2008.05.03 Saturday
吉富 昭仁「BLUE DROP―吉富昭仁作品集」
BLUE DROP―吉富昭仁作品集 (電撃コミックス)
吉富 昭仁
はい、アニメ「BLUE DROP」の原作コミックです。
今まで何度か手に入れようかと思ってはいたんですが、公式HPのクロニクルを見たときに少し考えてしまいました。何しろ舞台は1000年後の世界ですからね。原作とは言っても随分違うんじゃないか?と危惧していたんです。今のところアニメだけで手一杯ですしね。(笑)
とは言っても、書店で目の前にあるのを見て・・・買ってしまいました。買って気付いたのは、これってメディア・ワークスの発行なんですね。チャンピオン・レッドのコミックと勘違いして探していたことに気付きました。(笑)
「吉富昭仁作品集」となっている通り、5編の短編が収められています。読んでみると・・・。
「思念凝結兵器」「守りたい」「特別な存在」「異星人」「白い血」「エミルフォース」「自己犠牲」「女教師」「懐古世界」・・・。
う〜ん・・あちこちにアニメの素材が散らばってますね。はっきり言えば、全く同じエピソードはありません。なるほど、アニメ「BLUE DROP」はこれらの原作を統合して作り出された作品なんだと分かります。アニメのイメージに近いのは冒頭の「神子〜KAMINOKO〜」と「海人〜KAIJIN〜」ですね。マリと萩乃に近い存在も登場します。
「特別な存在」を「守りたい」という思いから「自己犠牲」を進んで受け入れる者。あるいは「自己犠牲」を無理強いされる者、強いられる存在を守ろうとする者。愛する者、愛される者・・・。そんな登場人物像が描かれます。生れた時から「自己犠牲」を定められた少年少女、その定めを打ち破ろうとする存在と支配者たちの戦いの光景も・・・。
1000年先の物語なのに、「懐古世界」という世界が舞台となっているため違和感はありません。これは読んでみて初めて分かる部分でした。アニメの昭和風の雰囲気に反映されているのでしょうか?
ただ、アニメの悲劇的かつ非常に繊細な部分はこの原作コミックではあまり感じられません。どちらかというと「アッケラカン」とした雰囲気が濃厚です。結末の部分がユーモラスな終わり方になってるお話が多いんです。登場する少女たちの周りにそこはかとなく漂う甘酸っぱい性的な雰囲気も含めて、この路線の先で登場したのがチャンピオンレッドで連載された「BLUE DROP 〜天使の僕ら〜」なのでしょう。アニメとはかなり違ってますが、これも吉冨さんの中では連続した「世界」なんですね。
キャラクターやストーリーも含めてアニメとはかなり色合いが異なりますが、アニメに惹かれた方なら一度は見ることをお薦めしましょう。この世界を知る事で、アニメの見方も変わるかもしれません。ちょっと明るい見方も出来るかも・・・。(笑)