サウンドトラックCDの曲について書いてきましたが・・・ああ、ついにここまで来てしまった・・・。
34、
Romarin(ローズマリー) 作曲 三柴 理・Clara 2:30
第9話冒頭。ミッチーが教室で「オルレアンの少女」の構想を語る場面の曲。「Romarin」はフランス語かな?オルガンによる沈痛なオープニング、それに続くピアノの、美しく・・・孤独で・・・華麗な調べ・・・この物語の核心を語るミッチー・・・音楽もまた・・・。
第11話の最後、最終13話、学園祭での劇の上演場面とそれに続くツバエルの奮戦、そして萩乃の・・・最期の微笑み・・・全ては・・・美しい戯曲の情景・・・。
第9話。
2年櫻花の教室。「学園祭の企画」のためのHR・・・。
椅子に座り、劇の粗筋を話し出したミッチー・・・。その周りに立ち、あるいは自分の机で・・・無言で聞き入る・・・仲間たち・・・。
「ごく普通の少女が・・・炎で焼かれる夢から覚めて・・・。気がつくと、暗い檻の中にいて・・・。そこはかつて人々から・・・聖なる少女とあがめられたものの・・・今では異端の烙印を押され・・・囚人となった、ジャンヌ・ダルクが捕らえられている・・・中世の牢獄だったんです・・・」祈る様に、両手を握りしめながら語るミッチー・・・。
椅子の背においた両手に顔を乗せるように座り、ミッチーを見つめるマリ・・・。頬杖をついて聞き入る朱音・・・。腕組みして、黒板によりかかるようにして立つ祐子先生・・・。
「ふいに眼前に現れた少女を・・・牢内のジャンヌは・・・悪魔の使いと罵ります。いきなり悪魔呼ばわりされた少女は・・・反発して・・・狭い牢の中で、少女とジャンヌは険悪な雰囲気になってしまいます・・・」
「すでにジャンヌの処刑を明朝に控えた牢獄に、様々な人々が訪れます。親切な牢番のお上。ジャンヌを熱狂的に支持していた見習い修道女。ジャンヌとともに戦った騎士・・・」
「少女は・・・訪れた人たちに、必死で助けを求めます。けれど、人々の目には、少女の姿がジャンヌとして映っているのです。少女の目には見えている、牢内の本当のジャンヌの姿や声は、訪れた人々には分からないんです・・・」
「少女をジャンヌと思い込んだ人々と接し、傍らのジャンヌの話を聞く内に・・・少女は、ジャンヌの孤独な胸の内を理解していきます・・・」
「それまでジャンヌは、自分の心の中を人にさらけ出すことが出来ずにいて・・・辛いことも苦しいことも、悲しいことも、全て自分一人で抱え込んでいたんです・・・」
「屈託のない少女に接する内に・・・ジャンヌは、徐々に心を開いていきます。全てに絶望し、諦めていたジャンヌは、いつしか、自分の命に代えてでも大切にしたいものを・・・再び見つけます」
「だれでも希望を持つことが出来る。諦めずに信じ続けることが・・・きっと何かを変えていく・・・」
「未来を恐れず・・・希望を捨てないことによって・・・」
揺れる瞳・・・感極まって両手を合わせ、祈るように・・・語る・・・ミッチー・・・。
「
えとっ・・・・そんなお話を・・・書ければいいなって・・・」仲間たちの視線、静まりかえった教室に気付くミッチー・・・。
「思ってるんですけど・・・」口ごもるミッチー・・・。
「あ・・・あの・・・ダメだったらまた、別のお話を考えますから・・・」自信なさそうに、うろたえるミッチー。「そんなこと無い〜!すっごく良かったよ〜ミッチー〜!!」叫ぶとともに立ち上がり、涙目のまま、ミッチーの手を握って振るマリ。賞賛の声を上げる仲間たち。目を見開いたままで、信じられない思いのミッチー・・・。
第11話。
学園祭を2日後に控えた夜の講堂。メガボマーを迎え撃つ萩乃をプールサイドで見送ったマリは、舞台上で萩乃への思いを切々と・・・。
「ジャンヌ・・・あなたの抱えていた悲しみや苦悩が・・・少しだけ・・・分かった気がする・・・」独り、照明を浴びて舞台中央に立ち、悲しげな表情で語り出すマリ・・・。
暗い海上・・・轟音とともに浮上するBLUE・・・。
「敵攻撃機による空襲・・・」艦橋に響くBLUEの声・・・。
「メガボマーは?」問い返す戦闘服姿の萩乃・・・。
「フルバースト射程まで、あと50ビコット・・・」BLUEの応答・・・。
「迎撃しますか?」緊迫したツバエルの問いかけ・・・艦体を揺すぶる爆発音・・・。
「その余裕は無いわ・・・。シールド展開・・・対空機銃フルオート・・・3番砲塔照準準備!」指示を出す萩乃。
「了解!」応えるツバエル。
BLUEの周囲を取り巻く弾幕。飛び交う閃光・・・轟く爆発音・・・立ち上がる水柱・・・。
「今の私には・・・もうあなたの姿が見えない・・・」
椅子に貼られた「千光寺」の名前・・・語りかけるマリ・・・聞き入る仲間たち・・・。
「あなたの声も聞こえなくなってしまった・・・」
「でも・・・でもジャンヌ・・・あなたはまだ・・・そこにいるんでしょう?」
暗闇の中で肯くミッチー・・・。
「私の声が・・・聞こえているんでしょう?・・・」
「
マリちゃん・・・」打たれる祐子先生・・・。
「だからねぇ・・・ジャンヌ!」椅子に向かって振り向くマリ。
「もう一度・・・会うことが出来たら・・・」うつむいて、「千光寺」と書かれた紙をを見つめるマリ・・・。
「もう一度・・・あなたに・・・
ジャンヌ・・・」囁く・・・マリ・・・。
ノヴァール艦内。端末を操作して何事かを探るアザナエル。
「何故だぁ・・・何故ああもBLUEに・・・?」つぶやきながら、懸命にキーボードを打ち続けるアザナエル・・・。
「敵重爆、射程内に到達・・・」BLUEの声。直後に切れるモニター・・・。
「
ぬあ!・・・自動制御・・・不能!!」叫ぶツバエル。
「今度はもっと・・・
きっと素直になれる!」涙を浮かべた目、握りしめた手を胸に当て、叫ぶマリ!
「
だからジャンヌ!もう一度わたしの前に!!」祈るように叫ぶ・・・マリ!
「目標接近・・・」
「
む・・・・!」苦悶の表情、歯を食いしばる萩乃・・・。
「艦体、傾斜角増大、姿勢制御・・・不能・・・」
暗い夜空、傾きを増すBLUE・・・立ち上がる水柱、炸裂する閃光・・・迫るメガボマーの巨体・・・。
「目標・・・分離!!」叫ぶツバエル。
轟音とともに機体から分離し、BLUE目指して突入する弾頭!!再び途切れるモニター!!
「姿勢制御システムが!!システムが回復しません!!」絶叫するツバエル!
「
あ・・・あ・・・!」傾く艦体、翻弄されるツバエル・・・。
「傾斜角・・・なおも増大・・・射角不適当・・・攻撃不能・・・」無情に流れるBLUEの声・・・。
「
ん・・・!!」モニターを見つめる萩乃・・・・見開かれた瞳に映る・・・迫る・・・弾頭!!
突然、反応を示すBLUE!
「これは!!」モニターを見つめて驚愕するアザナエル!
「システム復元・・・傾斜回復・・・」
安定を取り戻す艦体!ロックされる照準!作動する3番砲塔・・・。
フルバーストで斉射される・・・ビーム砲!!
閃光に包まれる・・・弾頭・・・。
「だからジャンヌ・・・もう一度!」木霊する・・マリの・・・祈り!
BLUEを包み込み、轟音とともに沸き上がる・・・白く・・・巨大な・・・火球!!
静寂を取り戻した艦橋。息も絶え絶えの萩乃とツバエル・・・。萩乃に向かって肯くとともに、消えて行く・・・オノミルの姿・・・・。
第13話。
学園祭当日。遂に幕が上がった「オルレアンの少女」。戦火の夢を表す影絵が走り抜け、悲鳴とともに浮かび上がるのは、両手で頭を抱え耐える少女・・・。
「
あ?・・・夢?・・・」顔を上げ、戸惑う少女。
「何?・・・ここはどこ?」照明に浮かび上がった鉄格子・・・駆け寄る少女。
「
ねえ〜誰か!ちょっと!!」鉄格子を両手でつかんで叫ぶ少女。
「お前は・・・・・。私の牢で騒ぎ立てる・・・・・・お前は何者だ・・・?」ワラの寝床に座ってうつむいたまま、少女の背後から呻くように問いただす・・・粗末な身なりの・・・ジャンヌ・ダルク・・・。
ゆっくりと顔を上げ・・・険しい表情で少女を見つめるジャンヌ・・・同じような表情で見返す少女・・・。
「あなた・・・・・・誰なの?!」
暗い講堂の中、静かに見つめる理事長、舞山教務主任、父兄たち・・・。舞台袖で大きく頷くミッチー・・・見つめる仲間たち・・・。
同じ頃、上空で繰り広げられるアルメ機と自衛隊機の空戦!発射されるミサイル、爆発するアルメ機・・・。圧倒な数と強力なビーム砲による攻撃の前に、むなしく散っていく自衛隊機・・・。海王市の空を埋め始めた火花と黒煙・・・轟く爆発音・・。
「かつては救国の英雄とあがめられ・・・今は異端の名の下に牢につながれし、このジャンヌを知らぬとは!」白い鎧を身にまとい、旗を手に、スポットライトに浮かび上がる誇り高きジャンヌ・ダルク!
その瞬間・・・講堂を揺るがす爆発音・・・!
「あ!?・・・」息を呑むマリ・・・天井を見つめ、動揺する聴衆と仲間たち・・・。
「
はっ!・・・・」ふと気付いて、視線を、萩乃に向けるマリ・・・。
「!・・・・・・」そこには、息を荒げて歯を食いしばり、苦渋の表情を浮かべる萩乃の姿が・・・。
海上から海王市に突入するアルメ機!後方から追尾しながらも手の施しようながない自衛隊機。低空を進むアルメ機の前に転移し、弾幕を張りながら姿を現わすBLUE!
「上空にアルメ機多数・・・」無機的に響くBLUEの声・・・。
「分かってるわよ!」懸命にコンソールを操作するツバエル。
「何としても・・・何としてもコマンダーを!!・・・」
「
守るんだから!!」叫ぶツバエル!
BLUEの側舷から連続して射出され、美しい航跡を残しながら上空に広がっていく無数の攻撃機・・・。
講堂では、祐子先生が避難を呼びかけ、聴衆の混乱の中・・・劇は終わる・・・・。
・
・
・
マリと仲間たちに別れを告げた萩乃は、BLUEを駆ってノヴァールを目指す。最後の戦いを前にツバエルを脱出させた萩乃は、独り・・・ノヴァールに・・・突入する!
轟音とともに崩れゆくノヴァール・・・その破片を浴びながら突き進むBLUE・・・。
揺れ続けるBLUEの艦橋・・・席に座り、軍帽を取った萩乃・・・。
両手で持った脚本を見つめ・・・心静かに・・・最後の台詞を・・・朗誦する萩乃・・・。
「いかなる刃をもってしても・・・切ること能わず・・・」
「我の内なる荒野に咲ける・・・一輪の薔薇を・・・・」
脚本に描かれた薔薇・・・潤んだ・・・青い瞳で見つめる・・・萩乃・・・。
「薔薇の名は・・・ジャンヌ・・・・」ゆっくりと・・・瞳を閉じる・・・萩乃・・・。
「千光寺・・・・萩乃・・・・・」かすかに微笑みながら・・・囁き・・・白い光に包まれ・・・消えて行く・・・萩乃・・・・。
徐々に瓦解し・・・紅蓮の炎に包まれていくBLUE・・・。
南の空高く・・・浮かび上がる・・・光の十字・・・・。
「ジャンヌ・・・世界に希望の・・・種を・・・蒔く者・・・・」潤んだ目・・・輝く十字を見つめながら・・・囁く・・・マリ・・・・。
背後には仲間たちと・・・上空を埋める無数の円盤・・・。
黒煙が漂い、火の粉が流れる風の中・・・立ち尽くす・・・マリ・・・・。
・
・
・
ああ・・・・・・・美しい結末・・・。
第9話は、ミッチーの語りに合わせたBGMですね。格調高く、悲劇的で、しかも美しい・・・。「オルレアンの少女」を音にした・・・・という感じです。そして、この点が重要なのでしょう・・・。
第11話は、マリの、萩乃に対する祈るような呼びかけ、萩乃たちの絶望的な戦い、そして真実を知ろうと奮闘するアザナエル、の3つの場面が同時進行すると言う緊迫した展開でした。そして結末は・・・ハッピーエンドでしたね。ただ、使われ方としては純粋にBGMと言えると思います。
最終第13話は、劇の部分に関しては完全なBGMでしたが、萩乃の最期の部分は曲の後半が流れ、全てが浄化されるような終わり方でした。ですから・・・ここも・・・ハッピーエンドなのですが・・・。
そうなのです!
この「Romarin」と言う曲は、この物語が「ハッピーエンド」であることを教えてくれるのです!!そして、これこそ、この物語の「核心」なのだと思います!特に13話については重要です!!
実は・・・オンエアーで13話を見たとき・・・泣けましたね〜。(笑)
3ヶ月は・・・泣いて暮らしました。(笑)
落ち着くのに更に3ヶ月・・・長かったな・・・。(爆)
何て悲しい物語・・・と思っていましたが、不思議なことに、
雑誌の対談やDVDの中で、大倉監督や沢城さんたちは、「ハッピーエンド」だったというような事を言っていましたね。
以前の書き込み『
アニメ「BLUE DROP」とジャンヌ・ダルク その(1)、
その(2)』でジャンヌ・ダルクの生涯と劇の関連の面からこの辺について書いてはありますが、正直に言うと・・・感覚的に・・・もう一つ得心がいかないのですね。(笑)
監督が言っているのだから、と思っても・・何となく受け入れられない・・・そんな状態が長く続いたのですが、DVD第6巻付属のCDを聴いている内に、閃いたものが・・・。
そうです・・・閃いたのです・・・。
音楽に意味を持たせる時、色々なやり方があるようですが、この曲の場合はメロディーでも、使っている場面でも、もちろん歌詞でも無いわけですね。曲名の「Romarin」は「ローズマリー」のことですし、第13話の「象徴」でもありますから曲自体にも同様の意味を持たせていることは容易に推察できますが、「ハッピーエンド」に繋がるか?と言うとちょっと弱いと感じます。
では他に何が?と考えた時・・・最初の場面で聞こえていた・・・「台詞」が意味をもっているのでは?・・・と閃いたのですね。
最初の場面の台詞といえば・・・「オルレアンの少女」の構想を語るミッチーの台詞、と言う事になります。中でも重要なのは最後の部分・・・。
「それまでジャンヌは、自分の心の中を人にさらけ出すことが出来ずにいて・・・辛いことも苦しいことも、悲しいことも、全て自分一人で抱え込んでいたんです・・・」
「屈託のない少女に接する内に・・・ジャンヌは、徐々に心を開いていきます。全てに絶望し、諦めていたジャンヌは、いつしか、自分の命に代えてでも大切にしたいものを・・・再び見つけます」
「だれでも希望を持つことが出来る。諦めずに信じ続けることが・・・きっと何かを変えていく・・・」
「未来を恐れず・・・希望を捨てないことによって・・・」
この部分は曲の後半部分に重なっています。第13話では、萩乃の最期の場面とマリの囁きの場面に・・・。
そこで・・・見方を変えて・・・。
それぞれの場面に、ミッチーの語りの声が重なっていると想像してみて下さい!!
「それまでジャンヌは、自分の心の中を人にさらけ出すことが出来ずにいて・・・辛いことも苦しいことも、悲しいことも、全て自分一人で抱え込んでいたんです・・・。屈託のない少女に接する内に・・・ジャンヌは、徐々に心を開いていきます。全てに絶望し、諦めていたジャンヌは、いつしか、自分の命に代えてでも大切にしたいものを・・・再び見つけます」
この部分は萩乃の微笑みの部分に・・・。
「だれでも希望を持つことが出来る。諦めずに信じ続けることが・・・きっと何かを変えていく・・・。未来を恐れず・・・希望を捨てないことによって・・・」
この部分はマリと仲間たちの部分に・・・そして・・・。
「ジャンヌ・・・世界に希望の・・・種を・・・蒔く者・・・・」
というマリの言葉と響き合うのです・・・。
この静かで・・・幸福感に満ちた想いと力強いメッセージ・・・この物語の「核心」が、実際には聞こえませんが、それぞれの場面で流れているのです・・・だから・・・ハッピーエンド・・・なのですね・・・。
この事に気付いてから13話を見直すと・・・萩乃の最期の微笑みが・・・何と安らかで・・・美しい事か・・・マリの涙もまた・・・同様です・・・。
ああ・・・やっと・・・ハッピーエンドだ・・・・ね。(微笑)
さて、今回は最初に、「ついにここまで来てしまった」と書きました。そして・・・。
>この物語の核心を語るミッチー・・・音楽もまた・・・。
とも書いています。何故かというと・・・この曲こそサウンドトラックCD全39曲の中で最も重要な曲だと思っていたからなのですね。そして、正直に言いますが、実はこの「サウンドトラックから・・・」シリーズ、きっかけは
第13曲「 Moment」(瞬間)ですが、もともとはこの曲を念頭に置いて始めたのです。
ああ・・あれから5ヶ月・・・・・・長かった・・・・やっと肩の荷が降りたような気がします・・・・。
そう言えば、今までの15曲ですが・・・ほとんど成り行きでした・・・。(汗)ま、おかげで色々発見がありましたから、やって良かった〜と思いますが。(笑)
と言う事で、このシリーズ、山は越えましたが、あと2曲くらいは続けます。アレとコレかな?中々捨て難い曲、そして奥の深い曲なのです・・・。
ああ・・・「Romarin」・・・萩乃の微笑み・・・そのもののような曲ですね。