2009.01.28 Wednesday
篠田 真由美「闇の聖杯、光の剣―北斗学園七不思議〈2〉」
闇の聖杯、光の剣―北斗学園七不思議〈2〉 (ミステリーYA!)
篠田 真由美 (2008年4月刊)
「北斗学園七不思議」シリーズ第2弾。第1巻は一学期だったのかな?第2巻はその後の夏休み明けの二学期から始まります。登場人物も同じですが、お話としては随分怖い展開に・・・。
「鬱蒼とした森に囲まれた、歴史ある全寮制の北斗学園。その広大な敷地内の一画「旧ブロック」には、戦前からの建物が点在し、異空間を作りあげている。アキ、ハル、タモツは、中等部2年の同級生。新聞部に所属している3人が目下頭を悩ませているのは、文化祭に出品する新聞製作コンクールのネタ。期限まであと数日なのに、何も思いつかない。ただでさえ頭が爆発しそうなそんな中、学園にまつわる七不思議のひとつ、「記念博物館の謎」を探るはめになってしまう。さらに、3人に近づいてきた女生徒が謎の失踪を遂げて…。ドイツ第三帝国の崩壊、暗号、魔女、オカルト…。歴史の闇に秘められていた恐ろしい企みが動きだす。謎が加速する学園ミステリー、第2弾。」
(〜amazon)
第1巻と同様、冒頭で学園ドラマとは全く異質の「過去」の情景が描かれます。その過去の「亡霊」のような「存在」が学園を舞台に彷徨い、3人組を恐怖のどん底にたたき込む・・・う〜ん・・・何だか凄いぞ〜!!(笑)
今回の3人組は、単純に右往左往しているだけではなくて、頭も使い体を張って行動しますし、表紙に描かれている「猫」も重要な使命があったりして最後まで飽きさせません。第2弾だけに全体的な描写もかなり緻密に・・・結末はあっと愕く展開です!!
恐怖の対象でしかなかった「存在」が実は・・・・過去から繋がる「思い」が浄化されていくような結末は見事ですし、絵画や星座、美術史や聖書の話題までも盛り込んだ描写や「謎解き」は見事です!
基本的には学園ドラマなんだけど、ナチスの亡霊やオカルトといった怖いエピソードと、芸術絡みの格調い高いエピソードが絡まり合って読み応えがあります。「猫」が絡んだユーモアも秀逸!(笑)ごった煮風とも言えるYA向け小説ですが大人でも楽しめます。あ、出来たら第一巻を読んでからの方が良いでしょうね。