2008.02.27 Wednesday
椰月 美智子「十二歳」
十二歳
椰月 美智子 (2002年4月刊)
先日紹介した「しずかな日々」の作者のデビュー作です。講談社児童文学新人賞受賞作品だそうです。すごいな・・・。(笑)
いや、冗談でなく凄い本です。
「しずかな日々」はちょっと落ち着いたしみじみとしたお話でしたが、この本は、眩しいくらいの新鮮さに満ちた本ですね。
主人公は12歳の女の子で、少学6年生の一年間が描かれています。最初のうちは、ポートボールの試合に勝った〜!!なんて事が書かれていて、ちょっとめげるんですが、そこを過ぎるとドンドン「煌めきの世界」に入り込んでいきます。(笑)とは言っても、非常に魅力的な「屈折した」少女の精神世界ですね。何だかアニメ「BLUE DROP」を思わせるような、深とした心理描写の場面もあって思わず泣けます。(笑)
描かれているのは、はっきり言ってたわいの無い事ばかりですが、子供から少女に代わっていく主人公の戸惑いと焦り、そして切なさに震える心模様が手にとるように表現されていて引き込まれますね。
正直言って、自分が同じ年齢の頃には全く考えていなかった、想像も出来ないような微妙な精神世界です。小6女の子ってこんなに色々考えているのか???と聴いて回りたいほどですね。(笑)ひょっとしたら、作者のあの頃の経験というより、子供の形を借りて、大人になった作者の感性を描いているのでは?と思えるほどです。そんな意味から言えば、「十二歳」という題名にこだわらずに、「16歳」でも「20歳」でも良いように思えます。「25歳」でも・・・。(笑)
日々変わっていく少女たち、同じものを見ても、あの時と今で感じ方が変わってしまったことに愕然として泣かずにはいられない・・・そんな主人公の切ない思いがよく分かります。良いね〜〜!!
これほど作品は・・・やはりデビュー作、若さの「結晶」なんだろうな・・・。
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