2009.08.13 Thursday
六条 仁真「山人奇談録」
表紙のイラストやカット画は橋賢亀(かつかめ)氏。横山充男の「鬼にて候」シリーズも手がけておられる方で、おどろおどろしくも美しい表紙になってます。
『山では、不思議で妖しい「なにか」とすれちがう瞬間がある。竹の底に眠る姫、祭りの雨をよぶ龍、時の果ての森の大樹…。深い山々をわたり歩いてきた「じい ちゃん」にみちびかれ、「あたし」が出会ったのは、山の闇にすまう神さまたちだった。山人(やまんど)の孫娘が語る、四季の彩り豊かな奇談集』
(〜mazon)
主人公の少女「あたし」の、小学6年生から中学1年生にかけての1年間が描かれます。「奇談録」と言うように「竹姫」「闇市」「雨祭」「幻獣」「神域」の5話の短編からなります。「奇談」といえば日本古来の「怖いお話」という雰囲気がありますが、5話のお話はそれなりに恐ろしく、まがまがしく、おどろおどろしくも・・・美しくて優しいお話になってますのでご安心を。(笑)
どこか飄々とした「じいちゃん」と、常々「困った人」(笑)と思いながらもそんな祖父に畏敬の念と愛着を抱かずにはいられない孫娘。そんな二人と周囲の人々とのユーモラスな日常と、折に触れての「山」との関わりのお話です。現代の生活では失われてしまった「山の神」や「異形のもの」、「神社」や「祭り」といった人と自然との関わり方の意味や、相互の共生関係のような忘れてはならない「根っこ」の部分のお話といった趣ですね。
ゲームしかできなくなってしまったような子供達にこそ読んで欲しいお話です。プロフィールによると、作者の六条 仁真(ひとま)氏は「1日1話の怪談の創作を日課としている」そうなのでこれからも期待できそうですね。
そうそう・・・ビックリするようなことも・・・・2度読むと・・・・驚かされます!