2014.07.02 Wednesday
蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- 第11話 「姉妹」
大詰め・・・11話・・・。
いつも通り、上から下へ・・・左から右へ・・・です。
米本土、サンジエゴ港を最終目的地とした新生・・・アルス・ノヴァ・モードの401は、霧の艦隊による後方よりの追尾に対し超重力砲や強化された火器を使用し、これを一蹴。しかし、潜水艦400、402の姉妹は動ずることなく、海中から様子を伺う・・・。
群像は「あの2隻を引き連れて、ホノルルに行くリスクを冒す訳にはいかない」と、経由地であるハワイに向かう前に姉妹を叩くため、コアのみとなったタカオを始めとする「蒼き鋼」の総力あげての作戦を開始する。
その動きを察知した姉妹は、イオナの意図を探る為サロンで接触。霧の兵器とはかけ離れたイオナの言動に驚き攻撃を決める。
一方、監禁状態だったコンゴウは、抑えようのない怒りをパワーに変えて強引に拘束を破り、マヤをも巻き込んで艦体の融合を図る・・・。
操船を分担し、デコイを含め3隻での攻撃を仕掛けた蒼き鋼・・・まずは402、続いて400を撃沈・・・その間、イオナは戦闘を避けようとサロンでの説得を続けたが、願い空しく姉妹は消える・・・・。姉妹艦を失って打ちひしがれるイオナ・・・その様子に心を痛める群像だったが、前方には新たな霧の艦隊、後方には・・・異形の物となったコンゴウが迫る・・・。
10話に比べるとストーリーとしてはシンプル。全体としては「蒼き鋼」の「奇策」とも言える作戦をまず語るべきでしょうが、それは見れば分かる事。ここでは、潜水艦3姉妹の葛藤を描く心理描写が実に丁寧で凄いので触れておきたいですね!
400と402は諜報が主任務で、派手さの無い潜水艦故か?とも思える、いかにも機械的で感情を表に出さない言動が特徴。ところが、イオナとの接触の中でやり取りのニュアンスが次第に変わって行き、最後のぎりぎりの部分では互いに思いやるかの様な部分も現れて、イオナの悲しみが納得できる描き方です。
「401潜航・・・重力振反応増大・・・戦闘態勢に入った模様・・・」「401は私たちと交戦するつもりなのだな・・・勝つ自信があると言う事か・・・」「401に接触してみましょう」「しかし、タカオ、コンゴウたちの変調をきたした前例がある。401との接触は危険だ」「私たちの相互監視強度を、最大レベルに設定したらどうでしょう?」「了解した・・・・」400の危険な提案・・・躊躇しながらも受け入れる402です・・・。
周囲を淡い緑に包まれ始めたサロン・・・茫然と見つめる姉妹・・・。
「これは・・・・」「変化している・・・・」
「400、402・・・」椅子に座って両手でティーカップを持ち、冷まそうと息を吹きかけながら呼びかけるイオナ・・・。
「この変化は、あなたが引き起こしたのですね?401・・・」「わたしが?」「お前は本当に霧なのか?」「お前をこの世界に生み出したのは、一体何者だ?」「わたしは霧。只、群像の願いを叶えようとしているだけ」「千早群像の願いとは何なのです?」「それは・・・上手く・・・言語化できない・・・」「不明瞭極まりない・・・」「とても霧の言葉とは思えない」「私は・・・ただ・・・初めて触れられたあの時(2年前の出会い)・・・分かった・・・。私は群像の願いが何か、まだ知らない。でも・・・それが何であろうと、私は、群像の願いを叶えるためなら・・・全てを捧げる・・・」驚いて顔を見合わせる姉妹・・・。
「全てを・・・!」「その価値観は理解できない・・・」
たまらずイオナに向かって歩き出す402・・・。
「402・・・!」「何故・・・私には理解できないのだ?!理解できない理由を教えてくれ・・・!」
椅子に座ったままのイオナ・・・つかつかと歩み寄った402はイオナに触れようと思わず右手を差し出す・・・その手がイオナの頬に触れようとした瞬間・・・400の手が伸びて抑える・・・。
「402!これ以上の接触は危険です!」
唐突な遮断の後・・・戦端が開かれる・・・。
一計を案じたイオナは、タカオに操艦を預けて姉妹の説得を試みる。
「401が呼んでいる」「何のつもりだ・・・」
「400、402。あなたたちは私の姉妹。できるなら戦いたくない」
「その申し出は受け入れられません」「沈むのはお前の方だ・・・401」「お前が言っているほど、仲間は友好的ではないようだぞ」
「お願い!私の言葉を聞いて!わたしはあなた達を沈めたくない!」
「もう勝ったつもりか?」「あなたはもはや霧ではありません」「これ以上の対話は、リソースをいたずらに浪費するだけ」「それとも、最初からそれが狙いか?」
「そんな・・・お願い!」
一手・・・二手・・・姉妹を追い詰める群像達・・・動揺するイオナ・・・。
「ん?・・・」「どうしました?402」「401に何か変化があったと思われる・・・」「何か?」「上手く情報化できない・・・」
「戦わなければ・・・私は沈められ・・・群像は・・・死んでしまう!」辛かった前回の戦闘を思い出して慄くイオナ・・・。
矢継ぎ早の攻撃を受けた姉妹・・・400に迫る浸食魚雷に402が飛び出して被弾!
「システムエラー・・・」修復プログラムが機能しない・・・破滅を意味する402の言葉に息を飲むイオナ・・・。
「402!何故このような真似を!?」詰問する400・・・。
「お前を・・・傷つけたくなかった・・・」徐々に崩壊が始まった体で淡々と答える402・・・。
「私を・・・・・・?これでは・・・401と同じです!」まなじりを決して反撃する400。
「やめて!400!」
「もう遅い!」
反転した401・・・追いかけるように、攻撃を仕掛ける400・・・。
「あなたを沈めます!401!」
「・・・・」俯くイオナ・・・。
直後、ワイヤートラップに掛かった400に401の浸食魚雷が着弾し蝕む・・・。
「400!・・・済まない・・・・400・・・・」力無く語りかける402・・・。
「何故・・・謝るのです・・・・」
言いながら・・・402に向かってゆっくりと左腕を差し出す400・・・402が駆け寄り・・・右手が触れようとした瞬間・・・。
400の艦体が爆発し・・・消え去る体・・・・右手を差し出したまま、虚空を見つめて立ち尽くす402・・・。
むせび泣くイオナ・・・。
「どうした401・・・」
「だって・・・あなた達が・・・姉妹艦が消えてしまう・・・」
「お前は敵と戦い、敵を沈めた・・・それだけだ・・・」
「でも・・・」
「それだけだ・・・」
深海の暗闇に消える400の艦体・・・明滅する爆発光・・・。
寒々としたサロン・・・独り残され・・・泣き続けるイオナ・・・。
戦闘が終わって、俯いたままのイオナ・・・。名を呼んだ群像に、
「大丈夫・・・私は・・・群像の船・・・私は・・・群像と共に行く・・・」
と、けなげに答えるイオナ・・・掛ける言葉が見つからず辛そうな群像の表情が印象的・・・。
戦闘開始前、群像は「イオナ・・・やるぞ・・・」と念押ししています。この戦いが群像達には必要であるが、イオナにとっては辛いものであると分かっているからでしょう。実際にイオナは辛かった。懸命に姉妹を説得したが報われなかった。しかし、そんな事実を仲間たちには一言も口にせず、「私は群像の船」と言い切っている。
姉妹との会話の中でイオナは「全てを捧げる」と言っていたが、「全て」の中身は自分自身だけではなかったのかもしれない・・・大事な姉妹艦も・・・、と考えると、壮絶なものを感じます。ハッキリ言えば・・・「見殺し」にしたのだから・・・。大人しそうに見えるイオナの、激しい内面を覗き見る事になるエピソードです。また、「自分の中にあるただ一つの命令」に従った・・・その意味では、イオナこそ最も「霧らしい霧」なのかもしれない・・・。
さて姉妹たちの変貌も・・・。
イオナとの接触に躊躇した402が、会った途端にスキンシップの誘惑に駆られたり、400を思って身を投げ出す。「曖昧さ」にも注意を惹かれ、最悪の結果に終わると分かった時、「済まない」と謝罪し、最後には・・・泣き続けるイオナに心を動かされたか?「それだけだ」と慰めて逝く・・・。あまりに人間的でどこが「霧」か?
頑なだった400にしても、予想外の展開の連続に、イオナに対する「敵対感情」をむき出しにし、まるでコンゴウの様!そして最期の瞬間・・・402に向け無言で手を差し出して別れを告げようとした?いずれにしろ・・・もはや兵器ではない・・・。
第9話で、コンゴウが「誰も彼もが壊れていく」と嘆いていたが、ここまで来るともはや「壊れていく」のが自然なのかもしれないと思えてきます。これは、たとえばウィルス的な感染する作用ではなく、イオナが言った「フェイスツーファイス」の会話がもたらす変貌、「感情プログラム」を搭載した事の「結果」・・・「霧」による「シミュレーションの結果」がここにあると言えるか・・・。
コミュニケーションを通して「壊れる事」こそ「人間的」なる事・・・なのかもしれない!
マヤ以外のメンタルモデルは感情プログラムが実装されているらしいが、逆に言えば「霧」本体はその結果についてある程度は予測していたのではと思われる。人間の行動を理解し、勝利するための実験の結果が、この物語になっている?そう考えると、人間にとってのコミュニケーションの重要性を霧側もある程度分かっていて、それが「人類のコミュニケーションを絶つ」=「海上封鎖」作戦にあらわれている・・・としたら飛躍のし過ぎかな?(汗)
「霧」を代表するかのような姉妹艦と401との対決は、やはり霧の敗北に終わったけれど、メンタルモデルと言う存在が元々持っていると思われる「人間的なるもの」も教えてくれました。辛さに一人耐えるイオナの思いの強さと、全てを分かっているかのような群像の優しさも伝わるお話でした。
小ネタでは、ちょっとテクニカルな面ですが、サロンでの視点の切り替え・・・柱の背面をカメラが左右に動いた時、その前後で景色が変わるシーン・・・凝ってますね!!
最後はコンゴウ・・・。
「人形」と分かっていてもマヤに話しかけずにはいられないコンゴウの孤独!マヤの首を片手で差し上げ、それでも「マヤ!これが、私たちの、カーニバルだ!」と叫ばずにはいられないコンゴウの哀しみ・・・。
コンゴウの怒りの矛先はもはや401だけでは無く、自分とマヤを貶めた「霧」にも!?様々な思いが浮かぶ、異質で壮絶なシーンに思わずたじろぎます・・・。
第11話。愛と憎悪・・・様々な人間心理を描く・・・凄いお話でした・・・。
いつも通り、上から下へ・・・左から右へ・・・です。
米本土、サンジエゴ港を最終目的地とした新生・・・アルス・ノヴァ・モードの401は、霧の艦隊による後方よりの追尾に対し超重力砲や強化された火器を使用し、これを一蹴。しかし、潜水艦400、402の姉妹は動ずることなく、海中から様子を伺う・・・。
群像は「あの2隻を引き連れて、ホノルルに行くリスクを冒す訳にはいかない」と、経由地であるハワイに向かう前に姉妹を叩くため、コアのみとなったタカオを始めとする「蒼き鋼」の総力あげての作戦を開始する。
その動きを察知した姉妹は、イオナの意図を探る為サロンで接触。霧の兵器とはかけ離れたイオナの言動に驚き攻撃を決める。
一方、監禁状態だったコンゴウは、抑えようのない怒りをパワーに変えて強引に拘束を破り、マヤをも巻き込んで艦体の融合を図る・・・。
操船を分担し、デコイを含め3隻での攻撃を仕掛けた蒼き鋼・・・まずは402、続いて400を撃沈・・・その間、イオナは戦闘を避けようとサロンでの説得を続けたが、願い空しく姉妹は消える・・・・。姉妹艦を失って打ちひしがれるイオナ・・・その様子に心を痛める群像だったが、前方には新たな霧の艦隊、後方には・・・異形の物となったコンゴウが迫る・・・。
10話に比べるとストーリーとしてはシンプル。全体としては「蒼き鋼」の「奇策」とも言える作戦をまず語るべきでしょうが、それは見れば分かる事。ここでは、潜水艦3姉妹の葛藤を描く心理描写が実に丁寧で凄いので触れておきたいですね!
400と402は諜報が主任務で、派手さの無い潜水艦故か?とも思える、いかにも機械的で感情を表に出さない言動が特徴。ところが、イオナとの接触の中でやり取りのニュアンスが次第に変わって行き、最後のぎりぎりの部分では互いに思いやるかの様な部分も現れて、イオナの悲しみが納得できる描き方です。
「401潜航・・・重力振反応増大・・・戦闘態勢に入った模様・・・」「401は私たちと交戦するつもりなのだな・・・勝つ自信があると言う事か・・・」「401に接触してみましょう」「しかし、タカオ、コンゴウたちの変調をきたした前例がある。401との接触は危険だ」「私たちの相互監視強度を、最大レベルに設定したらどうでしょう?」「了解した・・・・」400の危険な提案・・・躊躇しながらも受け入れる402です・・・。
周囲を淡い緑に包まれ始めたサロン・・・茫然と見つめる姉妹・・・。
「これは・・・・」「変化している・・・・」
「400、402・・・」椅子に座って両手でティーカップを持ち、冷まそうと息を吹きかけながら呼びかけるイオナ・・・。
「この変化は、あなたが引き起こしたのですね?401・・・」「わたしが?」「お前は本当に霧なのか?」「お前をこの世界に生み出したのは、一体何者だ?」「わたしは霧。只、群像の願いを叶えようとしているだけ」「千早群像の願いとは何なのです?」「それは・・・上手く・・・言語化できない・・・」「不明瞭極まりない・・・」「とても霧の言葉とは思えない」「私は・・・ただ・・・初めて触れられたあの時(2年前の出会い)・・・分かった・・・。私は群像の願いが何か、まだ知らない。でも・・・それが何であろうと、私は、群像の願いを叶えるためなら・・・全てを捧げる・・・」驚いて顔を見合わせる姉妹・・・。
「全てを・・・!」「その価値観は理解できない・・・」
たまらずイオナに向かって歩き出す402・・・。
「402・・・!」「何故・・・私には理解できないのだ?!理解できない理由を教えてくれ・・・!」
椅子に座ったままのイオナ・・・つかつかと歩み寄った402はイオナに触れようと思わず右手を差し出す・・・その手がイオナの頬に触れようとした瞬間・・・400の手が伸びて抑える・・・。
「402!これ以上の接触は危険です!」
唐突な遮断の後・・・戦端が開かれる・・・。
一計を案じたイオナは、タカオに操艦を預けて姉妹の説得を試みる。
「401が呼んでいる」「何のつもりだ・・・」
「400、402。あなたたちは私の姉妹。できるなら戦いたくない」
「その申し出は受け入れられません」「沈むのはお前の方だ・・・401」「お前が言っているほど、仲間は友好的ではないようだぞ」
「お願い!私の言葉を聞いて!わたしはあなた達を沈めたくない!」
「もう勝ったつもりか?」「あなたはもはや霧ではありません」「これ以上の対話は、リソースをいたずらに浪費するだけ」「それとも、最初からそれが狙いか?」
「そんな・・・お願い!」
一手・・・二手・・・姉妹を追い詰める群像達・・・動揺するイオナ・・・。
「ん?・・・」「どうしました?402」「401に何か変化があったと思われる・・・」「何か?」「上手く情報化できない・・・」
「戦わなければ・・・私は沈められ・・・群像は・・・死んでしまう!」辛かった前回の戦闘を思い出して慄くイオナ・・・。
矢継ぎ早の攻撃を受けた姉妹・・・400に迫る浸食魚雷に402が飛び出して被弾!
「システムエラー・・・」修復プログラムが機能しない・・・破滅を意味する402の言葉に息を飲むイオナ・・・。
「402!何故このような真似を!?」詰問する400・・・。
「お前を・・・傷つけたくなかった・・・」徐々に崩壊が始まった体で淡々と答える402・・・。
「私を・・・・・・?これでは・・・401と同じです!」まなじりを決して反撃する400。
「やめて!400!」
「もう遅い!」
反転した401・・・追いかけるように、攻撃を仕掛ける400・・・。
「あなたを沈めます!401!」
「・・・・」俯くイオナ・・・。
直後、ワイヤートラップに掛かった400に401の浸食魚雷が着弾し蝕む・・・。
「400!・・・済まない・・・・400・・・・」力無く語りかける402・・・。
「何故・・・謝るのです・・・・」
言いながら・・・402に向かってゆっくりと左腕を差し出す400・・・402が駆け寄り・・・右手が触れようとした瞬間・・・。
400の艦体が爆発し・・・消え去る体・・・・右手を差し出したまま、虚空を見つめて立ち尽くす402・・・。
むせび泣くイオナ・・・。
「どうした401・・・」
「だって・・・あなた達が・・・姉妹艦が消えてしまう・・・」
「お前は敵と戦い、敵を沈めた・・・それだけだ・・・」
「でも・・・」
「それだけだ・・・」
深海の暗闇に消える400の艦体・・・明滅する爆発光・・・。
寒々としたサロン・・・独り残され・・・泣き続けるイオナ・・・。
戦闘が終わって、俯いたままのイオナ・・・。名を呼んだ群像に、
「大丈夫・・・私は・・・群像の船・・・私は・・・群像と共に行く・・・」
と、けなげに答えるイオナ・・・掛ける言葉が見つからず辛そうな群像の表情が印象的・・・。
戦闘開始前、群像は「イオナ・・・やるぞ・・・」と念押ししています。この戦いが群像達には必要であるが、イオナにとっては辛いものであると分かっているからでしょう。実際にイオナは辛かった。懸命に姉妹を説得したが報われなかった。しかし、そんな事実を仲間たちには一言も口にせず、「私は群像の船」と言い切っている。
姉妹との会話の中でイオナは「全てを捧げる」と言っていたが、「全て」の中身は自分自身だけではなかったのかもしれない・・・大事な姉妹艦も・・・、と考えると、壮絶なものを感じます。ハッキリ言えば・・・「見殺し」にしたのだから・・・。大人しそうに見えるイオナの、激しい内面を覗き見る事になるエピソードです。また、「自分の中にあるただ一つの命令」に従った・・・その意味では、イオナこそ最も「霧らしい霧」なのかもしれない・・・。
さて姉妹たちの変貌も・・・。
イオナとの接触に躊躇した402が、会った途端にスキンシップの誘惑に駆られたり、400を思って身を投げ出す。「曖昧さ」にも注意を惹かれ、最悪の結果に終わると分かった時、「済まない」と謝罪し、最後には・・・泣き続けるイオナに心を動かされたか?「それだけだ」と慰めて逝く・・・。あまりに人間的でどこが「霧」か?
頑なだった400にしても、予想外の展開の連続に、イオナに対する「敵対感情」をむき出しにし、まるでコンゴウの様!そして最期の瞬間・・・402に向け無言で手を差し出して別れを告げようとした?いずれにしろ・・・もはや兵器ではない・・・。
第9話で、コンゴウが「誰も彼もが壊れていく」と嘆いていたが、ここまで来るともはや「壊れていく」のが自然なのかもしれないと思えてきます。これは、たとえばウィルス的な感染する作用ではなく、イオナが言った「フェイスツーファイス」の会話がもたらす変貌、「感情プログラム」を搭載した事の「結果」・・・「霧」による「シミュレーションの結果」がここにあると言えるか・・・。
コミュニケーションを通して「壊れる事」こそ「人間的」なる事・・・なのかもしれない!
マヤ以外のメンタルモデルは感情プログラムが実装されているらしいが、逆に言えば「霧」本体はその結果についてある程度は予測していたのではと思われる。人間の行動を理解し、勝利するための実験の結果が、この物語になっている?そう考えると、人間にとってのコミュニケーションの重要性を霧側もある程度分かっていて、それが「人類のコミュニケーションを絶つ」=「海上封鎖」作戦にあらわれている・・・としたら飛躍のし過ぎかな?(汗)
「霧」を代表するかのような姉妹艦と401との対決は、やはり霧の敗北に終わったけれど、メンタルモデルと言う存在が元々持っていると思われる「人間的なるもの」も教えてくれました。辛さに一人耐えるイオナの思いの強さと、全てを分かっているかのような群像の優しさも伝わるお話でした。
小ネタでは、ちょっとテクニカルな面ですが、サロンでの視点の切り替え・・・柱の背面をカメラが左右に動いた時、その前後で景色が変わるシーン・・・凝ってますね!!
最後はコンゴウ・・・。
「人形」と分かっていてもマヤに話しかけずにはいられないコンゴウの孤独!マヤの首を片手で差し上げ、それでも「マヤ!これが、私たちの、カーニバルだ!」と叫ばずにはいられないコンゴウの哀しみ・・・。
コンゴウの怒りの矛先はもはや401だけでは無く、自分とマヤを貶めた「霧」にも!?様々な思いが浮かぶ、異質で壮絶なシーンに思わずたじろぎます・・・。
第11話。愛と憎悪・・・様々な人間心理を描く・・・凄いお話でした・・・。
雪太郎様
「姉妹」に関しては、何も足さない何も引かない、という感じでお見事な内容です。
取り敢えずこちらの、この回に関するURLを置いて行かせていただきます。
http://aonow.blog.fc2.com/blog-entry-610.html
敢えて蛇足的に、1つだけ付け加えるとしたら。
イオナ=401は、一度この姉妹400と402に待ち伏せで、戦闘では完璧に敗北しています。その事を考えると、ここでのいわば「蒼き鋼」の前に、この両艦の破れたのは、ある種の必然。
けれども、なぜ401に「ひゅうが」や「たかお」達が与しているかという事に、「汚染」とか「変調」という機械的思考しか、持ち合わせなかった「姉妹」の限界を、感じざるを得ません。
(ここで自分達が持たない超重力砲を持つ、イ401との彼我の戦力差を艦艇数だけで、上まわる事の無謀さを無視した戦術論は、無視しましょう)
そして、やはりここでも最後の最後に、輝くのはその名の通り、「コンゴウ様!」以外にはいらっしゃいません。
鉄の鎖も引き千切り、「ここからは私達のカーニバルだ!」という、何とも切なく哀しく美しく凛々しいお姿でしょう。まさに、敗者と悲壮の美学!の結晶では、ありませんか!?
では、では。