・・無言で見つめる萩乃・・・。
横を向いて何かを探す萩乃・・・立ち上がる靴音・・・。
うつむいたままのマリ・・・その体にかけられる布・・・。
「ん
・・・?」気付いて顔を上げるマリ・・・。
マリの横に座り、布で二人を包もうとする萩乃・・・。
「冷えちゃうから・・・」横からマリを覗き込むようにして囁く萩乃・・・。
「
う・・・」泣きながら・・・再び顔を伏せるマリ・・・。
激しく降り続く雨・・・街灯の青い光・・・暗い店内・・・窓際に・・・小さく寄り添う・・・二人・・・。稲光に浮かぶ・・・寂しそうな萩乃の表情・・・。
「私達の・・・星にはね・・・」静かに語り出す萩乃・・・うつむいたままのマリ・・・。
「地球で言う、女性しか存在しないの・・・」寂れた暗い店内・・・壁の「瀬戸内紀行」のポスター・・・。
「それでも・・・生殖は可能なんだけど・・・」カウンターの上の・・・ガラスの割れた壁掛け時計・・・。
「このままでは滅んでしまうことが・・・分かってるの・・・」青白く・・・ほのかに明るい窓・・・。
「だから・・・この星に・・・」小さく横を向き・・・視線を逸らす萩乃・・・稲光に浮かび上がる・・・表情・・・。
「う・・・?」体にかかる布を引かれ・・・横を見る萩乃・・・。
「
あ・・・」そこには・・・疲れ切った様子で・・・寝息を立てるマリが・・・。
激しい雨音・・・窓際に小さく見えるマリと萩乃・・・。
その様子を、街路灯の上から見つめるBLUEのアジサシ・・・赤く光る双眼・・・。
・
・
・
「あ、あいつは!・・・自分が何を言ってるのか分かっているのか?!!」声を震わせるアザナエル。
「軍規であるアルメの内情を・・・一体どう言うつもりだ!」
街灯の傘の上・・・雨に打たれながら二人を凝視するアジサシ・・・。
「私は・・・コマンダーを信じている・・・」モニターを見つめながら、静かに語るツバエル・・・。
「オノミルも同じだった・・・」
「えっ?!・・・
んん・・・」一瞬息を呑み・・・視線を逸らせるアザナエル・・・。
「お前にも・・・信じろとは言わん・・・」蘇るオノミル最期の姿・・・。
「だが・・・分かってはもらえないか・・・」アザナエルを見つめ懇願するツバエル・・・。
「コマンダーが・・・どれだけご自分を責め苛んできたのかを・・・」痛ましげに俯き、再びモニターを見つめるツバエル・・・。
「
んん・・・・」溜息をつき・・・モニターに視線を移すアザナエル・・・。
モニターの中のドライブインの暗い窓・・・。
肩を寄せ合い、小さく映る・・・マリと萩乃・・・・・・。
・
・
・
轟く雷鳴・・・。
寝入ったまま・・・突然息を荒げる萩乃!!
・
・
・
「コマンダーの脳波パターンに変化!」急変を告げるBLUE!鳴り響くアラーム!息を呑むツバエル!
「接触テレパス??!!」叫ぶアザナエル!
・
・
・
連続する雷鳴!眠ったまま苦しげに白い息を吐く萩乃・・・蘇る・・・悪夢・・・。
闇夜に浮かぶ、周囲を火に包まれた神隠島の遠景・・・夜空を横切る光。
上空からの光線に包まれて白く輝くBLUE!
「エミルフォースドライブの内圧上昇!制御が効きません!」急を告げるツバエルの声!響き続けるアラーム音!
「コマンダー応答して下さい!コマンダー!・・・」
双胴機で神隠島上空を飛ぶエカリル・・・。
「こんな!・・・こんなこと!!」眼下に広がる荒涼とした島!散乱する死体!!悲痛な叫びを上げるエカリル!
「こんな!!」死体の握る刃物・・・切断された人体・・・動揺するエカリル・・・。
「コマンダー!コマンダー!応答して下さいコマンダー!!」繰り返すツバエル。
双胴機のモニターに映る、生命反応を示す赤い光点・・・。
「ハッ!!」モニターに見入るエカリル!
「このままでは・・・機関がもちません!」切迫したツバエルの叫び!
エカリルの瞳に映る・・・モニター上の光点・・・。
息を呑む・・・エカリル・・・・。
轟音をあげて・・・飛び去る双胴機・・・・。
轟く雷鳴!!
稲光に浮かび上がるマリと萩乃・・・身を寄せ合い・・・寝入ったまま白い息を吐き、苦しげな二人・・・。
天空からBLUEに降り注ぐ光!「コマンダー!ブリッジからはコントロール不能!オノミルが、オノミルが機関室に!!」
暗い神隠島上空を、何度も横切る光の波・・・。
「オノミル!そこは危険だ!退避しろ!」
風防が開き、無人となった双胴機・・・。
「オノミル!!」絶叫するツバエル・・・。
海中に飛び込み・・・深みを目指すエカリル・・・。
「
あっ!」沈んでいく人影をみとめ、歯を食いしばって腕をかくエカリル・・・。
暗い水底に向かって沈んでいく・・・幼い少女・・・次第に近づくエカリル・・・。
開かれる少女の目・・・ほのかに明るい海面を背景に、近づいてくる長い髪の人影・・・。
ゆっくりと伸ばされる少女の両腕・・・見つめるエカリル・・・差し伸べる白い手・・・。
沈んでいく二人・・・触れ合って・・・握りしめられる・・・二人の・・・手と手・・・。
次第に明るさを増す海面・・・不思議そうに見つめる少女・・・涙を流すエカリル・・・・。急激に白熱する海面!まばゆい光に包まれていくマリと・・・エカリル・・・。爆発と同時に、火球に包まれるBLUE!
爆風と光線に包まれ・・・消えて行く・・・神隠島・・・。
・
・
・
「ハッ!」
意識を取り戻し、両目を見開くマリ!
轟く雷鳴・・・・。
暗い室内・・・目覚めた二人・・・降り続ける雷雨・・・。
「あなたが・・・」萩乃に目を向け・・・囁くマリ・・・。
「・・・・」無言で・・・顔を背ける萩乃・・・。
「あなたが・・・私を・・・助けてくれたのね?!」萩乃の顔を覗き込みながら問いかけるマリ。
「・・・・・そうなんでしょ?・・・・」
「・・・・・・・・ん・・・・・・・・・」かすかに頷く萩乃・・・。
「
は・・・・・・・・・・・
!!」声にならない声を上げ、被っていた布をはらって、泣きながら萩乃にしがみつくマリ・・・。
「あ・・・・・・」戸惑う萩乃・・・。
「ありがとう!・・・ありがとう!・・・・萩乃〜!」泣きじゃくるマリ・・・・。
呆然としたまま・・・ゆっくりと・・・マリの背にまわされる・・・萩乃の手・・・。
泣き続けるマリ・・・無表情のまま・・・溜息をつく・・・萩乃・・・。轟く雷鳴・・・・。
稲光に浮かぶ・・・抱き合ったままのマリと萩乃・・・。
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画像が切れたBLUEのモニター・・・・。
俯く・・・ツバエル・・・。
呆然と見つめる・・・アザナエル・・・。
「あのフォリメを・・・助けた・・・・」
「オノミルを・・・・・見殺しにして・・・・」揺れる瞳・・・信じられない面持ちで・・・苦渋に満ちた言葉をつぶやく・・・アザナエル・・・・・・。
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轟く雷鳴・・・・・。
暗いままの窓・・・・闇に沈む・・・・・・ドライブイン・・・・・・。
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(続く)
では・・・最初から見所を・・・。
まずは・・・3羽の雀ですが・・・可愛いですね。(笑)
そして、ミッチーの自室に散乱する大量の資料に驚かされます。一冊一冊内容を吟味して描いているのか???まさかね・・・。(笑)多分、大倉監督の思い入れの強さがあの大量の本に現れているんでしょうね。
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「Lagenaria siceraria」 「夜の・・・思い出・・・」
え〜と・・・ユウガオだったかな?花言葉もどこかにあったかと思います。それなりに意味深ですね。
BLUE DROPは夜の物語だと思います。濃密で、暗く、切ないお話です。マリと萩乃の過した一夜の、余りにも濃密な、切ない「思い出」です・・・。
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浮かび上がる鮮やかなイメージ
この場面の挿絵?は「りちゅうぞんび」さんの作品で、
ぞんびさんのHPでは日記がもう見られなくなっていてはっきりしませんが、2007年の3月か4月頃?にアニメプロダクションと打ち合わせが行われたと書かれていたと記憶しています。今回改めて見てみたら、最初は殺風景だった背景が、ジャンヌと少女の中が良くなるにつれて一輪の薔薇の蕾が咲き、さらには花園になっていくという事が分かってちょっと驚きました。中々見物なのですよ!
そして・・・ジャンヌと萩乃を象徴する薔薇がここに・・・・。
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少女をジャンヌと思い込んだ人々と接し、傍らのジャンヌの話を聞くうちに、少女は、ジャンヌの孤独な胸の内を理解していきます。
それまでジャンヌは、自分の心の中を人にさらけ出す事も出来ずにいて、辛い事も、苦しい事も、悲しいことも、全て自分ひとりで抱え込んでいたんです。
屈託のない少女に接する内に、ジャンヌは徐々に心を開いていきます。
全てに絶望し、諦めていたジャンヌは、いつしか、自分の命に代えてでも大切にしたいものを再び見つけます。
誰でも希望を持つことが出来る・・・諦めずに信じ続けることが・・・きっと何かを変えていく・・・。
未来を恐れず、希望を捨てない事によって・・・・・この部分は特に言うことはないかな。このBLUE DROPという物語の全てがここに・・・。
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目を見開き、信じられぬ面持ちのミッチー・・・・。
影の主役ミッチーにとっての晴天の霹靂のような場面ですね。良家の子女達の間で、ひたすら目立たなかったミッチーが、初めて存在を認められたのです。良かった良かった。(笑)
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「・・・怖く・・・ないの・・・?」「・・・私達の・・・事・・・」マリと萩乃の電車の場面ですね。マリの記憶が戻って来つつある・・・。その事実に
おののく萩乃の描写が凄いですね。そして、怖くないの?と聞く萩乃・・・。自分が侵略者であり、加害者であるという自責の念に苛まれている萩乃の、正直な気持ちが表れています。だからこそ・・・距離を置かなくてはならない・・・・そんな気配もあって切ないのですね・・・。
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「・・・あなたのことも・・・昔から・・・知っているような・・・気がしてたんだ・・・・」対してマリは・・・運命的なものを感じながらもその正体が分からず、ひたすら萩乃に思いを寄せる様子が・・・痛々しい・・・。それが、萩乃にとっては両刃の剣になっているとも知らず・・・。
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頭に白いベール・・・両手に真っ赤な薔薇のブーケを抱き、うつむき加減で瞳を閉じ・・・花嫁を演じるマリ・・・・・・一呼吸おいて萩乃に向けられる・・・・花のような・・・マリの笑顔・・・・。何も言うことはありません・・・。萩乃にとっての大切な情景です。しっかりと脳裏に刻みましょう・・・。このような何気ない光景の積み重ねが、全話を見終わったときに生きてくるのですが、そこまで考えて作られていることに驚かされます。
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吐息をつきながら頷き・・・マリから夕日にを視線を逸らしてながら・・・ゆっくりと・・・囁くように答える・・・萩乃・・・・。「ああ・・・・・・」声を失い・・・萩乃の横顔を・・・見つめる・・・マリ・・・・。う〜ん・・・美しい・・・・。
この観覧車の場面も電車の場面も、顔の表情を見せなかったり視線をそらせたままの描写が多いのですが・・・それぞれの場面で二人が何を考えているのか?本音は何か??そんな事を思いながら見つめる時間が・・・至福です・・・。見る者の想像力を刺激し、二人の心に寄り添う様に・・・そんな風に考えて作られているのでしょうか?凄いです・・・。
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「こんなに・・・色々な話ができるとは・・・思わなかった・・・」「・・・・・・・・・それも・・・お互い様!」お互いに、初めて本音を言い合った場面ですね。ずっと・・・ずっと・・・話したかった・・・。そんな気持ちがにじみ出しています。
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「コマンダーは・・・何かを探しておられるのかも知れない・・・」「あのフォリメに・・・会ってからだ・・・・」「あんな風に・・・笑うようになられたのは・・・・」
エカリルをずっと見つめ続けてきたツバエルだからこそ言える言葉です。もちろん、その答えも知っているはず・・・でも言えないですよね・・・それほどに・・・
アルメの美学は・・・重いんです・・・。
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モニターの中を・・・走り続ける・・・二人・・・・・・。
第4話の最後と同じです。二人だけで走る場面は、とても切なく・・・美しい・・・無垢なる魂の触れ合い・・・。そして・・・この光景は・・・はかないもの・・・。
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激しく降り続く雨・・・街灯の青い光・・・暗い店内・・・窓際に・・・小さく寄り添う・・・二人・・・。運命的な二人の存在を象徴するような光景です・・・。
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「私は・・・コマンダーを信じている・・・」「コマンダーが・・・どれだけご自分を責め苛んできたのかを・・・」
ここも切ないね・・・。エカリルの苦しみを知りぬいているツバエルです・・・愛すべき上官を懸命に支えようという部下の姿が麗しい・・・。
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「コマンダーの脳波パターンに変化!」急変を告げるBLUE!鳴り響くアラーム!何気なく書かれていますが・・・もの凄く高度な科学技術ですよね!「事故の真相」にもつながる大事な要素です・・・。
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天空からBLUEに降り注ぐ光!
ここに全ての真相が!
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次第に明るさを増す海面・・・不思議そうに見つめる少女・・・涙を流すエカリル・・・・。急激に白熱する海面!まばゆい光に包まれていくマリと・・・エカリル・・・。美しい場面です。海中で涙が見えるのか?とか、何故息が続く?なんて考えてはいけません!!(笑)
この場面には、マリと萩乃の二人だけが生き残り、二人の間だけで成立する接触テレパスの秘密が描かれているのですね。まさしく・・・運命の刻印のようなものです・・・。母なる海の深みが二人を救い、そして過酷な運命を背負わせた場面です。
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泣き続けるマリ・・・無表情のまま・・・溜息をつく・・・萩乃・・・。全てが分かったと思い歓喜に震えるマリ。そして対照的な萩乃・・・。萩乃にとっては、地獄の釜の蓋が開いたに等しい事態です。自分の罪を告白し許しを請わなければ・・・ただただ・・・針のムシロの日々が始まる・・・。
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「オノミルを・・・・・見殺しにして・・・・」良く見ると分かる、ツバエルがオノミルの名を叫んだ時、エカリルはすでに乗機を離れていたと思うが、フォリメの命など何とも思っていなかったアザナエルには通じない・・・。怨念のこもったようなつぶやきが悲しい・・・。この場面をもって物語は、暗い水底に向かって転がり出す・・・。
う〜ん・・・何度見ても・・・凄まじいばかりのドラマに満ちた第9話です。
特に、マリと萩乃の交流場面では、一瞬も目が離せません!!切なく震える二人の心が手に取るように分かって感動的です!
こんな物語に出会えて良かった・・・。