見ました、聴きました・・・。
総支配人を16年間務めた ジョセフ・ヴォルピーの退任記念と銘打ったコンサート、凄い歌が次々と・・・・と期待したんですが・・・・それ程でもなかった・・・かな?(笑)
と言うか、はっきり言うと、そういう事を期待するほうが間違っていたという事。
趣旨はあくまでヴォルピー氏に対する感謝の念を表すことなんですね。だから出演者たちも大向こうの受けを狙ったパフォーマンスではなく、心のこもった暖かい演奏歌唱でしたね。
全27曲ですから3時間に及ぶ大変なコンサートです・・・・・・。(笑)
1. 心配でたまらない ( ムーア作曲 )
ソプラノ : デボラ・ヴォイト ピアノ : ブライアン・ゼガー
2. 歌劇「ルスランとリュドミーラ」 から 序曲 ( グリンカ作曲 )
指 揮 : ワレリー・ゲルギエフ
3. 歌劇「セミラーミデ」 から “わたしは幸せになりたい” ( ロッシーニ作曲 )
テノール : フアン・ディエゴ・フローレス 合唱 : メトロポリタン歌劇場合唱団
指 揮 : マルコ・アルミリアート
4. 歌劇「アルジェのイタリア女」 から“ああ なんという顔かたち” ( ロッシーニ作曲 )
メゾ・ソプラノ : オルガ・ボロディナ バリトン : デーヴィッド・ウォン バス : イルダール・アブドラザコフ
合 唱 : メトロポリタン歌劇場合唱団 指 揮 : マルコ・アルミリアート
5. サルスエラ「港の酒場女」 から “そんなことは ありえない” ( ソロサーバル作曲 )
テノール : プラシド・ドミンゴ 指 揮 : マルコ・アルミリアート
6. お金持ちを探しているの ( ブラウン作曲 )
メゾ・ソプラノ : フレデリカ・フォン・シュターデ ピアノ : ブライアン・ゼガー
7. 歌劇「エフゲーニ・オネーギン」 第3幕 から “ポロネーズ” ( チャイコフスキー作曲 )
俳 優 : ビル・アーウィン バレエ : メトロポリタン歌劇場バレエ
指 揮 : パトリック・サマーズ
8. 歌劇「夢遊病の女」 から “おお花よ、おまえに会えるとは思わなかった”“思いもよらないこの喜び” ( ベルリーニ作曲 )
ソプラノ : ナタリー・デッセイ指 揮 : パトリック・サマーズ
9. 歌劇「トロヴァトーレ」 から “静かな夜” ( ヴェルディ作曲 )
ソプラノ : ルネ・フレミング 指 揮 : パトリック・サマーズ
10. 歌劇「さまよえるオランダ人」 から “期限は切れた” ( ワーグナー作曲 )
バス : ジェームズ・モリス 指 揮 : ペーター・シュナイダー
11. 歌劇「トロイ人」 から “わたしは死にます” ( ベルリオーズ作曲 )
メゾ・ソプラノ : ワルトラウト・マイアー 指 揮 : ペーター・シュナイダー
12. 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 から 優勝の歌「朝は ばら色に輝き」 ( ワーグナー作曲 )
テノール : ベン・ヘップナー 指 揮 : ペーター・シュナイダー
13. 歌劇「死の都」 から マリエッタの歌「わたしに残された幸せ」 ( コルンゴルト作曲 )
ソプラノ : キリ・テ・カナワ 指 揮 : ペーター・シュナイダー
14. 観客の歌 ( ムーア作曲 /トルーブ編曲 )
メゾ・ソプラノ : スーザン・グレイアム 指 揮 : パトリック・サマーズ
15. 歌劇「死の都」 から ピエロの歌「あこがれと空想はよみがえる」 ( コルンゴルト作曲 )
バリトン : トマス・ハンプソン 指 揮 : ジェームズ・コンロン
16. 歌劇「ドン・カルロ」 から ロドリーゴの死「終わりの日は来た」 ( ヴェルディ作曲 )
バリトン : ドミートリ・ホロストフスキー 指 揮 : ワレリー・ゲルギエフ
17. 歌劇「ドン・カルロ」 から “彼女はわたしを愛したことがない” ( ヴェルディ作曲 )
バ ス : ルネ・パーペ 指 揮 : ワレリー・ゲルギエフ
18. 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」 から 復活祭の合唱「主はよみがえられた」 ( マスカーニ作曲 )
メゾ・ソプラノ : ワルトラウト・マイアー メゾ・ソプラノ : ウェンディ・ホワイト 合 唱 : メトロポリタン歌劇場合唱団 指 揮 : マルコ・アルミリアート
19. 歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」 から“妹よ、見てごらん” ( モーツァルト作曲 )
ソプラノ : キリ・テ・カナワ メゾ・ソプラノ : フレデリカ・フォン・シュターデ 指 揮 : パトリック・サマーズ
20. 歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」 から “さわやかに風よ吹け” ( モーツァルト作曲 )
ソプラノ : ルネ・フレミング メゾ・ソプラノ : スーザン・グレイアム バリトン : トマス・ハンプソン 指 揮 : パトリック・サマーズ
21. 喜歌劇「メリー・ウィドー」 から “ヴィリアの歌” ( レハール作曲 )
ソプラノ : カリタ・マッティラ 指 揮 : パトリック・サマーズ
22. 喜歌劇「メリー・ウィドー」 から “唇は黙して” ( レハール作曲 )
ソプラノ : カリタ・マッティラ バリトン : トマス・ハンプソン 指 揮 : パトリック・サマーズ
23. ポルカ「ハンガリー万歳」 ( ヨハン・シュトラウス作曲 )
ソプラノ : メトロポリタン歌劇場バレエ 指 揮 : ペーター・シュナイダー
24. 歌劇「皇帝ティトゥスの慈悲」 から “わたしは行くが、きみは平和に” ( モーツァルト作曲 )
メゾ・ソプラノ : スーザン・グレイアム クラリネット : アンソニー・マクギル 指 揮 : ペーター・シュナイダー
25. 歌劇「愛の妙薬」 から “人知れぬ涙” ( ドニゼッティ作曲 )
テノール : ラモン・ヴァルガス 指 揮 : プラシド・ドミンゴ
− ジョゼフ・ヴォルピー氏へのコメント −
26. 歌劇「フィデリオ」 から 群衆と囚人たちの合唱「このよい日」 ( ベートーベン作曲 )
ソプラノ : カリタ・マッティラ テノール : ベン・ヘップナー バス : ルネ・パーペ 〃 : ジェームズ・モリス テノール : マシュー・ポレンザーニ ソプラノ : レイチェル・ダーキン
合 唱 : メトロポリタン歌劇場合唱団 指 揮 : ペーター・シュナイダー
27. この歌を歌ったら ( アーネスト・チャールズ作曲 )
ソプラノ : ルネ・フレミング 指 揮 : パトリック・サマーズ
以上 管弦楽 : メトロポリタン歌劇場管弦楽団
[ 収録: 2006年5月20日, メトロポリタン歌劇場 (ニューヨーク) ]
(〜NHK HP)
1曲目を聴いて、このコンサートの雰囲気が良く分かりました。
心配でたまらない ( ムーア作曲 )
ソプラノ : デボラ・ヴォイト ピアノ : ブライアン・ゼガー
たしかマイクを持って?小粋な感じのユーモアたっぷりの曲でした。歌劇場の中の人間関係についての抱腹絶倒の内容で、会場は爆笑の渦でしたね〜。(笑)支配人と歌手や裏方の関係を面白おかしく歌っていたような記憶ですが、ニューヨーカー好みのしゃれっ気たっぷりの演出です。肩の力を抜いて楽しくやりましょうということですね。正に食前酒です。
ベテラン、ドミンゴは迫力たっぷりで大喝采!!懐かしいシュターデやテ・カナワも小粋に、あるいはしっとりと歌ってくれました。
フレミングやデッセイをはじめとする現役世代?は、それぞれの持ち味を出して喝采を浴びていましたね。(正直言って誰が現役世代なのか良く分かりませし〜・・・・往年の名花に比べると声は出ているけど・・・地味な印象がしたんだけどな〜〜。(笑))
驚いたのが最後の方で・・・・なんと
ミレッラ・フレーニが!!!!!!
「 ジョゼフ・ヴォルピー氏へのコメント 」というのが、フレーニだったんです!!
真紅のドレスに長い金髪の、もう70歳位のフレーニは背筋も真直ぐで、ほんのちょっと太め?なだけで歳を感じさせません。ヴォルピー氏への感謝の言葉を述べてくれました。なんと1965年のメトデビューだった・・・今でもメトの舞台に立っていると解説は言ってましたね。ちょっと長いけど載せましょう。
「ありがとう。41年前、私は昔のメトでデビューしました。39丁目に着いたとき、ひどく緊張しました。何しろ初めてのアメリカでしたから。それはもうドキドキしていたのです。私はメトの舞台に立つことになりました。御存知のように、オペラにはイタリア語が不可欠なのです。そこで探したのは曲がった釘でした。イタリア語でキオド、オペラの幸運のお守りです。私はミミのようにあたりを探しました。(笑)すると突然、一人の男性が私の前に立ったのです。彼は「
これを探してるのかな」(笑)そして「
どうぞ 君のものだよ」。私は彼を見つめました。初対面の人でした。いま思えばその人こそ・・・ジョセフ・ヴォルビー氏だったのです。もし彼でなければ、そっくりの兄弟でしょう。(笑)いえ、彼その人でした。彼に感謝します。長い長い年月を、ともに歩んできました。本当に長い間です。私たちはメトのため、彼のため、自分のため、みんなのためにがんばってきました。舞台によいお土産を残せたと思います。ジョー・・・何と言ったらよいかしら・・・仲良しのあなたに。私がここにこうして立つのは、光栄の至り、大きな喜びです。あなたとジーンの門出をお祝いしましょう。ではプッチーニでお祝いの言葉に代えましょう。「
私の〜親愛なる〜ジョーへ〜ミレルラより〜」ほら・・・曲がった釘を(爆)・・・あなたに。(笑)私のより大きいわ。(笑)でも・・・心をこめて・・・あなたの未来のすべてが幸運に恵まれますよう。長い間お疲れ様でした。愛してます・・・皆様・・・ありがとう」
メトの歴史とともに歩んできたフレーニらしい、暖かくユーモアたっぷりの言葉でした・・・・。一節だけでしたが、ボエームのミミのフレーズで歌ってくれましたね。
最後の舞台で、曲がった釘を手にしたヴォルビー氏に、フレミングが歌で語りかけました。
「あなたのためにこの歌を歌ったら、私はもう歌わない。他の人のために歌ったら台なしになる。私たちは、ひたすら、がんばった。夢をかなえるために。ただ、あなたと私のため。もう他の誰とも、分かち合えない。そう考えるだけで、死んでしまいそう。あなたはかけがいのない愛をくれた。心をこめて、私はもう二度と歌えない。歌えないでしょう。二度と歌えないでしょう。あなたなしには・・・・」
心温まる一時でした。
華やかな舞台を期待して見たのに、見事裏切ってくれちゃいました!!(笑)大人の余裕たっぷりの愛に溢れた舞台・・・・ニューヨーカーって素適だ〜!!(笑)
ヨーロッパの歌劇場に隠れて、何となくマイナーなイメージを持っている私ですが、メトも要注目だな〜と感じました。とりあえずは明日の放送を聴いてみよう・・・。