2007.06.30 Saturday
横山 充男「水の精霊〈第3部〉呪術呪法」
水の精霊〈第3部〉呪術呪法 (teen’s best selections)
横山 充男
4部作の第3巻。
これは・・・いわゆるファンタジーではないですね〜。本格的ハードボイルド社会派ファンタジーかな?(笑)冒頭で描かれるのはなんともやりきれない、この国(物語の中の)の暗部、恥部とも言える?おぞましい人々。意外と実際にありそうな光景で嫌になるくらい・・・。(笑)
大学生となった主人公真人は、相変わらず昼はバイト、夜は学校の生活を送る。休みの日は京都近辺の神社や山を歩き回る・・・。勉強と修行の日々だ。(笑)出合った人々との会話も、この世界や国の成り立ちから、神話や歴史の解釈、自然との係わり方、精霊や神の存在・・・。延々と繰り広げられる思索の深まりには目を見張る!!作者の思いのたけを書いて書いて書いて・・・書きまくっています!!正直ついていけない部分もあるんだけど、その世界の広さに身をゆだねている事が何となく・・・快感ですね。(笑)
学校の怪しいサークルの連中。彼らの活動にいやいやながら関わっているうちに、大きな陰謀に巻き込まれ、やむを得ず「力」を使うことになる真人。最後の最後で助けとなったのは遠く離れた四国のみずきだった・・・。
偶然の出会いか?それとも必然か?次第に広がる真人の世界。自分は何者なのか?どう活きていくべきか?真人とみずき、二つ花はそれぞれに苦悶の旅を続ける・・・。
横山氏って何者?描かれた世界観は広大にして緻密、驚くほど細密な織物のような感触です。それでいて徹底的にリアリティーにこだわっています。最初にも書きましたが、例えば話の中に出てくる、やくざや政界の黒幕?実際のこういう連中は、こういう事をするはずだということをやるんですね!!ここまで来ると社会派サスペンスです。思索の過程の緻密さも考えると、お子様、いや高校生でも辛いかもしれませんね。(笑)
未来に不安を感じ、何とかしなければと思っている人、自然の恵みに感謝の念を持っている人、はるかな歴史の流れに思いを馳せたい人、退屈で仕方がない人。(笑)そんな人だったら引き込まれるかな?