昨日のNHK教育TV芸術劇場の前半は、指揮者の金聖響氏が登場して「新潮流ピリオド奏法」と銘打って興味深い話をしてくれました。
この間から「ノンヴィブラート奏法」などについて取り上げてきましたが、この「ピリオド奏法」こそ、総本山?のようですね。(笑)
「今、ヨーロッパのメジャー・オーケストラが、続々と「ピリオド奏法」を取り入れ、新たな潮流を作っている。
ピリオド奏法とは、19世紀以降、重厚路線を歩んできたオケの響きを見直し、作曲された当時の奏法、解釈に立ち返ること。
ピリオド奏法のパイオニアは、ニコラウス・アーノンクール。1953年に古楽器によるウィーン・コンツェントゥス・ムジクスを結成し、そのノウハウをモダン・オーケストラにも持ち込んだ。
日本でも、ピリオド奏法を取り入れるオーケストラが出始めている。その一つが、東京交響楽団。2年前にユベール・スーダンを音楽監督に迎え、オケの響きが一変した。その他、ハーディングと同門の金聖響が、大阪シンフォニカーやオーケストラ・アンサンブル金沢などで、ピリオド奏法を取り入れたベートーベンに挑戦した。番組では、新潮流の現場を伝える。」(〜NHK HP)
説明できるほど知らないんだけどな〜〜・・・。(爆)
金氏の説明だとピリオド奏法とは、曲が作られた時代の奏法に立ち返ることで、(現代楽器で)当時の響きを再現することが目標。(古楽器も可。)
1、ヴィブラートは基本的には使わない。装飾などの限定的な使用。
2、アーティキュレーション(発音方法?)も変える。楽譜の読み方まで含めて検討する必要がある。(例スタッカートは音を飛ばすのではなく分ける・・・。意味不明だけど・・。(笑))
3、テンポは早めになる。小編成のオケで軽やかな演奏をするようになるから、必然的にテンポは速くなる。
と言うような話だったと思う。
また、金氏は、1993年(学生時代)にサイモン・ラトルの指導を4日間受けて(モーツァルトの交響曲38番「プラハ」)新鮮な音楽にショックを受けた、というような話もあって驚きました。そんなに昔からやってたんですね・・・。
2年前から東京交響楽団を指揮するスーダン氏は、弦楽器はヴィブラートを使わないから表現の幅を広げるために、弓を大きく柔軟に使いダンスをするような軽やかな演奏をするように求めていた。
この間のノリントン卿/N響の練習風景も出ましたが、ノリントン氏はオケに対して「ヴィブラートはどうしましょうか?挑戦してみますか?」と言う感じで始めたのにはビックリしましたね。オケも指揮者も、皆さん紳士なんですね・・・。(笑)その上で、「できるだけ弓を使いましょう。」と言いながら、現在の楽譜には書かれていない「18世紀のルール」に従った音の強弱(小節毎に強弱をつける)を追記させる・・・。「演奏に必要なのはテンポ、楽器配置や数、強弱、フレージングなどを「18世紀のルール」に合わせ、ただ誠実に演奏するだけです・・。」と。
N響のコンサートマスターの方は、「音楽の表現としてはナチュラルな方向」と好感していました。
アーノンクールのインタビューもありましたが、過激なことは言ってませんでしたね。「歴史に忠実なだけの演奏が、聴衆のためになるかと悩みます。博物館じゃないんですからね。私は音楽の生命を伝えたいのです。「原点」を知り、そこに生命を吹き込むのです・・・・。」やはり、50年も前から取り組んでる人は違いますね・・・・。
5年前のラトル/ウィーン・フィルの来日公演ではウィーンフィルがラトルに対して、「ピリオド奏法で」と頼んだとか、今年の来日演奏会でも、パーヴォ・ヤルヴィやハーディングも・・・・。
ヨーロッパでは5年ほど前から、日本でもここ数年・・・、いずれにしろ、このような流れは、既にかなり広がりつつあるという事は分かりました。これから聞けるコンサートや放送も、そんな観点で聴くようにしないと「なんか違うな」という感想を持つだけで終わってしまうかもしれませんね。(笑)今までに無い「新しい響き」が聴ける「ピリオド奏法」という事でしょうか。
21世紀になって姿を現し始めた、クラシック界における新しい潮流「ピリオド奏法」。20世紀の「巨匠の時代」は・・・・名実共に・・・・終わりを告げた、というようにも思えますね。
「ピリオド奏法」脳みそにインプットしましょうね!!