2014.05.06 Tuesday
蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- 第07話「硫黄島」
さて、ドラマチックな展開だった第6話に続く7話です・・・。
ハッキリ言って・・・見ての通りかなり微妙な展開・・・大きなエピソードも無い「踊り場回」か?と思えますが・・・。
401が硫黄島の秘密基地へ半年振りに帰港すると、ドック内には重巡洋艦タカオが係留されており、管理人ヒュウガが、群像たちが不在の間に「造った」自らの体「メンタルモデル」の姿でイオナに飛びつき歓迎する。ついで登場したタカオは、群像に対し「艦長になって」と「告白」をするつもりが、「振動弾頭とそのデータを渡せ!」という「要求」に変わってしまい、裏でイオナ独占を「画策」していたヒュウガと大喧嘩になる!(笑)
ドタバタコメディー風の賑やかな場面に続き、それぞれの思惑を探り合い、自分のあり方や今後の行動を思案する情景が描かれる・・・。戦闘場面は無く、ほとんどギャグ場面が連続するようにも見えるのですが、この物語全体に係わる深い話もあちこちにある、敵?味方入り乱れた南の島での数日間のお話・・・と言ったところです。
細かく書くのも面倒なので、登場人物毎に注目点をまとめてみると・・・。
まずはハルナ・・・。
第6話で蒔絵と固い絆を結んだが、艦隊司令であるコンゴウの言う「我ら霧は命令の上にのみ存在する」「感情の混乱は、人間の思考のシミュレーションに伴う演算処理に負荷がかかり過ぎた故」と言う様な論理に対して、「蒔絵の友達になる」という「約束」を優先して艦隊離脱を宣言する。第5話では終始無言のままコンゴウに接したハルナに、劇的な「感情」体験がもたらした「変貌」の帰結がこの「宣言」に現れた訳で、第7話でも、様々な場面で「友達」としての蒔絵に対する「気配り」が描かれていて「覚悟」の程が分かります・・・。
続いてキリシマ・・・。
キリシマも蒔絵と「友達」となった訳であるが、表面上「霧の一員」の顔が見え隠れするのが面白い。感情的には蒔絵やハルナとの関係を喜びながらも、条件反射的に「霧の一員」としての「癖」が出る感触。明確な「自分の意志」を持ったハルナに対して、そこまでの「変貌」を遂げていないキリシマのどっち付かずの「困惑」振りが、これからも随所で見られるので要注目です。早い身振りをするとキュッキュッとなる体・・・芸が細かい。(笑)
そして今回の主役?(笑)ヒュウガは・・・。
コンゴウの話からすると、ヒュウガは「霧」の「東洋方面第2巡航艦隊」の旗艦でありながら、401との海戦で敗れたらしい。その結果が第2話で登場した401の「超重力砲」であり、硫黄島の「秘密基地」と言う事になる。
(第2話ではコンゴウが「401とヒュウガは昔一戦交えている」と言っていたが、群像と401が出会ってからまだ2年程しかたってい ないはずなのに「昔」と言うのは不思議。また第4話で、弾薬消費履歴が見られたが、第1話でのナガラ級との交戦の前の戦いがヒュウガとの海戦のように表現 されていた。どうもこのアニメ、時間軸のデータに不思議な部分があります。)
15本の侵食魚雷、32本の通常魚雷、ミサイル61本を撃ち込まれて401に敗れた反動?でイオナを神格化し?(笑)初登場のこの第7話ではコミカルな描き方がされてはいるが、白衣を身に纏った科学者然とした風貌の通りに大戦艦級の明晰な頭脳による論理展開はあくまでも冷静だ・・・。
「大局の為に自分を犠牲にする」という群像の狙いを理解し、イオナに盲目的な従順さを見せながら・・・401に敗れた「同類」でもあり、先行きを思案するタカオに「蒼き艦隊」への参加を誘いつつ本心を語る。
「伊号401はね・・・スペシャルなのよ。私たち霧の中の突然変異と言っても良いけど、それが人間でいう癌細胞なのか進化の道標か・・・分からないけどね」「私はね、人間がどうなろうかなんて興味は無いの。我々はどこから来たのか?我々はどこへ行くのか?我々は何者なのか?それこそ知りたいのよ」「イオナ姉様が千早群像と接触したことから、戦況は、世界は一変した。だからイオナ姉様の事は何でも知りたいの・・・」
これまでに登場したメンタルモデルの中で、ここまで理路整然とした語り口だったのはコンゴウ以外ではヒュウガが初めてか?さすが艦体旗艦を務めただけのことはあると言う事ですが、「兵器の本分」「アドミラリティーコード」至上のコンゴウに対して、「蒼き艦隊」の「創設」から自分たちの「raison d'être」にまで言及するとは只事ではありません!
特に後者に付いては、ヒュウガの名前が初めて聞かれた第2話以降のエンディング冒頭で流れる英文テキストそのものである事も考えると、ある意味、彼女はこの物語の「狂言回し」的な存在とも言え、その冷静な観察眼からは千早群像もコンゴウも、彼女の手の内で踊っている様にも感じられます。間違っても、熱烈なイオナ教徒やコメディアンとしての側面だけで見てはいけないメンタルモデルですね!(笑)
また彼女の言う「スペシャル」や「進化」と言う言葉の具体的な内容も、401の特殊な艦体スペックやイオナの変貌などに関連する刺激的な部分で興味深い。もっとも、「イオナ姉様の事は何でも知りたい」と言いながら 「人間がどうなろうかなんて興味はない」「(イオナに)あんな人間(群像)は不要」と言うのは不思議。人間を「見切った」上での言葉かも知れません が、人類は感情によってその性質を変化させると言う面を見落としている様でもある。情緒的な部分の影響が見えていないというのは、逆に「霧」としての本質を表しているのかもしれない・・・。
さて続いては・・・ここまででも結構長くなったので・・・最後に、タカオとイオナをまとめて。(笑)
タカオの大きな特徴は「OTOME plug in」の実装ですが、第7話ではその効果がいかんなく発揮されています。「群像抱き枕」に頬ずりし、恥じらいの余り「告白」に失敗し、妄想全開の姿を群像に見られてあわてて逃げ出す・・・一途な思いとは裏腹のコメディタッチですが、この「一途さ」が次に繋がる訳なのでしっかり見ましょう。(笑)
また、一見身勝手に思える、イオナに対する視線や言葉の端々ににじみ出る一方的な「ライバル視」も、「困惑」をイオナにもたらしただけではなく「変貌」のきっかけになったようですし、イオナと自分との「違い」や「差」はどこにあるのかと考え続けることでタカオ自身も変わっていく事になる訳ですね・・・。
その結果、極めて微妙な表現が重ねられていく内、イオナは、今までにない自らの「反応」・・・群像に対する「感情の揺らぎ」を自覚し、「命令で艦長のそばにいるだけなのよね?」「艦長の事を何とも思ってない訳ね?」というタカオの言葉に答えられず「私は何?私は誰?何の為に群像と出会った?」と自問します。ヒュウガとは別に同じ様な言葉がイオナの口から出てくるというのも「スペシャル」さの一端でしょうが、第1話ではヒトデに触れながら「人間」を意識したイオナが、今回は自らの「存在」に考え込むというのは大変な「進化」と言うべきかも知れません・・・。また、タカオにしても、群像に対する「思い」の強さではイオナに「勝った」と思い込んだようにも見えます。この辺の「思い込み」が第10の「決断」で生きてくる訳ですね・・・。
最後に全体に関する点で一つだけ。
この第7話だけエンディングの絵柄が変わっています。今まではメンタルモデル達の「蜘蛛の糸」風バージョンでしたが、艦体をあしらったものが流れます。ヒュウガの言葉を聞いてタカオがつぶやいた「私たちは兵器・・・だった者・・・」「私たちは兵器・・・兵器が物を考えるものか・・・。私は誰?私たちはどこへ行くのだ・・・?」という「兵器」の枠に収まらない言葉や、イオナとヒュウガに見る思考の深化に対し、直前に登場するコンゴウとマヤの「兵器そのもの」の姿と合わせて、メンタルモデル達の「本質」を改めて突きつける意図かも知れません・・・。
と言う事で第7話、一見「日常」風の描写に続き物語の「本質」に切り込む・・・地味ながら見所満載と言う事が分かりますね。
ハッキリ言って・・・見ての通りかなり微妙な展開・・・大きなエピソードも無い「踊り場回」か?と思えますが・・・。
401が硫黄島の秘密基地へ半年振りに帰港すると、ドック内には重巡洋艦タカオが係留されており、管理人ヒュウガが、群像たちが不在の間に「造った」自らの体「メンタルモデル」の姿でイオナに飛びつき歓迎する。ついで登場したタカオは、群像に対し「艦長になって」と「告白」をするつもりが、「振動弾頭とそのデータを渡せ!」という「要求」に変わってしまい、裏でイオナ独占を「画策」していたヒュウガと大喧嘩になる!(笑)
ドタバタコメディー風の賑やかな場面に続き、それぞれの思惑を探り合い、自分のあり方や今後の行動を思案する情景が描かれる・・・。戦闘場面は無く、ほとんどギャグ場面が連続するようにも見えるのですが、この物語全体に係わる深い話もあちこちにある、敵?味方入り乱れた南の島での数日間のお話・・・と言ったところです。
細かく書くのも面倒なので、登場人物毎に注目点をまとめてみると・・・。
まずはハルナ・・・。
第6話で蒔絵と固い絆を結んだが、艦隊司令であるコンゴウの言う「我ら霧は命令の上にのみ存在する」「感情の混乱は、人間の思考のシミュレーションに伴う演算処理に負荷がかかり過ぎた故」と言う様な論理に対して、「蒔絵の友達になる」という「約束」を優先して艦隊離脱を宣言する。第5話では終始無言のままコンゴウに接したハルナに、劇的な「感情」体験がもたらした「変貌」の帰結がこの「宣言」に現れた訳で、第7話でも、様々な場面で「友達」としての蒔絵に対する「気配り」が描かれていて「覚悟」の程が分かります・・・。
続いてキリシマ・・・。
キリシマも蒔絵と「友達」となった訳であるが、表面上「霧の一員」の顔が見え隠れするのが面白い。感情的には蒔絵やハルナとの関係を喜びながらも、条件反射的に「霧の一員」としての「癖」が出る感触。明確な「自分の意志」を持ったハルナに対して、そこまでの「変貌」を遂げていないキリシマのどっち付かずの「困惑」振りが、これからも随所で見られるので要注目です。早い身振りをするとキュッキュッとなる体・・・芸が細かい。(笑)
そして今回の主役?(笑)ヒュウガは・・・。
コンゴウの話からすると、ヒュウガは「霧」の「東洋方面第2巡航艦隊」の旗艦でありながら、401との海戦で敗れたらしい。その結果が第2話で登場した401の「超重力砲」であり、硫黄島の「秘密基地」と言う事になる。
(第2話ではコンゴウが「401とヒュウガは昔一戦交えている」と言っていたが、群像と401が出会ってからまだ2年程しかたってい ないはずなのに「昔」と言うのは不思議。また第4話で、弾薬消費履歴が見られたが、第1話でのナガラ級との交戦の前の戦いがヒュウガとの海戦のように表現 されていた。どうもこのアニメ、時間軸のデータに不思議な部分があります。)
15本の侵食魚雷、32本の通常魚雷、ミサイル61本を撃ち込まれて401に敗れた反動?でイオナを神格化し?(笑)初登場のこの第7話ではコミカルな描き方がされてはいるが、白衣を身に纏った科学者然とした風貌の通りに大戦艦級の明晰な頭脳による論理展開はあくまでも冷静だ・・・。
「大局の為に自分を犠牲にする」という群像の狙いを理解し、イオナに盲目的な従順さを見せながら・・・401に敗れた「同類」でもあり、先行きを思案するタカオに「蒼き艦隊」への参加を誘いつつ本心を語る。
「伊号401はね・・・スペシャルなのよ。私たち霧の中の突然変異と言っても良いけど、それが人間でいう癌細胞なのか進化の道標か・・・分からないけどね」「私はね、人間がどうなろうかなんて興味は無いの。我々はどこから来たのか?我々はどこへ行くのか?我々は何者なのか?それこそ知りたいのよ」「イオナ姉様が千早群像と接触したことから、戦況は、世界は一変した。だからイオナ姉様の事は何でも知りたいの・・・」
これまでに登場したメンタルモデルの中で、ここまで理路整然とした語り口だったのはコンゴウ以外ではヒュウガが初めてか?さすが艦体旗艦を務めただけのことはあると言う事ですが、「兵器の本分」「アドミラリティーコード」至上のコンゴウに対して、「蒼き艦隊」の「創設」から自分たちの「raison d'être」にまで言及するとは只事ではありません!
特に後者に付いては、ヒュウガの名前が初めて聞かれた第2話以降のエンディング冒頭で流れる英文テキストそのものである事も考えると、ある意味、彼女はこの物語の「狂言回し」的な存在とも言え、その冷静な観察眼からは千早群像もコンゴウも、彼女の手の内で踊っている様にも感じられます。間違っても、熱烈なイオナ教徒やコメディアンとしての側面だけで見てはいけないメンタルモデルですね!(笑)
また彼女の言う「スペシャル」や「進化」と言う言葉の具体的な内容も、401の特殊な艦体スペックやイオナの変貌などに関連する刺激的な部分で興味深い。もっとも、「イオナ姉様の事は何でも知りたい」と言いながら 「人間がどうなろうかなんて興味はない」「(イオナに)あんな人間(群像)は不要」と言うのは不思議。人間を「見切った」上での言葉かも知れません が、人類は感情によってその性質を変化させると言う面を見落としている様でもある。情緒的な部分の影響が見えていないというのは、逆に「霧」としての本質を表しているのかもしれない・・・。
さて続いては・・・ここまででも結構長くなったので・・・最後に、タカオとイオナをまとめて。(笑)
タカオの大きな特徴は「OTOME plug in」の実装ですが、第7話ではその効果がいかんなく発揮されています。「群像抱き枕」に頬ずりし、恥じらいの余り「告白」に失敗し、妄想全開の姿を群像に見られてあわてて逃げ出す・・・一途な思いとは裏腹のコメディタッチですが、この「一途さ」が次に繋がる訳なのでしっかり見ましょう。(笑)
また、一見身勝手に思える、イオナに対する視線や言葉の端々ににじみ出る一方的な「ライバル視」も、「困惑」をイオナにもたらしただけではなく「変貌」のきっかけになったようですし、イオナと自分との「違い」や「差」はどこにあるのかと考え続けることでタカオ自身も変わっていく事になる訳ですね・・・。
その結果、極めて微妙な表現が重ねられていく内、イオナは、今までにない自らの「反応」・・・群像に対する「感情の揺らぎ」を自覚し、「命令で艦長のそばにいるだけなのよね?」「艦長の事を何とも思ってない訳ね?」というタカオの言葉に答えられず「私は何?私は誰?何の為に群像と出会った?」と自問します。ヒュウガとは別に同じ様な言葉がイオナの口から出てくるというのも「スペシャル」さの一端でしょうが、第1話ではヒトデに触れながら「人間」を意識したイオナが、今回は自らの「存在」に考え込むというのは大変な「進化」と言うべきかも知れません・・・。また、タカオにしても、群像に対する「思い」の強さではイオナに「勝った」と思い込んだようにも見えます。この辺の「思い込み」が第10の「決断」で生きてくる訳ですね・・・。
最後に全体に関する点で一つだけ。
この第7話だけエンディングの絵柄が変わっています。今まではメンタルモデル達の「蜘蛛の糸」風バージョンでしたが、艦体をあしらったものが流れます。ヒュウガの言葉を聞いてタカオがつぶやいた「私たちは兵器・・・だった者・・・」「私たちは兵器・・・兵器が物を考えるものか・・・。私は誰?私たちはどこへ行くのだ・・・?」という「兵器」の枠に収まらない言葉や、イオナとヒュウガに見る思考の深化に対し、直前に登場するコンゴウとマヤの「兵器そのもの」の姿と合わせて、メンタルモデル達の「本質」を改めて突きつける意図かも知れません・・・。
と言う事で第7話、一見「日常」風の描写に続き物語の「本質」に切り込む・・・地味ながら見所満載と言う事が分かりますね。
雪太郎様
いや、これまた深い!と同時に、文句無しの洞察です。
ちなみにこのような回の事を、現在では特に「水着回」と呼ぶそうですが、実質的なスポンサーであるフィギュアやスピンオフ?作品を作る為に、必須の事項だそうです。
あのリメイク版「宇宙戦艦ヤマト2199・TVシリーズ」ですら、なんとイスカンダルの海で水着回!ここまで必要なのかと、さすがのアニメ猛者達も驚いたとか……。
この辺でコンゴウが実は最も人間的に、〈感情的な矛盾の固まり〉だと言う事が、見えて来ますネ。
それにしても、ヒュウガのドMぶりが凄い!見えないところ?での「イオナ大好き」機関長?イオリと激しいバトル!?も、笑えます。
本当に、イオリちゃんはイオナにラブなんですネ。理由はとうとう、明らかにされませんでしたが……。
それにしても、こちらの霧の艦隊グループは、ハルナとキリクマ以外は皆、何気に敵対関係もしくはライバル関係だというのも、気が付くと笑えます。
そしてイオナ・グループは、取り敢えずその関係には、踏み込まないのも笑えます。
笑えないのが、可愛そうなコンゴウ様唯一人。
唯一の味方である、マヤも一人遊びで戦闘以外は「つまんない」を連呼するだけ、その理由は後に解りますが。
それだけに、コンゴウ様は孤独です。
My love コンゴウ様、決して群像に騙されないで?下さいね!
では、また。