雪太郎のつぶやき

美しいもの、面白いもの、切ないもの、考えさせる物・・・。一人が好きだけど、独りじゃ寂しい。そんな私のつぶやき・・・・。
クラシック音楽が苦手な人にはお薦めできません。暗いのが嫌いな人にはお薦めできません!!お子様にもお薦めできません!!
[謝辞]
父と母に、家族に、多くの慰めと喜びを与えてくれた、過去、現在、そして未来の芸術家達に、感謝!!
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2008.04.28 Monday

危ない電車

今日のNHK総合TVの「クローズアップ現代」は、日本の鉄道車両の安全性についての話題でした。見てビックリ!!

驚くべきことに日本の鉄道車両には衝突時の車体強度に関する規制基準が無いんです!!

最近の日本の鉄道車両は、省エネと定員増と快適性に関する追求は素晴らしいものがあるらしいのですが、安全に係わる車体強度に関しては国の基準としてはなにも無く、その結果が3年前のJR福知山線の事故による107人の死亡と562人の負傷者ということのようです。

日本での今までの考え方は「事故が起きない様にする」ということだったそうで、事故が起きたときのことは・・・考えないようにしような〜・・・・と、年金問題に通じる、どこかで聞いたような考え方だったんですね。(笑)

第2次大戦中の日本軍の「ゼロ戦」は、相手をやっつけることを優先し、やっつけられた場合の事はあまり考えられていなかったそうですが、全く同じ考え方のように思えます。相手となった米国は、頑丈な機体を強力なエンジンで飛ばし、戦闘能力と安全性のバランスのとれた戦闘機で日本軍を圧倒した訳です。ゼロ戦が撃墜した「グラマン」のパイロットが、数日後にはまたゼロ戦の前に現れるという例が笑い話のように書かれているのを何かで読んだ記憶があります。

鉄道車両でも同様で、米国の車両は衝突時の安全性に関する厳しい基準があるそうです。「事故は必ず起きる」ことを前提にした考え方で、過去の事故を反省してできた基準があり、その基準への適合を確認するための広大な試験場もあるそうです。興味深いのは、あの国の鉄道車両の30パーセントは・・・日本製なのだそうです!

かつての自動車同様に、製造メーカーはダブルスタンダードで物を作って平然とし、鉄道会社は国の方針に従うだけ、国は国で安全第一の基本を無視して穏便な手法に流れるばかり。出るのは・・・ため息ばかりですね。(笑)

福知山線の事故を教訓にして、現在、国は車両強度に関する基準作りを検討しているそうですが、性急かつ過大な要求は零細鉄道会社に打撃となる、というような考えから?、早期の法規制は考えていないようです。毎日乗る電車が安全な車両に変わるのは、早くても5年・・・10年先のことになるのかな?

107人の命は、結果として官僚の「事なかれ主義」の犠牲だったとも言えます。あんなことが2度と起きないように、自分や家族が「事なかれ主義」に殺されないように願いたいものです。

とりあえずは・・・電車に乗るときは後方の車両に乗りましょうね!!爆弾

2008.04.28 Monday

天才と転載

さて、「著作権」ですが大雑把にまとめてしまいますね。

キーワードは「私的使用」「引用」「参考」「転載」というところかな?

まずは「私的使用」。

CDなどをコピーしたりネット上の画像をプリントアウトしたりという行為は誰でもやっていることだと思いますが、個人が自分の家庭の中で行っている分には問題にはなりません。コピーしたCDを家族や「友人」にあげたりすることも「私的使用」と認められているようですね。あげる範囲が「友人」を超えると・・・危ないようですが・・・。

さて、ではコピーした画像をブログやHPに掲載する事は・・・NGですね。アップロードした時点で「私的利用」の範囲を超えています。「非営利」の「私的サイト」だからという理由は認められません。

次は便利な「引用」です。

著作権法でも他人の著作物を許諾を得ずに使うことを例外的に認めているのが、この「引用」らしいです。

本の紹介などで印象的な文の一部をそのまま掲載する事を「引用」と言いますが、何でも許される訳ではありません。その文を書く上で必要であり、しかもその文全体の極一部でしかないという形での使用が求められます。「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」と言うことですから、文全体の大部分が「引用」というのは認められないという事ですね。また、引用する場合は「元の内容を変えてはいけない」「引用元を明記する」などの配慮も必要なようです。

次は「参考」です。

ノンフィクションの本などを読むと、巻末に参考文献の一覧が載っていることがあります。専門書では普通ですね。これらは著者がその本を執筆する上で「参考」にした物です。具体的に言うと、それらの本を読んで知った事実や考えなどを自分の言葉に直して再構成し、自分の言葉で書きました、という事ですね。これが「参考」です。

ですから、ブログなどで他人の本などをとりあげる時は「参考」が良いのですね。この場合もできるだけ「参考」とした本の名前を掲載した方が良いでしょう。

さて最後は「転載」です。

新聞記事などを紹介するときは、短い記事の場合など何となくまるまる写してしまうことがありますが、これが「転載」ですね。単にコピーして貼り付けただけの場合もありますが新聞社の立場からは「転載」なんです。

そして「転載」は「有料」です!!

どこかの新聞社のサイトを見た記憶では、記事一本で5000円程度が必要なようです。う〜ん・・・安い!!(笑)

ま・・・お金のある方はどうぞ・・・。(笑)

という事で、駆け足でまとめてしまいました。「参考」にしてください。(笑)

なお、一連の内容はこちらの「しゅんしゅんさんのサイト」を「参考」とさせていただきました。もともとは図書館で借りた本に感心したのですが、著者のHPがこちらなんです。ディズニーのファンサイトを運用する上で直面した「著作権」についての問題をまとめたのが本でありHPです。本はこちらです。

「どこまでOK?」迷ったときのネット著作権ハンドブック
「どこまでOK?」迷ったときのネット著作権ハンドブック
植村 元雄

普通の「著作権」の関連本は「これは出来ない、許されない」という表現が多いように感じますが、この本の場合は「どこまで出来るか?」というテーマで実例をあげて説明した本なので表現も分かりやすく私でも読めました。「参考」にどうぞ。

ということでかなり大雑把、いい加減な内容ですが、「参考」としてください。私も「転載」と指摘されるような事はやらないようにしないと・・・。

「天才」と言われるような人達は「転載」によって利益を得、他者に「引用」や「参考」にされる事によって名声を得るんでしょうが、一般人には縁が無いですね。せめて請求書がまわってこないようにしましょう。(笑)ふくろ

2008.04.26 Saturday

シュミット 村木眞寿美「左手のピアニスト―ゲザ・ズィチから舘野泉へ」

左手のピアニスト―ゲザ・ズィチから舘野泉へ
左手のピアニスト―ゲザ・ズィチから舘野泉へ
シュミット 村木眞寿美 (2008年3月刊)

大変に読み応えのある本です。巻末の参考文献一覧には60冊近い内外の本の名前が書かれています。内容を大雑把に言えば、19世紀から現代に至る、「左手のピアニストと音楽家たちの物語」と言ったところでしょうか?

「左手のピアニスト」と言えば、日本人ピアニスト舘野泉さんの近年の活躍が、TVなどでとりあげられて良く知られていますね。その関連で、20世紀前半?に活躍したパウル・ヴィトゲンシュタイン(1887〜1961)(有名な哲学者ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタインの兄)の名前も聞いたことがあります。

この本では最初と最後で舘野さんが取り上げられ、ヴィトゲンシュタインも巻末でかなりのページを使ってその人となりと人生が紹介されています。さらには「左手のピアニスト」のための「作曲の歴史」を完結にまとめた章もあります。ではそれ以外の大部分は?と言うと、ヴィトゲンシュタインの先輩として存在した一人の「左手のピアニスト」の生涯が描かれています。

その人の名前は「ゲザ・ズィチ」(1849〜1924)。ハンガリー人の伯爵です。

14歳の時に猟銃の暴発事故によって右腕を失って生死の境をさまよったズィチは、希望を失わずにあらゆることに挑戦し、後に「左腕のピアニスト」として西欧に知られる演奏家となったそうです。とは言っても、伯爵という身分の彼は生活のためにピアノを演奏する必要はなく、いわゆる「慈善演奏会」のような形での演奏活動だったようで、活動範囲はイタリアからロシアまで・・・主に1880年代を演奏家として過したようです。

慈善演奏という性格上、招聘元には各国の王侯貴族がズラリと!!激動の世紀末に向かって次々と国境線が変わっていく時代ですから、出会った王族の中には歴史の荒波に飲み込まれて消えていく人々も多数・・・。オーストリア・ハンガリー皇太子ルドルフ、ロシア皇太子ニコライ、バイエルンのルートヴィヒ二世・・・・。ヨーロッパの黄昏と共に生き、消えて行った人々との出会いも描かれています。

当然の事ながら、演奏家ゲザ・ズィチは多くの音楽家と交流がありました。中でも、この本で全体の3分の1をついやして書かれているのがフランツ・リスト(1811年〜1886年)との交流です。1873年の出会いから1886年の死別まで、師弟として友人として公私にわたって深い関係を結んだ様子が日記風の形で延々と綴られています。これが凄いですね!!リストの名前を知り、曲を知っていても、彼の伝記まで読んだという人は少ないのではないでしょうか?この本には、極めて個性的なカリスマ音楽家の素顔がゲザ・ズィチの目を通して描かれています。その姿は音楽家としても人間としても、優れた人のみが持つ暖かさと凛々しさが溢れていると感じました。読み応えがありますよ!!

更にはリストの娘婿であるワーグナー(1813年〜1883年)マーラー(1860年〜1911年)との出会いと別れの様子、同時代を生き死んでいった音楽家のことも少しずつですが書かれています。これは、過去を知らない私たちにはとても貴重な「証言」とも言えると思いました。

あの時代に伯爵とした生きた人物ですが、個人的な家庭生活の様子も描かれていて興味深く読めます。何しろ伯爵様ですから。(笑)両親、兄弟、妻と子供達・・・。そして友人や使用人の様子・・・時に優しく時に辛らつに。(笑)結構笑える場面も・・・。(笑)その様子は文字通りの「古き良き時代」の姿ですね。

そうそう、「左手のための曲」と言えば、ラヴェルの曲がよく知られていると思いますが、ご存知ですか?バッハの時代から現代まで、「左手のピアニスト」のために創られた曲が2600曲ほどもあるという事を?意外なほどあるんだ!!と驚きます。ヴィトゲンシュタインのお話の中でもその辺の作曲事情が書かれているのですが、資料としても価値が有る本だと思いましたね。

手にとったときは地味な印象だったんですが、読み進むほどに引き込まれていって、読了してしまいました。作者は関係者(その多くが高齢者)にインタビューをしたり、資料を教えてもらったりして取材を進めたようで、温もりの感じられる作品です。音楽家の歴史ドキュメンタリーといった雰囲気に仕上がっていると思います。

連休中に、音楽関係でなにかまとまった本を読みたいと考えている方にお薦めしましょう!ムード

2008.04.23 Wednesday

DVD「BLUE DROP~天使達の戯曲~ Vol.5」

BLUE DROP~天使達の戯曲~ Vol.5
BLUE DROP~天使達の戯曲~ Vol.5

第10話、第11話の2話を収録。ビットレート8M前後。LPCM2.0 1536kbps。表紙を含めて16ページのブックレット付き。

ケースのイラストはマリと仲間達。ケース裏の謳い文句は「復讐の甘美なる誘惑 蠢く執念への疑惑」とあって、毎度のことながら・・・強烈!(笑)ケース内側のイラストはBLUE艦載機。

ブックレットの最初のページはBLUE以外のメカニックデザインを担当された米村孝一郎さんへのインタビュー。なんと着手したのは一昨年の8月!!放送の1年以上も前から取り掛かっていたんですね。その時点でシナリオは第4話までできていたそうです・・・。

さすがにメカにこだわる大倉監督の作品らしく、かなり苦労されたようです。素人には詳細不明な部分もありますが、大倉監督とともに、米村さんの頑張りがあってこの作品が出来た事が良く分かります。そう言えば、すっきりとしたBLUEのデザインに比べて他の艦船のデザインは複雑な線が多く感じましたが、作者が違っていたんだから当然ですね。(笑)その辺も監督の狙いだったのかな・・・。

2ページ目は粗筋とエスエフ設定コラム。コラムはまたまた「エミルフォース(4)」!!(笑)う〜ん最後までこれで行く気だな?(爆)相変わらず意味不明・・・。(汗)

次は2ページに亘る「メカニック - 2 -」。米村さんの労作ですね。ケルビルー、ノヴァール、シュペール、エルボルーのイラストと詳細図です。でも小さくてね〜・・・。(笑)やはり設定集が欲しい・・・。

最後は吉冨さん書下ろしの「BLUE DROP 舞い降りた天使第5話」10ページ。う〜ん・・・次回最終話を前に・・・分かれの予感が・・・・。

映像特典はオーディオコメンタリーと前回からの続き?の座談会。

オーディオコメンタリーは第10話。沢城さんとツバエル役の後藤邑子さんが登場です。女二人ですからね・・・。(笑)前半はクスクス笑いが絶えず、ノリノリのお二人です。かと思うとやはり繊細なニュアンスのお話もたっぷり聞けます。

前回も触れられていましたが、普通のアニメと違い、このアニメにはお二人とも一年ほども係わってきたそうで、現場の雰囲気も非常に良かったんだそうです。後藤さんは一人30分にも及ぶオーディションで初めて緊張しそうですが、収録後は毎回全員で食事に行ったとか、勉強になった〜なんてお話が聞もあって、なるほどこの物語はとても丁寧に作られた作品なんだと分かります。「終わって欲しくない現場だった・・・」そうです。

驚いたのは、アザナエルやツバエル、そしてマリや萩乃に関するお二人の見方がとても深くて、なるほどと頷く場面がたくさんあったことですね。私なんか、どうしてもマリと萩乃に集中しがちなんだけど、アザナエルやツバエルも見るべき部分が一杯あるというようなお話が聞けます。声優さんてここまで真摯に、深く深〜く見ているんだな〜・・・と発見させられます!

「(マリと萩乃は)裏に緊張感がある関係・・・」「萩乃が少女になってる回だよね!」「(ツバエルは)空気読める宇宙人・・・庶民的な宇宙人・・」「(アザナエルは)真直ぐ愛してるから復讐のしかたも屈折してない・・・だから彼女が選ぶ未来も真直ぐ・・・」なんてお話が次々に!!これは凄いな・・・・。

声優さんて、仕事では他人の言葉を使っていながらも、多くの人生を追体験する事で人間観察力が磨かれて行く・・という感じでしょうか?漠然と感じていたことを、ここまではっきり言葉に出来るというのは凄いな〜と感心しきりですね。

極めて中味の濃いオーディオコメンタリーだと思います!必聴ですよ!!

20分程の座談会は大倉監督、吉富さんと沢城さん。

最初の話題は名前についての内輪話。地名の話は聞いてましたが方言も・・・・結構笑えます!(笑)

次はその後の裏話。制作が進むうち、色々なアイデアが現れては消えていった経緯や紆余曲折が語られていって、とても興味深く聞けます。「ツバエルが裏切る・・・」なんてお話も!!(笑)ゆっくりと思い出しながら話すお二人の様子・・・結構笑えます!(笑)最初はマリと萩乃しかいなかったそうですが・・・。なるほどね・・・こんな風にお話ができていったんだな〜!

男二人はちょっと寡黙なので沢城さんが引っ張っている感じですね。やはり酒がないと・・・。(笑)次回最終回でも何が飛び出すか楽しみにしましょう。

肝心の本編ですが、見る前はちょっと辛かったんですが、見始めると・・・あちこちに発見があって驚かされます。そうか・・・マリは朱音のあの言葉で・・・・。あ、これは後で書きますね。(笑)

さてDVDもあとは第6巻のみか・・・。皆さん予約されました?第6巻「限定版」はBGMのサウンドトラックCDが付いてきます!!ぜひ手に入れましょうね!!ラブ

2008.04.22 Tuesday

マリさん・・・その(7)

ではアニメ「BLUE DROP」第7話から・・・いよいよ「マリさん・・・」が聞けます・・・。

トンネルを抜け、木漏れ日の中から、セミの大合唱と眩しい夏の日差しの真っ只中に飛び込むワンボックス車・・・。「船津丸魚業」の名前の入った白い車体・・・。

「夏休みのある日、私たちは船津丸先輩の実家に、お引越しの手伝いかたがた遊びに行くことになりました・・・」ミッチーの言葉・・・。スナックを食べ続ける船津丸。はしゃぐマリと朱音。(笑)物静かに読書する萩乃・・・。

車の左側に広がる海!!港から港へと引っ越すという船津丸漁業の無数の漁船が、大漁旗を掲げ、汽笛を鳴らしながら車と逆方向に向かって進んで行く・・・。驚くミッチーたち・・・。

「お〜〜〜〜い!!」

サンルーフから上半身を出したマリが、手を振りながら漁船に向かって叫ぶ!!それに応える舟の男達・・・。陸と海の間で交わされる・・・声と声・・・・。

「舟の引越しなんて・・・何だかロマンチックで・・・・何かが起きそうな・・・・・ドキドキの予感です!!」

涼やかな萩乃の顔を見つめ、マリの声を聞きながら・・・頬を染めて興奮するミッチー・・・。(笑)

走り去る車・・・白い雲と青い空・・・眩しい陽光・・・。

   「Crinum」(穢れない・・・心・・・)

車を降りた一同。目の前に拡がる海と、見上げるような石段の上の船津丸の実家。驚く朱音たち・・・。ジーパン姿の朱音とマリ。オレンジ色?のワンピース?姿のミッチー。そして・・・白いツバ広の帽子に・・・長めのゆったりとした白いワンピース姿の萩乃・・・。

瓦葺の立派な構えの門を入る一同。挨拶に応える船津丸の姉の声・・・。

涼しげな風鈴の音・・・。

何かを見下ろすマリ、萩乃、朱音とミッチーの顔・・・。視線の先には・・・手をばたつかせる赤ん坊・・・。

「何考えてんだろ・・・?」「・・・さぁ・・・・?」「どこ見てんのか・・・?よく分かんね〜な・・・」「あ・・私見た・・・」困惑するマリ、萩乃、朱音とミッチー・・・。(笑)

意味不明にはしゃぐ赤ん坊。(笑)

「オイオイ・・・見せもんじゃないぞ〜・・・」ウチワで仰ぎながら呆れたように声をかける船津丸。
「あらあら・・・良かったわねノリちゃん・・・綺麗なお姉さんが大勢来てくれて・・・」「あたしがやるよ!!姉ちゃん!」「そう?ありがとう!」麦茶を持って部屋に入ってきた船津丸の姉。身重の姉(船津丸ゆり子)を気遣う船津丸。

「・・・にしたって全くさ〜・・・。一人でも大変なのに・・・少しは考えろよな〜!まさかこの調子で、毎年生む気じゃないだろうね?!!」「あ・・・バッカね〜!!」戯れる姉と妹。(笑)

寮長のお姉さん・・・綺麗な方ですね・・・」「だよな・・・とても同じ遺伝子とは思えないぜ・・・」小声で話すミッチーと朱音に「何か言ったかい??!!」と・・・耳の良い寮長!!笑ってごまかす朱音・・・。(笑)

赤ん坊を見つめるマリ・・・。右手の人差し指を出して、思い切って赤ん坊のほっぺを・・・つつく・・・。途端につばを飛ばすノリちゃん!!(笑)

「うわ〜ッ!!」

思わず飛びのき、尻もちをつくマリ!!(爆)ハイハイでマリに近づき、膝に手をかけて更につばを飛ばすノリちゃん!!

「ひぇ〜〜ッ!!」と、恐怖の表情で硬直するマリ!!(爆)

「御免ね〜!この子奥歯が生えかけててね〜歯茎がムズムズするのよ。これ咬ませておかないと唾飛ばしちゃってね・・・。はいノリちゃんオシャブリですよ〜」

茫然と見つめるマリ・・・。(笑)

「わ〜・・・・」圧倒される朱音、ミッチー。

「まるで・・・・未知の生物ね・・・・」茫然とつぶやく・・・萩乃・・・。(笑)

白い雲と青空を背景に、鳶が鳴きながら旋回する空。昼下がり?の縁側。セミ時雨と風鈴の音を聞きながら脚本を考えるミッチー。諦めたようにため息をついた時、背後の障子が突然開き、ツーピースの水着姿のマリが!!「じゃ〜ん!!」と登場!!(笑)
「・・・・もう・・・・泳ぐんですか?・・・・」戸惑ったように聞くミッチー・・・。
「当然じゃな〜い!ミッチーは・・・行かないの?」「私は・・・お芝居のお話を考えなくちゃいけないから・・・」「う〜ん・・・折角のお出かけなのにね〜・・・」「うん・・・」肩を落として、ため息をつくミッチー・・・。

「そいつ・・・泳げないんだよ」障子の影から、黒いビキニ姿の朱音が顔を出して言う。「お・泳げますよ〜〜・・・8メートル位ですけど・・・」恥ずかしそうに口ごもるミッチー。思わず笑うマリと朱音。(笑)

「ん・・・・?」ふと気付いたように、奥に視線を送るマリ。気付いた朱音がわざとらしく言う。
「あ〜あ!!遅いな〜。何やってんのかな〜?萩乃のやつ〜!!」
驚いたように頬を染め「フンッ!!」と横を向くマリ。(笑)笑う朱音とミッチー・・・。


「アザナエルの様子は?」部屋でアジサシを通してツバエルに問いかける萩乃。
「はい、精神状態良好・・・とは言えませんが・・・今のところ、特に異常ありません。どうか安心して、休暇をお過ごし下さい」「一度、戻った方が良いかしら?」「大丈夫です・・・」

「萩乃〜!!」呼びかける朱音の声。飛び去るアジサシ・・・。「どうした〜?先に行ってるぞ〜!!」朱音の声を聞きながら、何やら心配そうな表情でアジサシを見送る萩乃・・・。空にこだまする鳶の鳴き声・・・。



海底のBLUE。営倉で、通路に面したシールドを叩き続けるアザナエル。「ウルサイ!!いい加減にしろ!!」怒鳴るツバエル。「エカリルに会わせろ!!」「だから、今はダメだと言っているだろう!!」「何故だ〜!この艦の責任者たるコマンダーへの面会を要求してるだけだ!何が悪い!!??」

「コマンダーは今は・・・きゅ・・・休暇中でいらっしゃるからだ!!」口ごもり、横を向きながら答えるツバエル。(笑)
「休暇?・・・・一体お前たちは何を考えている!!」

「仕方が無いだろ!!」

アザナエルの言葉をさえぎり、前かがみで両手を握り締め、叫ぶツバエル!!

「コマンダーには・・・休息が・・・・」言葉を切り・・・声を潜め・・静かに立ち上がるツバエル・・・。

必要なんだ・・・・」目を逸らしながら、つぶやくツバエル・・・。

「お前には分からんだろうがな・・・・」静かに飛び去るツバエル。

「お・・オイ!」戸惑ったように声をかけたあと、「休息・・・?」と考え込むアザナエル・・・。




風鈴とセミの声・・・。縁側で仰向けになって寝込むミッチー・・・。真っ白なままのノート・・・。

昼寝をするノリちゃん。(笑)

「新しい港の工事終わったの?」「う〜ん、大体は。今日船を持って行って、まだ細々あるみたいだけど・・・」「う〜ん・・・いよいよ引越しか〜・・・。ここで過す夏休みも、今年で最後だね〜・・・」「・・・そうね〜・・・・」障子の向こう、明るい空を見つめながらしみじみと話す・・・姉と妹。響く風鈴・・・。

人気の無い港の堤防。
ゴザを抱えた朱音。「本当に誰もいないな・・・・」

「わ〜・・・」堤防の突端で海を覗き込み目を輝かせるマリ・・・。
「何かいる?」背後から声をかける萩乃。「あッ!・・・ビックリさせないでよ!」驚くマリ。「水が澄んでるのね〜・・・」「・・・うん・・・」立ち上がって頷くマリ。

沖合いの白い雲、真っ青な空・・・。

「あ・・・・」沖の岩場に気付いたマリ。
「ねぇ、あの岩まで行ってみない?」「あそこに?・・・危なくない?」「平気よ〜!何なら競争してみる?」萩乃の顔を覗き込むマリ。
「ここ、深そうだもの・・・あっちの浅瀬に行きましょ・・・」マリに構わず歩き出す萩乃。不満そうなマリ。(笑)萩乃を早足で追いかけて先回りするマリ・・・。

「マリさん?・・・」

「どしたの??・・・・」立ち止まって片足を振り出したマリに怪訝そうな萩乃・・・。

そのままサンダルを蹴り飛ばし、萩乃に向かって駆け出すマリ!(笑)

「えッ?!・・・えッ!!??」戸惑う萩乃!(笑)

「タ〜〜〜〜〜〜!!!!」

堤防から跳躍し、数10メートル先まで?飛んで・・・3メートルほど先の海に落下するマリ!!(爆)

「・・・もう・・・・」呆れたように・・・苦笑する萩乃。(笑)

「先に行ってるよ〜!!」浮かび上がって、言いながら手を振るうちに「えッ?」と戸惑うマリ。

視線の先では・・・白いパーカーのジッパーをおろす萩乃・・・。現われる・・・白い水着・・・青いワンポイントの付いた白いサンダル・・・。足元に落ちるパーカー・・・。

頬を染めて・・・見つめる・・・・マリ・・・。

飛び込む萩乃・・・。太陽と真っ青な空を背景に、空中を飛ぶ萩乃の白いワンピース姿・・・輝く光の粒子・・・。白い泡に包まれる萩乃・・・。息をつめて、水底に向かって進む萩乃・・・。海底の貝殻を見つけ手を差し出す萩乃・・・。貝殻の先の岩陰には不気味な口を開いた・・・ウツボの姿・・・。


岩場にたどり着き、荒い息をつくマリ。青空が消えた空・・・。
「へへ・・・ぶっ千切り!!」得意そうに言いながら、ふと周りの様子に気付くマリ。
「あれ・・・??」流れる雲、暗さを増す空・・・。

船津丸家では、産気づいた姉に慌てる妹・・・。雷鳴が鳴り出した空・・・。急に降りだした雨が縁側で昼寝中のミッチーとノートを濡らし、慌てるミッチー・・・。浜辺で甲羅干し中の朱音もぼやく・・・。

荒れ始めた海。高まる雷鳴。激しさを増す雨に白くぼやけていく遠景・・・。

暗くなった沖の岩場で、途方に暮れて叫ぶマリ・・・。

「ちょっと〜・・・ね〜ね〜ちょっと〜〜!!!・・・・・

暗さを増す海・・・・。


雨に降り込められた船津丸家。タクシーを待つ姉と妹、そして朱音。同行を申し出た朱音に「いや、こんな天気だしね・・・。姉貴を病院に届けたらすぐに戻るから、それまでのり子を頼むよ」と言う船津丸。「あ・・そっか・・」納得する朱音。「御免なさい・・・ミルクだけ・・・あげといてくれれば良いから・・・」と言いながら・・・意味深に微笑む姉・・・。(笑)「タクシー来ました!」門で待機していたミッチーが声をかける・・・。



雨音の響く浴室で、膝を抱えながら、不機嫌そうな表情で湯船に沈むマリ。手の平で顔を拭い、遠い目で思い出すマリ・・・。

「バカ〜!!どうしたかと思ったじゃないよ!!」

やっと戻った暗い堤防の上で、立ち尽くす萩乃に一方的に叫び、肩を怒らせて歩きだすマリ・・・。一旦立ち止まり・・・。

「・・・もう・・・知らない!!」と言って、振り返りもせず走り出すマリ・・・。

無言で立ち尽くし、濡れそぼったまま、手の平の貝殻を見つめる萩乃・・・。

降り続く・・・雨・・・・。


浴室で我に帰ったマリ。「んッ!」と言って立ち上がり湯船を出るマリ・・・。


部屋で、一人、手にした貝殻を見つめる萩乃・・・。

「あッ・・」襖の開く音に気付く萩乃・・・。

「お風呂・・・空いたよ・・・」バスタオルで髪の毛を拭きながら、ぶっきら棒に告げるマリ。バックを手に部屋を出る萩乃。

「言っとくけど・・・・・・。別に・・・あなたを心配してた訳じゃないんだからね!!」すれ違いざま、赤い顔でつっけんどんに告げ、髪の毛を拭きながら部屋に入るマリ・・・。

「ふッ・・・」思わず苦笑する萩乃。

「何笑ってんのよ!!さっさと入ってくれば!!」

「ええ・・・」マリの剣幕に笑いながら、歩き出す萩乃。

背後で乱暴に閉められる襖・・・。(笑)


病院で貧乏ゆすりをしながら苛立つ船津丸。到着した母親、直後に生れる2875グラムの女の子・・・。「また女かい!」顔をしかめる船津丸。「女系よね〜・・・」とほくそえむ母・・・。(爆)

船津丸家で、火の付いたように泣き叫ぶノリちゃん。当惑する朱音、マリ、ミッチー・・。(笑)思い切ってオムツ替えに挑戦するマリ!!走りまわる朱音とミッチー。(爆)

散乱するウェット・ティッシュとゴミ袋・・・。疲れ果てて、畳に横たわる3人組。(笑)ご機嫌なノリちゃん。(笑)「凄げーな〜・・・」「あたしたちも・・・あんなだったんですね・・・」感に耐えない様子の朱音とミッチー・・・。(笑)

「お風呂・・・」畳から顔を上げつぶやくマリ。「おい〜・・何もそこまでしなくても!」「そろそろ、寮長さんも戻って来るし・・・」当惑する朱音とミッチー。

「あんなに汚れて、拭いただけじゃ可哀そうじゃない!」優しい表情でノリちゃんを見つめ抱えあげるマリ。
「ちゃんと洗ってあげなくちゃ・・・。ちょうど・・・入ってる人もいるしさ〜!」「ちょうど・・・」「入ってるって・・・?」「ん?・・・」マリの言葉に顔を見合わせる朱音とミッチー・・・。


浴室で、髪を束ね、膝をすぼめて、肩に手をやり、思い出す・・・萩乃・・・。

貝殻を右手に持ち、荒れる岩場の横に辿り付いた萩乃。息を整える萩乃の耳に届いたのはマリの叫び声・・・。

ねえ〜!!ちょっと〜!!返事してよ〜!!お願い!!萩乃〜〜!!

そんなの・・・そんなのヤダよ〜!!」泣きじゃくるマリの姿・・・。

茫然と見つめる・・・萩乃・・・。暗く・・荒れる海・・・。



浴室で・・・優しく・・・微笑む萩乃・・・。



突然開く浴室の扉。我に帰る萩乃。入ってきたのはノリちゃんを抱えた・・・マリ。

ちょっとさあ〜〜・・・。お願いがあるんだけど・・・・」硬い表情のマリ。下から見つめるノリちゃん・・・。(笑)

「え??・・・えッ???」困惑した表情の・・・萩乃・・・。(笑)

固まったままの二人・・・。(爆)浴室に響く・・・水の音・・・。



病院の船津丸。電話に出たミッチーから様子を聞き、慌てて帰ろうと焦る船津丸!!(笑)
「早く帰らないと・・・殺される・・・・!!」必死の船津丸・・・。(笑)「県道が通行止め」というタクシーの運転手の言葉も耳に入らず・・・家を目指す船津丸・・・。仕方なく走り出すタクシー・・・。(爆)

ノリちゃんにミルクのあげようと奮闘する3人組。泣き叫ぶノリちゃんにげっそりした様子のマリ。

「お待ちどうさま・・・はい、ミルク!」「ありがとう・・・・。う、アッチ!!」萩乃が持ってきた哺乳瓶を手に取ろうとして、沸騰する瓶から思わず手を離すマリ!!(笑)

「あ、熱すぎない!!??」驚くマリ。

「出来立てが・・・良いと思ったんだけど・・・違うの??!」不思議そうな萩乃・・・。(笑)

通行止めの県道。運転手が止めるのも構わず、タクシーを降りて家を目指して歩き出す船津丸。「早く帰らないと・・・殺される!!」雨に濡れながら、暗い予感に怯えて進もうとする船津丸・・・。(爆)

「飲んでる飲んでる〜!!お腹空いてたんだね〜!!」壁を背に、哺乳瓶を支えながら、興奮した面持ちでノリちゃんを見つめるマリ。(笑)

「本当・・・凄い勢い・・・!!」マリの横から、同じように見つめる萩乃・・・。

部屋の中央の座卓で一人、白いノートに鉛筆を走らせるミッチー・・・。
「あ〜・・やっと一息ついた〜!!」風呂からでた朱音が髪を拭きながら襖を開けて入ってくる。「あ、お帰りなさい・・・」「あ〜、飲んでるね〜!」「やっぱり、冷まして正解だったんですよ〜!」「あ〜、良く見たら缶にちゃんと書いてあったし!!」思わず笑う朱音とミッチー。

「凄い・・・あっと言う間に全部飲んじゃった・・・」空の哺乳瓶を掲げながら驚く萩乃。

しゃっくりをする・・ノリちゃん・・・。(爆)

「ま、良かった良かった!」ほっとする朱音。「ちなみに・・・香月は何やってんだ?」「えッ・・・これは・・・その〜・・・」口ごもるミッチー・・・。(笑)「あ〜・・・芝居のあれだな〜?見してみろ、ほら〜!!」「ダ、ダメですよ〜!!!」「良いじゃないか、いつか見るんだから!」「良くないです〜!!」「どんなんだ〜??恋愛か〜??〜??」「ダメ!!見ないで下さい!!」必死で抵抗するミッチー・・・。(笑)

「洗ってくるわね」「うん・・・」哺乳瓶を手に立ち上がる萩乃。ノリちゃんを膝にのせたマリ・・・。

しゃっくりが止まらない・・・ノリちゃん・・・。(爆)

崩れ落ちた道路の土砂を乗り超えて、真っ黒になって奮闘する船津丸・・・・・・。(笑)

「ダメですってば〜!!」「う・ふふ・・・御免御免!!」謝る朱音。「ついつい気になっちゃってさ〜・・・」肩にノリちゃんの顔をのせて揺らしながら、ミッチーを慰めるマリ。「大体・・・まだ何も書いてないですから・・・」「まだなんだって!!」おどけたようにノリちゃんに話しかけるマリ。

「残念でちゅね〜〜!!」クルクルと回りながらミッチーの背後に来たマリ・・・しゃっくりが止まらないノリちゃん・・・。(爆)

次の瞬間・・・・ノリちゃんの口から噴き出す・・・ミルク!!(爆)

「えッ??!!」「おッ??!!」「!!!!!!!!」凍りつく三人!!(爆)

座卓と、ミッチーの腕とノートを濡らすミルク・・・咳き込むノリちゃん・・・。

「嘘・・・嘘〜〜〜〜!!!!!!!!

夜空に響き亘るミッチーの絶叫!!!轟く雷鳴!!!!(爆)




満月の照らす堤防の突端・・・二つの影・・・波の囁きと虫の音色・・・。

「お呼びでしょうか?コマンダー・・・」緊張したツバエルの声・・・。

「ええ・・・」歩み寄る萩乃・・・。

「これ・・・・」手にした貝殻を手渡す萩乃・・・。

「え・・・・?これを・・・?私に・・・・?」貝殻を手に不思議そうに問いかけるツバエル・・・。

頬を染めて・・・無言で頷く萩乃・・・・。

「・・・ありがとう・・・・」俯き加減で・・・小声で告げる萩乃・・・。

「えっ?・・・あの・・・・」頬を染め、驚いたように、戸惑うツバエル・・・すぐに背を向けて駆け出す萩乃・・・。

「コマンダー・・・・」呼び止めようとして声をかけ・・・そのまま見送るツバエル・・・走り去る萩乃・・・。

「あぁ・・・・」ため息をつき、手にした貝殻を見つめるツバエル・・・。

「・・・・コマンダー・・・・」納得したように小さく息をして・・・優しく・・・愛おしそうにつぶやき・・・青い月の光を浴びてたたずむ・・・白いツバエル・・・。


朱音とミッチーが眠り込む部屋。静かに襖を開けて入ってくる萩乃・・・。爪先立ちでマリとノリちゃんの眠る布団に近寄って跪いて、二人を見つめ・・・。

「眠ってると可愛いんだけどね・・・・・・・ふふ・・・・・」

思わず微笑む萩乃・・・。

安らかに寝息をたてるノリちゃんと・・・マリ・・・。



海底のBLUE。
艦橋のシートで、頬を染めながら貝殻を見つめるツバエル・・・。
おもむろにそれを耳にあててため息をつき・・・薔薇色の表情で・・・囁くツバエル・・・・。

「・・・・もしもし・・・・コマンダー・エカリル・・・・」

次の瞬間・・・。

「な〜んて!!うはッ!!無い!!無い!!」体を揺らしておどけるツバエル!(笑)

営倉で一人、暗い表情で物思いに沈むアザナエル・・・。


深夜。疲れきった様子で玄関を開ける船津丸。
「お互い無事で良かったなあ〜・・・。あんたも今日からお姉ちゃんなんだから、しっかりしないとね〜・・・」腕に抱えたノリちゃんに、優しく語りかける船津丸・・・。

「みんなもお疲れさん!!色々ありがとうよ〜!!お休み!・・・」部屋の中で眠り込む三人に向かって声をかけて、出て行く船津丸・・・。

座卓に突っ伏して眠るミッチー、座布団を枕にする朱音。

そして、ノリちゃんがいなくなった布団には・・・・。


幼児のように寄り添って眠る・・・マリと・・・萩乃・・・・。



空には満月・・・風鈴の音と・・・虫の声・・・。


   ・
   ・
   ・
  
 (つづく)

いや〜・・・見れば見るほど・・・。

冒頭、ミッチーの言葉が入ります。そう言えば、このお話全体はミッチーの回想の形をとっているんでしたね。改めてそんなことを考えます。素晴らしき日々記憶・・・か・・・。

4人組の中で一際目立つのが、白で統一した萩乃ですね。涼やかな萩乃・・・まるで妖精のようです。(笑)

初めて登場する船津丸ゆり子さん。本当に同じ遺伝子情報によるものか?と疑問を感じます。(笑)ノリちゃんや生れたばかりの赤ん坊と共に12話でも少し登場しますが、姉妹の交歓の様子とノリちゃんの存在は寮生活しか知らない萩乃たちにとっても、刺激的だったようですね。普通の地球人の暖かで穏やかな日常・・・です。口ではきつい事を言っていても、互いを思いやる気持ちが滲み出す家族・・・。それはアルメたちの世界にも存在するものか?分かりませんね・・・。

>「まるで・・・・未知の生物ね・・・・」

萩乃の険しい表情は・・・・冗談で言ってるようには見えません。(笑)異星人の萩乃が言うほどノリちゃんは凄いんですね。(爆)この言葉からも分かるように、アルメたちの生活には子供を生み育てる家族という形態が無いのかも知れません。そこには「慈愛」に満ちた精神生活も無いのではないか?可哀そうなアルメたち・・・?

ま〜マリたちも同様のようですから、はっきりとは言えませんが。(笑)

>コマンダーには・・・休息が・・・・必要なんだ・・・・

バカンス気分全開のマリたちに対して、ツバエル一人に「仕事」を託す萩乃は後めたい気持ちもあるように見えます。アジサシを見送る表情にそれが見て取れます。でも、ツバエルはそんなことは気にしていないようです。むしろ、アザナエルに対して思わず言い放ったこの言葉から分かるように、エカリルの苦しみを理解し、少しでも役に立ちたいという気持ちが感じられます。上官思いの部下です・・・。

そして、堤防の場面。

萩乃が初めて「マリさん・・・」と。(初めてだと思うんですが・・・。(笑))でも、さらりと言ってますから、今までは使う場面に遭遇しなかっただけなんでしょうね。(笑)

そう言えば、よく見ていると分かるんですが、この「マリさん・・・」という呼びかけ、その後の「えッ?!・・・えッ!!??」、そしてこの後の「・・・もう・・・」という一連の萩乃の言葉は、12話のプールの場面でも聞かれる言葉ですね。二人の距離が一気に近づくきっかけとなる大事なセリフです。

この場面で面白いのは、先に飛び込むマリの不思議な距離感覚と時間感覚・・・お茶目です。(笑)

続いて注目すべきは萩乃です。

ゆっくりとジッパーを下げ、少しずつ露わになる萩乃の水着姿。そして足元に落ちるパーカー・・・。頬を染めて見つめるマリ・・・。中を飛ぶ萩乃の姿・・・。


最終話まで観た人なら分かるでしょう?あの最後の・・・別れの場面です。

舞台衣装を脱ぎ捨てる萩乃。足元に落ちる衣装。涙を溜めた目、紅潮した顔で見つめるマリ・・・。そして・・・飛び去る萩乃の後姿・・・・。

輝く夏の場面とそっくりなのに、時の移ろいと共に、悲しい別れの場面となってしまった・・・非劇的としか言いようがない・・・。第1話、堤防の場面のミッチーの言葉が、最終話でまったく違った形で再現されたのと同じように、この場面も・・・圧倒されますね・・・。

更には、どちらの場面でも、この後にマリが萩乃を呼んで叫びます。意識してこのように構成しているとしたら、凄いと思います・・・。

また、萩乃の白い衣装も・・・。

ひょっとしたら、制服以外は白しか着ないのか?(笑)そこには、ファッションセンスというより、もっと切実な物を感じます。

自らの羽を使って衣を織る小鳥。白い小鳥は白い衣しか織れないとでも言うようです。やはり萩乃は白い小鳥の化身なのかもしれません・・・。

マリと萩乃の関係は今まで中々進みませんでしたね。今回も、最初のうちは意識的に無視していましたが、嵐の中ではぐれてしまった時、萩乃を求めてマリは叫びます。

陸に戻ってからは(あの状況で無事に岸まで帰れたとは凄いです!!(笑))またつっけんどんな態度をとりましたが、本心はバレバレでした。(笑)湯船の中の萩乃の微笑みは「愛されている」と実感した幸福な一瞬の情景ですね・・・。

そして一騒動のあとで、ノリちゃんと眠るマリを見つめる萩乃・・・。

>眠ってると可愛いんだけどね

萩乃が「愛しい」という言葉を実感する場面でしょう。お互い中々素直になれない二人ですが、萩乃の思いがマリには伝わっていない部分を除いて、今の段階では上出来ですね。(笑)

今回、ノリちゃんは大活躍でした。公式HPのストーリーを読むと何だか凄いことが書いてありますが。(笑)ミルク噴出事件は・・・ミッチーが可哀そうでしたね。(笑)子育て経験者には常識なんですが・・・。(笑)ミッチーが後の全権大使となるきっかけがあの最後の絶叫だったとしても不思議ではありません!!(爆)

一連の大騒動を通して、マリが子煩悩であることが分かります。(笑)ノリちゃんを抱いてミルクを飲ませるマリの姿・・・。最終話の情景が蘇ります・・・。

萩乃にとって宝物となった情景です・・・。

アルメである萩乃が、マリのその姿に自分たちの未来を一瞬、重ね合わせたのかも知れません・・・・。

そして貝殻・・・。

手にした貝殻を静かに見つめる萩乃・・・。何をそんなに考えていたのでしょうか?綺麗な貝殻・・・最初はマリに見せよう、あるいはあげようと思っていたけれど、マリの剣幕に渡しそびれた?では・・・ツバエルに・・・?それとも、最初からツバエルに、と考えていたのでしょうか?分かりません・・・。ただ、アジサシが飛び去る時の表情は・・・なにか含むものを感じさせます・・・。

虹色に輝く貝殻を、わざわざ呼び出したツバエルに与えるというのは、やはり尋常のことではありません。萩乃は変わったのですね。もはや、第2話のころの「どうかしている」とつぶやたコマンダー・エカリルではありません。

月に照らされた堤防の上の光景・・・。

恥じらいを含んだ控えめな態度・・・。萩乃のそれはまるで少女のようです。コマンダー・エカリルとしてではなく、一個のアルメ、千光寺萩乃という名のアルメがそこにいた・・・「慈愛」というものを知ったアルメの姿だと思います・・・。

貝殻を受け取ったツバエルもそれが感じ取れたのでしょう・・・。一瞬息を呑み、萩乃の行動が理解できなかったツバエルですが、萩乃の言葉と表情からすぐに理解した・・・。苦しみ抜いてきたエカリルが、喜ばしい形で変わってきたということを。その実感がツバエルをお茶目にしたんですね。(笑)

沢城さんは、この馬面をみて「罪なことを・・」というようなことを言われていたと記憶してますが(記憶です!!(笑))ツバエルには分かっていたと思いますね・・・。

また、この時の萩乃の表情・・・。最終話でツバエルに向ける満面の笑みとの違いはどうでしょうか?別れまで後3ヶ月程?・・・萩乃がツバエルに与える物は「貝殻」と「命」の違いですが、萩乃自身も大きく変わっていく訳で、後半はその萩乃の変わっていく様を見つめるのだと、改めて思います・・・。

そして水着の場面と同様に、この場面も最終話の萩乃とツバエルの分かれの場面と対になっているように思えます。あまりにも切ない対比です・・・。

最後の場面。ノリちゃんのいなくなった布団で眠るマリと萩乃・・・。幸福な・・・あまりにも幸福な光景です・・・。


初めて見たときは、この第6話の「意味」が分かりませんでした。でも改めてみると・・・最初から最後まで目が離せません。日の光と月明り、セミや雷、風鈴、波や雨の音、マリや萩乃の表情やため息の意味・・・優しいBGM・・・繊細な描写の連続です。どんどん辛い展開になっていく後半の前の、かけがいの無い幸福な時間の情景です。

でも私には・・・

「全てが美しくて、明るい。そんな時間は、特別に早く過ぎてしまうものだ」
(〜シュミット木村眞寿美著 「左手のピアニスト」)

こんな言葉を思い出すほど、はかなくも切ない第7話・・・とも思えます・・・。ラブ

2008.04.19 Saturday

来週のFM放送

「FMクラブ」で来週のNHK−FMの予定を見ると・・・お〜〜〜!!(笑)
来週は「ウィーン・フィル特集」のようですね。

月曜日は・・・。

− チャールズ・マッケラス指揮、
     ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 −

「“プロメテウスの創造物”序曲」      ベートーベン作曲
                       (4分54秒)

「ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 作品15」 ベートーベン作曲
                      (36分16秒)
             (ピアノ)イェフィム・ブロンフマン

「ハンガリー民謡“くじゃく”による変奏曲」   コダーイ作曲
                      (25分27秒)
「タラス・ブーリバ」            ヤナーチェク作曲
                      (22分40秒)

火曜日は・・・。

− ダニエレ・ガッティ指揮、
     ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 −

「序曲“コリオラン”作品62」       ベートーベン作曲
                       (9分00秒)
「管弦楽のための3つの小品 作品6」       ベルク作曲
                      (22分15秒)
「交響曲 第1番 ハ短調 作品68」     ブラームス作曲
                      (45分04秒)

水曜日は・・・。

− ジョルジュ・プレートル指揮、
     ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 −

「交響曲 第1番 ハ長調」            ビゼー作曲
                      (34分24秒)
「交響曲 第1番 ニ長調“巨人”」       マーラー作曲
                      (55分14秒)

木曜日は・・・。

− ニコラウス・アーノンクール指揮、
     ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 −

「ドイツ・レクイエム 作品45」       ブラームス作曲
                   (1時間13分09秒)
             (ソプラノ)ゲニア・キューマイアー
               (バリトン)トマス・ハンプソン
          (合唱)アルノルト・シェーンベルク合唱団

金曜日は・・・。

− サイモン・ラトル指揮、
     ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 −

「楽劇“トリスタンとイゾルデ”から 前奏曲と愛の死」
                       ワーグナー作曲
                      (18分42秒)

「チェロ協奏曲 ホ短調 作品85」       エルガー作曲
                      (31分40秒)
              (チェロ)フランツ・バルトロマイ

「交響曲 第4番“不滅”」           ニルセン作曲
                      (35分28秒)
(〜NHK HP)

マッケラスのみ昨年の4月、その他は昨年の11月、12月のウィーン学友協会での収録。それぞれ中々に聴き所の多い演奏会のようです。毎日聞くのは無理かな?・・・。好みに合わせて聴いてみましょう。ムード

2008.04.19 Saturday

雨上がり

連日の雨でちょっと気が滅入る?(笑)

今日の天気は曇りのち晴れでしょうか?ちょっと明るくなったのでお散歩してきました。

寒くもなく、厚くもなくちょうど良い陽気ですから、同じような方々がチラホラ・・・。(笑)

道のあちこちに小さな流れが出来ていて、それが結構綺麗な流れで立ち止まった見つめてしまいます。う〜ん・・・時間がかかりそうだ。(笑)

柔らかな日差しが射してきて、道傍の雑草を照らし出すんですが、これが綺麗!!

葉っぱの上に乗った水滴がキラキラ輝いて宝石のようです!!


思わず携帯で撮ってしまいます。だから・・・遅い!!(笑)本当は1眼レフで撮りたいところですが、まだ持っていないから・・・。う〜ん・・・肉眼で見ると非常〜〜〜に美しいのですが・・・何だかショボイ絵しか撮れません・・・。(笑)

結局ノロノロと1時間ほども。

木々の緑や空気も、すべてが洗われたように爽やかです。



晴れると日差しが強くて暑くなりそうですから、早めのお散歩をお薦めします。雨上がりだと足元が濡れているので、靴には要注意ですよ。足

2008.04.16 Wednesday

樫本大進&コンスタンチン・リフシッツ

6月のコンサートの予約をしました。地元の行きつけのホールに、な、何と大進君がやって来ます!!(笑)チケットも比較的安いし、買わない訳にはいきませんね〜。

樫本大進は以前のFMの放送で聞いて感心した記憶があり、ぜひ聴いてみたいと思っている人なので良いのですが・・・曲目がね〜・・・渋いな〜。(笑)

「樫本大進&コンスタンチン・リフシッツ デュオ・リサイタル」

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第9番「クロイツェル」
ショスタコーヴィチ:ピアノ・ソナタ 第2番 op.61
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・ソナタ op.134

全部記憶にない・・・知らない?曲・・・・。(汗)

これはお勉強しなくっちゃ・・・。(笑)でも・・・手強そうだよな・・・。(笑)

ピアニストについては初めて聞く名前なのでなんとも言えませんが、二人の関係については大阪のザ・シンフォニーホールのHPで書いてあるので読んでください。多分素晴らしいピアニストでしょうね。5月はラ・フォル・ジュルネ、6月は国内楽旅と大進君は頑張ってくれるようです。お暇な方はスケジュールを見て出かけてみたらいかがでしょうか。

国籍を問わずに、現在私が期待している若手音楽家は庄司紗矢香、樫本大進、小菅優の三人ですが、生演奏に触れることが出来たのは庄司紗矢香だけですね。今回の大進君のリサイタルで二人目です。曲目が少々あれですが(笑)彼なら感動的な演奏をしてくれると・・・思います。

期待するだけでは危ないから、しっかりお勉強しよう。でも2ヶ月先だからまだ良いよな・・・。(笑)ふくろ

2008.04.15 Tuesday

着手!

早くも4月の半ばです!!のんびりしているとお正月に・・・。(笑)

仕事に追われてぼんやりしていると、日々感性が鈍っていくのが分かります。これはいかん!!という事で、「白い小鳥」Ver.2.0に着手!!

Ver1.0ではなんだか童謡風で、タン・タカ・タン〜と言う感じで非常に不満だったんですが、どこがどう悪いのか分かりませんでした。面倒になってアップしてしまい少々後悔しておりました。(笑)

冷静に考えた結果、ミクの声からすべてやり直すことにして先日から始めています。しかし・・・一進一退かな?(笑)

全体にわたって息継ぎに留意し、音の長短を細かく調整し繊細なニュアンスが伝わるように・・・したいものですね。(笑)発声については・・・これは難しいので、ある程度のところで見切り発車するしかないかな?あちこち覗いてみるとノウハウはあるようですが、そこまでやるか??!!という内容でついていけませんね。(笑)

やっているうちにメロディーが変わってきたり・・・歌詞も変えたくなったり・・・。

泥沼か?・・・・底無し沼でないことを祈ろう・・・。(笑)

問題はやはり伴奏か・・・。

前奏、間奏、後奏・・・難しいよな・・・。(笑)

基本的には「シンプル」路線しか選択肢は無い!!(笑)ただ後奏に関しては、最初の構想の段階から腹に爆弾抱え込んでるもので・・・。(笑)メインのメロディーと全く別のメロディーがあって、それを最後に登場させようかと目論んでいる訳ですが、素人の私には荷が重いかな?(笑)

傍から見たらお笑いでしかない曲ですが、極めて真面目に取り組む私です。(笑)

歌詞についてはほぼ固まっています。アニメ「BLUE DROP」のすべてを描き出す内容にしたいわけですが、所詮それは無理!!つまみ食いでごまかそう・・・と。(汗)

実は、メロディーと同様に、ここでも爆弾が・・・。(笑)

大部分はアニメの内容にほぼ忠実なんですが、爆弾の部分は全くの創作になってしまうので悩みます。100パーセント嘘ではないが、そんなことどこにも書かれていないぞ!!と言われたら返す言葉が無いな・・・でも書きたい!!という内容ですね。(汗)

散歩のついでに富士山に登った人間はいないそうだから、日々少しづつ進むしかないね。とりあえず一歩前進・・・そして2歩後退?(笑)足

2008.04.14 Monday

ラウラ・ガジェゴ・ガルシア「漂泊の王の伝説」

漂泊の王の伝説
漂泊の王の伝説
ラウラ・ガジェゴ・ガルシア 松下直弘訳 (2008年3月刊)

これは・・・素晴らしいです!!

「砂漠の王国、キンダの王子ワリードは貧しい絨毯織りの詩によって、夢と名誉をうばわれてしまう。憎しみにかられ、ワリードはその男に無理難題をもうしつける。《人類の歴史をすべて織り込んだ絨毯》をつくれ、と。それは成しとげられないはずであった・・・・・・。

スペインのバルコ・デ・バポール児童文学賞にかがやき世界八ヶ国で翻訳された、傑作歴史ファンタジー。」

表紙の裏に書いてありました・・・凄いんです。(笑)

表紙の絵がいかにも児童文学という雰囲気で、ちょっと退くものがあります。(笑)もう少し格調高い大人向きの絵でも良かったんじゃないか?と思える中味の良さなんですが。

作者は1977年生まれのスペインの女性で、彼女のHPを見ると・・・スペイン語しかなくてなんだか分かりませんが、入口のイラストは素晴らしいですね。また中に入るとこの本のオリジナル版(2002年刊)が載っていますが日本版より雰囲気が良いかな?あちこち見所満載じゃありませんか?凄いぞ・・・多分・・・。(笑)

さて本の中味ですが、時代はイスラム教が生れる以前の頃。舞台はアラビア半島にある小さな王国。前半は良くあるお話で、優等生の王子様の転落の様子が・・・。自信のあった詩作の才を否定され、暗い怨念から絨毯織りの男に対して過酷な責め苦を課す王子。その果てに、国を傾けすべてを失う・・・。そして、後半は彼の数奇な運命の旅路が・・・。砂漠の国々を彷徨い、贖罪の旅を続けながら様々な人々と巡り会い、やがて過去の自分と決別し純真な真心から生れる美しい「詩」を紡ぎだす・・・。やがて彼は自らを「漂泊の王」と名乗る・・・。

過去の実在の人物をイメージして生み出されたエキゾチック・ファンタジー、という雰囲気ですね。

描かれるのは、砂漠に暮らす人々の日常と美意識、生と死、彼らと係わる砂漠の精霊「ジン」、そして人類の過去と未来・・・時間と空間、運命と可能性、それらを織りあげた神秘の絨毯が見せる驚異の世界・・・かな?(笑)

冒頭から強烈です。まるで映画かアニメのような印象的な展開が随所に見られます。気がついたら、周りの空気が違っていることに気付くような不思議な瞬間があっておお〜っと唸ってしまいます。翻訳者による解説を見ると、作者は日本のアニメや漫画のファンらしい・・・。(笑)

様々な体験をし、印象的な言葉や人物に出会い、少しづつ変わっていく主人公。読み進むうちに単なる物語ではなく、なんだか哲学書か何かのような雰囲気が漂ってきます。段々と、背筋を伸ばしながら読んでいる自分に気付く・・。(笑)

結末は非常に美しい・・・砂漠によって浄化されたような主人公たちの表情・・・。

爽やかな後姿を見送って終われます・・・・。

読み終わって思います。私は彼の国々の人々の事を何も知らないな、と。彼らは、人を愛し、詩を愛し、人生を愛する人々なんだ・・・と。この本で読み取れるそのようなイメージを持って、現代の彼らを見れば今まで気付かなかった部分が見えてくるかもしれない、と・・・。

児童書なんだけど、人生に悩む青少年はもちろん、疲れた大人にも読んで欲しい。ちょっと背筋が伸びるかも。(笑)グッド

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