雪太郎のつぶやき、あるいはプリンセス達の花園

あ〜!!おじさんなのに、「プリンセス・プリンセス」に嵌ってしまった〜〜!!(笑)
美しいもの、面白いもの、切ないもの、考えさせる物・・・。一人が好きだけど、独りじゃ寂しい。そんな私のつぶやき・・・・。ちょっとキモイかもね〜。
クラシック音楽が苦手な人にはお薦めできません。暗いのが嫌いな人にはお薦めできません!!お子様にもお薦めできません!!
[謝辞]
父と母に、家族に、多くの慰めと喜びを与えてくれた、過去、現在、そして未来の芸術家達に、感謝!!
[おことわり]
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2014.01.02 Thursday

上橋 菜穂子「獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)」

「獣の奏者」シリーズの「外伝」は単行本でも読んでいますが、文庫本の新聞広告で新作が収録されていると知って読んでみました。言ってみれば外伝の・・・外伝・・・かな???(笑)

収録されているのは次の4編です。

1 文庫版描き下ろし エリンの母、ソヨンが赤子のエリンを抱える「綿毛」
2 エリンとイアルの同棲・結婚時代を書いた「刹那」
3 エサルが若かりし頃の苦い恋を思い返す「秘め事」
4 エリンの息子ジェシの成長を垣間見る「はじめての…」

注目の書き下ろしは、シリーズの中で一度も描かれなかった空白の時代、エリンの母ソヨンの物語で14ページの短編、文字通りのプロローグ的な位置づけです。

人は「家族」の愛に囲まれて育ち、成長してからは「一族」に護られて生きていくもの。しかし、生涯の伴侶を得ようとする時に大きな転機が訪れることもある。「戒律の民」・・・一族を離れる道を選んだソヨンが赤子のエリンに乳を与えながら、母親との間に生じた軋轢を振り返り思いを馳せる・・・というのが大まかなお話でドラマチックな展開はありません。

そして、「綿毛」に続けて「刹那」「秘め事」「はじめての・・・」と、そろった4編を通して読んでみると、そこに描かれる母子3代および、エリンの師でありよき理解者でもあるエサルの物語によってこのシリーズ全体のテーマがよりはっきりとしてきます。

上橋氏の作品は緻密な情景描写が特徴の一つですが、この作品全体、メインとなる「刹那」「秘め事」も含めて、乳首に吸い付く赤子の様子やエリンの困難を極めた出産場面、切ない恋模様などで極めて肉感的な描写が敢えてされています。理屈を超えた「恋の一瞬」こそ命の根源であるという紛れも無い事実、だからこそ愛おしい、だから書く、という作者の意思が感じられます。

それは生きとし生けるもの全てに対する「慈しみの心」であり、人間によってゆがめられた王獣などの野生の「生」、戒律や政治の都合、身分や育ちの違いによ る不自由な「生」等に対する「抗い」を超えた「生命の讃歌」でもあり、そのような深い「思い」を、冷静さと温かみを兼ね備えた静かな筆致で書いたのがこの「外伝」と言えます・・・。

文庫本の表紙はとても綺麗で、これこそ「命の讃歌」そのものというようです。内容的には、はっきり言って子供やまだ若い人たちには分からないかもしれないけれど、人にとっての「恋の意味」が感じとれるかもしれませんので読んでほしいと思いますね。

「綿毛」が単行本に収められるのかどうか?ちょっと分かりませんが、持ち出してどこでも味わえるようになったのは良いですのでお勧めします。





2010.10.24 Sunday

上橋 菜穂子「獣の奏者 外伝 刹那」

図書館の保護フィルムに包まれた表紙はカバー付きでも茶色一色なのですが、店頭では下側三分の二位だけにカラーの「帯」が付き、全体としてフルカラーの表紙に見えるという困った装幀です。図書館だと「帯」は捨てますからね・・・。(笑)

「帯」にはエリン、イアル、エサルと思われる三人の後ろ姿が描かれています。

もはや・・・顔は・・・無い・・・。

『120万部突破の人気シリーズ「外伝」登場
エリンとイアルの同棲時代、師エサルの若き日の苦い恋、息子ジェシのあどけない一瞬……。
本編では明かされなかった空白の11年間にはこんな時が流れていた!

ずっと心の中にあった
エリンとイアル、エサルの人生――
彼女らが人として生きてきた日々を
書き残したいという思いに突き動かされて書いた物語集です。
「刹那」はイアルの語り、「秘め事」はエサルの語りという、
私にとっては珍しい書き方を試みました。
楽しんでいただければ幸いです。   上橋菜穂子』
(〜amazon)

読み始める前に「目次」を見、パラパラとページを繰ってみると・・・あれ?と思いました。「外伝」ですからエリンとイアルのエピソードは当然予想していたのですが、エサルについてのそれが半分以上のページを占めていることが不思議に感じられました。エサルといえば、言うまでもなくこの物語の中では重要人物ですが、それでもこの分量は多すぎないか?と正直感じましたね。ところが読んでみると・・・。

副題の「刹那」は辞書を引くと『きわめて短い時間。瞬間。』(〜goo辞書)とあります。本編を読んだ人にはイアルの歩んできた殺伐とした人生を思わせるかと思います。エリンにしても、あの過酷な日々を思えば似たようなものか?ところが読んでみると・・・。(笑)

普通、「外伝」と言うのは本編では書けなかった短いエピソードを集めたものという気がしていたのです。ところが・・・。(笑)

実は読了してからもう一月近くも経ってしまいました。最近は仕事も忙しく精神的にも余裕が無いこともありますが、この物語が少々書きにくい内容であるかとも思います。何故って、エリンとイアルにしろ、エサルしろ、実にプライベートな内容で、ドラマチックな展開もありますが、どちらかと言えばしみじみとしたお話なのです・・・。(汗)

イアルの語るエリンとの日々は、互いの傷の深さが分かるが故に魅かれる二人が出会い、結ばれ、そして新しい命が誕生するまでの「一部始終」と言える内容です。過去を振り返って苦悩するイアル。その苦悩を分かち合い、共に幸福を掴もうと懸命なエリン。妻として夫の為に無理をしてしまい、過酷な状況で出産を迎えるエリンの苦しみと、見守るしかないイアルの苦しみ。そんな二人を励ましながらエリンを助けようとするエサルの姿が描かれます。

「秘め事」は本編でもほとんど触れられることのなかったエサルのそれです。恵まれた家庭に生まれながら「普通の女」として生きる事を拒み、探求心の赴くままに学究の路を選んだエサルの、家族や周囲との葛藤、そして唯一度の秘められた「恋」!エリン達同様に描かれる「一部始終」は、エサルという人間の喜びと哀しみの「原点」とも言える内容で、彼女の人間性を十全に描き出しています。

どちらも実に「濃密」な恋の「一部始終」が描かれ、文字通りの「性」と「生」の物語となっています。出産場面も含めて手抜きなし!リアリティー抜群!の描写はいつもの様に妥協を嫌う上橋氏の真骨頂と言える出来で、その意味でも「大人向き」の小説となっていますので、ある意味覚悟が必要です。

巻末の数ページには幼いジェシとエリンの微笑ましいエピソードがあり、微笑ましい情景で全体を締めくくっています。

全てを読んで感じるのは作者上橋氏の「生命讃歌」ともいえる内容の豊かさ。「本編」で語られるエリンの過酷な「選択」の理由が、悲劇的な死を遂げた母親から聞いた「思い」だけでは無い事が分かります。また、エリンの行動を支え続けたエサルの「理由」もここにか書かれた経験があっての事だと納得出来ます。その意味でも、この「外伝」は「本編」を補完する上で欠くことの出来ない重要な作品と言えます。

「獣の奏者」という壮大な物語全体にあふれる、「優しさ」の理由ですね。

 「生きる」とは?濃密な描写で描かれる「性」と「生」・・・生きとし生けるものに対する暖かな眼差しが感じられる作者渾身の「外伝」です!

2009.11.07 Saturday

上橋 菜穂子「獣の奏者 (4)完結編」

上橋 菜穂子
講談社
¥ 1,680
(2009-08-11)

読了しました!

読み始める前に表紙を見るわけですが、ああ・・・エリンの姿がない・・・。秋色に染まった平原にポツンと立つ二本の木・・・そうか・・・全ては終わったんだな・・・と分かります・・・。

『王獣たちを武器に変えるために、ひたすら訓練をくり返すエリン。―けっしてすまいと思っていたすべてを、エリンは自らの意志で行っていく。はるか東方の隊 商都市群の領有権をめぐって、激化していくラーザとの戦の中で、王獣たちを解き放ち、夫と息子と穏やかに暮らしたいと願う、エリンの思いは叶うのか。王獣 が天に舞い、闘蛇が地をおおい、“災い”が、ついにその正体を現すとき、物語は大いなる結末を迎える』
(〜amazon)

第3巻
では闘蛇の秘密を追ったエリンでしたが、この完結編では王獣と闘蛇による「災い」の秘密に迫ります。前半は、戦いに備えての王獣の「訓練」や様々な「謎」に励むエリンが描かれますが、その「訓練」等は意外とあっさりとした書かれ方で、それ以上に目立つのは、むしろエリンと家族の交流を描いた場面、あえて言えば個人的な触れ合い、戦いを前にした「かけがえのない日々」の描写が多く、不思議にも感じますが印象に残ります。

「真実」を知るため、禁忌に触れる行いをあえて選んだエリンの迷いと苦悩。そして息子ジェシや夫イアルとの、信頼といたわりに満ちた交流。自らの行く手に待ち構える「運命」にたじろぎながら、茨の道を突き進むエリンの姿は痛々しいほどで、細かな展開よりも家族の間の「人間ドラマ」が主眼と感じるほど・・・。

後半は、次第に不穏さを増す「世界」が、避けられぬ戦いに向かってなだれ込むと言う怒濤の展開。そして運命の時・・・・クライマックスは激しく、劇的で、そして静か・・・。

最後の結末は・・・優しく・・・せつなく・・・叙情的だ・・・。

さすがに文化人類学者でもある上橋氏らしく、様々な伏線が最後には繋がっていく練り上げられたストーリーは見事!

そして、苛烈なまでのクライマックスの、激情と優しさが交錯し、不思議なまでの静謐ささえも感じられる描写には脱帽です!この場面・・・単なる「物語」を超えて、著者の「祈り」が眼前に繰り広げられるような、まさしく「叙事詩」のごとき美しさで思わず息を呑みます・・・。

王獣、闘蛇という不思議な生き物、そしてそれらを操る薄幸の女性。数奇な運命に従って懸命に生きた、エリンという女性を描いたこの物語は、身勝手 な人間の行いを命を賭して諭す彼女の姿を通して、大いなる自然と人間との関わり方についての、著者の真摯な「思い」が形を成したものと言えるでしょう。そして、そこには、とても厳しい、けれども暖かな「真心」が全編に流れており、結末の「悲劇」に向かって突き進むエリンや家族を包み込んでいます・・・。

そうか、だからですね・・・「かけがえのない日々」の描写が素晴らしく・・・切なく感じるのは・・・。


読了して一息つき、改めて表紙を見る・・・ああ・・・この木だ・・。

願い通りに野に放たれた王獣を見上げる二本の木・・・。

それは、全てが終わって安らかに憩う、二人の木だった・・・。

闘蛇を哀れんだ母親の思いを胸に、最後まで王獣とともに在った唯一無二の「獣の奏者」エリン。

その物語はここに終わる・・・。

そして、受け継がれた命は続いていく・・・。


上橋氏独特の徹底したリアリズム、そして濃密な人間描写が溢れ・・・あちこちで泣けた!(笑)

激しく、切なく、美しく、そして気高い物語、世界に誇れるファンタジーです!

全4巻まとめて、全ての人にお薦め!

2009.10.18 Sunday

上橋 菜穂子「獣の奏者 (3)探求編」

上橋 菜穂子
講談社
¥ 1,680
(2009-08-11)

読了しました!

このシリーズは1巻2巻が出たのが 2006年の11月で、その当時は続刊については何のアナウンスも無かったと思います。私も勝手に「完結」したのかと思っていたのですが、今年の夏になって、突然3巻4巻が発売されて驚かされました。NHKでのアニメが1年の予定と聞いていたので、その為の続編かとも思ったのですが、全50話ですでに40話まで来ていますから2巻までの内容で足りそうかな?逆に言うと、ひょっとしたらアニメの続編も有りと言うことかな?

『あの“降臨の野”での奇跡から十一年後―。ある闘蛇村で突然“牙”の大量死が起こる。大公にその原因を探るよう命じられたエリンは、“牙”の死の真相を探 るうちに、歴史の闇に埋もれていた、驚くべき事実に行きあたる。最古の闘蛇村に連綿と伝えられてきた、遠き民の血筋。王祖ジエと闘蛇との思いがけぬつなが り。そして、母ソヨンの死に秘められていた思い。自らも母となったエリンは、すべてを知ったとき、母とは別の道を歩みはじめる…』
(〜amazon)

突然11年後です。(汗)そして表紙に描かれた二人を見ると分かるように、エリンも母親になっているのですね。父親は誰か?それは秘密。(笑)

かつては過去に学んだと思っていたエリンだったが、闘蛇の死にまつわる「謎」を探る内、「神話」の中に隠された真実に気付いていく。そして、エリンを護る ために死んでいった母の「思い」とは別の考えに辿り着いたエリンは、国に迫る脅威を肌で感じながら、「真実」を求めて苦難の道を選択する・・・。

大まかに言えばそんな展開で、しかもエリンと王獣の触れ合う場面もありません。あえて言えば、第1巻に戻って母親ソヨンの辿った道を再確認するエリンの姿と、次第に明らかになる外敵の脅威、そして国を思う者達とエリンとの間の葛藤が描かれると言う感じです。

それぞれの場面はいつも通り丁寧で暖かな描き方で、アニメのお陰もあってか?その情景が目に見えるようです。妻として、母親としてのエリンの姿ももちろんあり、「獣の奏者」が立派な人間ドラマであり、登場人物それぞれが「いかに生きるか?」と苦悩する姿を描いていることが良く分かります。

そして・・・一読して・・・う〜んと唸ります。

確かに、全体としては第2巻のお話から想像は出来る範囲なのですが、物語全体を俯瞰したときに、何やら、更に大きな世界が見えてくるのです。ちょっと地味なエピソードの積み重ねなのですが、随所に「あれ?」と思わせる展開があり、そのまま読み進む内、その「あれ?」が「腑に落ちる」・・・そんな風に物語が進んで行きます。これは凄い事です。結末に向かって一直線に進んでいく道が見えるのではなく、紆余曲折繰り返しながら、気がついたら全く別な場所にいた・・・という雰囲気かな。

>自らも母となったエリンは、すべてを知ったとき、母とは別の道を歩みはじめる…

そして、この部分の意味は重いのです。そしてその道は・・・第4巻に続いている。(笑)

この第3巻が第1巻をなぞったように、最終第4巻は第3巻をなぞり、エリンと王獣の関係を新たな視点から描いてくれそうです。ハッキリ言って落としどころが全く見えないけれど、平和な世界を実現するためにエリンとイアルたちの奮闘が続くんだろうな・・・。

そうです。この物語も、もはやエリン一人のお話ではなくなり、エリンと家族、そして国家の物語になりそうです・・・。

おっと・・・言っちゃった。(笑)

2008.05.11 Sunday

上橋 菜穂子「流れ行く者―守り人短編集」

流れ行く者―守り人短編集 (偕成社ワンダーランド) (偕成社ワンダーランド 36) (偕成社ワンダーランド 36)
流れ行く者―守り人短編集 (偕成社ワンダーランド) (偕成社ワンダーランド 36) (偕成社ワンダーランド 36)
上橋 菜穂子 (2008年4月刊)

はい、上橋さんの待望の新刊です。

守人シリーズは第10巻をもって完結してしまったのですが、この本は「守り人短編集」という副題の通りにいわゆる「外伝」ということになるそうです。では守人シリーズは全11巻ではないか?とも思えますが、巻末に掲載された一覧では全10巻となってますね。どうする偕成社??(笑)

「外伝」という性格上、もはや大きなドラマは無いと思って読み始めたました。予想通りに展開する前半・・・。

前半は11歳のタンダの、家族に囲まれた平和で健やかな生活と、そんなタンダが心惹かれる孤独な少女、一時的にトロガイ師の小屋で暮らす13歳のバルサとの交流の様子が描かれる。

日々の生活は、まるで昔の日本の農村の姿を見ているような描写で、田畑の土の匂いや草の香りがしてくるような見事な描写が続きます。助け合う村人たち、迷信に囚われる人々のちょっと悲しい姿や、祖先を弔う素朴な心情、もはや日本のどこにも存在しない原風景のような光景に引き込まれます。

11歳のタンダは、毎日の生活を通して人の優しさや心の闇の存在をしっかりと見つめる少年となっていく。バルサとの日々も同様に、かけがいの無い記憶となって刻まれていく・・・。

後半は・・・予想外の展開!!流浪の旅を続ける定めのジグロとバルサには過酷な日常が・・・。

用心棒として日々の糧を得るジグロ。共に働きながら行動を共にする13歳のバルサは様々な人々と出会い、得がたい体験をし、そして・・・用心棒としての過酷な現実に直面する!!

今までの守人シリーズでは意識して書かれてこなかった?「生身の人間に手をかける」という初めての体験に・・・その有様は凄まじい・・・・。

用心棒と言う職業である以上、避けては通れないそれを、考えうる限り最も悲劇的な状況で迎えなければならなかったバルサ。その身に迫る恐怖で身動きの出来ないバルサ、目の前で展開する光景に立ちつくすバルサ・・・そして・・・飛び散る血潮!!

全てが終わって反吐を吐き、声を限りと泣き叫ぶバルサ・・・・・・・。

一人の人間にはそれぞれの過去があり未来がある、生活があり家族があり、喜びと悲しみと涙がある・・・。その人間を手にかけることの重みと恐怖に震え、身を震わせて泣き叫ぶ13歳の少女バルサ・・・。

多くの物語に血と涙は付き物であるが、自分の行動が人の命を左右する事の恐ろしさを、これほどリアルに生々しく描いた物語を私は知らない。眼前に繰り広げられる光景に、言葉を無くして立ち尽くす思いの私がいる・・・。人を傷つけるという行為を漫然と描く物語が多いけれども、その現実の恐怖から目を背けずに、あえて過酷な描写をする作者の覚悟と決意が伝わってきます・・。

そんな風に描かれる後半ですが、巻末の最終場面は心温まる光景・・・バルサとタンダの絆を象徴するような場面で終わります。この優しさが堪らない・・・。

上橋さんの描き出した「守人シリーズ」は、描かれる世界の圧倒的な現実感と登場人物から感じる温もりが特徴だと思います。また格闘場面の描写もまるで実体験しているような臨場感がありますね。シリーズ10巻ではその特徴は維持されているのですが、最後に近づくにつれて、バルサやチャグムたちを取り巻く政治に翻弄される場面が増えるためか、ファンタジックな要素が薄れていくのは仕方が無い事ですが、ちょっと残念に感じましたね。それが何となく創作力の衰えか?というような気も少ししていたのですが、この短編集を読んでその感覚が間違いだったと分かりました。

前半のタンダの家族の日常やバルサとの交流の様子は、柔らかな情感と暖かさに満たされています。それに対して後半は、殺伐とした用心棒家業の厳しい現実がこれでもかと描き出されます。ジグロの厳しい鍛錬と生来の利発さから、大人顔負けの力を身につけたバルサが、想像もしなかった人間の心の闇と眼前の恐怖に打ちのめされるクライマックスの描写は圧倒的です!!上橋菜穂子・・・恐るべし・・・ですね。

あ〜・・守人シリーズ・・・もう出ないのでしょうか。もっともっと読みたい!!そう思わずにはいられない「守人短編集」ですね。全ての人にお薦め!!グッド

2007.04.21 Saturday

アニメ「精霊の守人」第3話

第3話「死闘」

う〜ん・・・凄い!!(笑)

今まで、フィルムとビデオの違いのような妙な違和感を感じてましたが、今回はほとんど気にならなくなってきました。あの世界の情景がリアルに描かれている・・・そんな感じがしてきた。

「死闘」・・・今回は、原作の持つ恐ろしいほどの格闘場面を見事に描いてくれました。肉を切らせて骨を絶つ!!バルサの格闘術は「生き残る為の技術」だという事を上橋氏は何度も書いていましたが、アニメの出来は素晴らしかったと思います。言葉の説明が無い分、分かりにくいのは仕方がないのだけれど、連続する動作を見事に描ききっていましたね。予算が潤沢にあるのか?製作者が妥協しないのか???(笑)他の作品だったら、多分手抜きするんじゃないかと思うところですが、さすがです!!最後までこのレベルを保つ事ができたら良いのですが・・・。そこが難しい???(笑)

気になったのは、「フォーメーション」だったかな?こんな言葉使うはずが無いだろ!!(笑)前回もたしか似たような言葉があったよな???それから・・・田んぼの中を走る敵が・・・早い!!(笑)走った事・・・無いんだろうな・・・。(爆)ジョギング

2007.04.08 Sunday

アニメ「精霊の守人」第1話

ついに始まりました・・・。(笑)

先日紹介した特番でも先行放送をしていたのですが、また見てしまいました。やはりビデオとは雲泥の差です!!監督の神山氏については全く知りませんでしたが、代表作というアニメも放送していましたが・・・私の好み・・・・ではありませんでした。(笑)何というか明るすぎる明快すぎると感じたんですね。でも、本放送を見て、特に違和感はありませんでしたね・・・タンダ以外は・・・。(爆)

原作を引っ張り出そうとしましたが・・・山が崩れる危険があるため断念しました!!(爆)

大体は原作尊重かな?特番のなかでは、かなりの回数がアニメ独自のストーリーといってましたが、「精霊の守人」だけで25回は無理なんでしょうね。期待しましょう。

最近のアニメのHPはフラッシュ?を使うところが多くなってきて、コピーが出来ませんので、これ以上詳細を書こうという気になりません。とりあえずは、大まかな感想だけでいくつもりです・・・。

それにしても・・タンダ・・原作では見た目「良い男」じゃないと思っているんですが・・・。(笑)美男美女じゃ〜話の進行上無理があるような気がするんだけど・・・。(笑)口紅

2007.03.29 Thursday

上橋菜穂子「守人シリーズ」NHKラジオドラマで登場!!

NHKの番組表を見ていたら、FMの「青春アドベンチャー」というラジオドラマの予定が目に・・・。

『精霊の守り人』(再)(全10回)

【放送日】
4月2日(月)〜4月9日(金) 22:45〜23:00(1-5回)
4月9日(月)〜4月13日(金) 22:45〜23:00(6-10回)

原作:上橋菜穂子
『精霊の守り人』(偕成社刊)
脚色:丸尾聡
選曲:伊藤守恵
演出:真銅健嗣
技術:藤井芳保 水野友晴
効果:西ノ宮金之助 稲葉護

出演:唐沢潤 大久保祥太郎 渡辺美佐子 建蔵
斉藤とも子 草薙幸二郎 織田優成 酒向芳
石住昭彦 平沼寧 若松武史 渡辺卓
岡村洋一 小林達雄 沢りつお

あらすじ:日本のファンタジーで絶大なる人気を誇るシリーズのドラマ化。腕のたつ異国出身の女用心棒バルサが、異界のものに卵を産みつけられ、危機に直面している皇子を救う!人間世界の刺客たちとの激闘、百年に一度生まれるという異界の卵の秘密。人知を遙に越える巨大な爪の襲撃。主人公と皇子の息をつかせぬ冒険譚のエンターティンメントドラマ。

『闇の守り人』(全10回)

【放送日】
4月16日(月)〜4月20日(金) 22:45〜23:00(1-5回)
4月23日(月)〜4月27日(金) 22:45〜23:00(6-10回)

原作:上橋菜穂子
脚色:丸尾聡
選曲:伊藤守恵
演出:真銅健嗣

出演:未定

あらすじ:日本のファンタジーで超人気シリーズ「精霊の守り人」続編のドラマ化。腕のたつ異国出身の女用心棒バルサが、25年ぶりに故郷に帰る。幼い日、王宮の陰謀に巻き込まれ、槍の達人ジクロとともに旅立って以来のことである。育ての親ジグロはそのため故国で汚名を着せられていた。汚名返上のため命懸けの槍がうなる!息をつかせぬエンターティンメントドラマ。(日本児童文学者協会賞受賞)

(〜NHK HP)

「精霊の守人」は昨年夏に放送されたものの再放送ですね。アニメも始まるのでついでに・・・ということでしょう。上手く時間が合ったら聴いてみたいものです。音楽

2007.03.24 Saturday

アニメ「精霊の守り人」徹底研究

NHKーBS2月曜日の夜8時から3時間、『アニメ「精霊の守り人」徹底研究 』が放送されますが・・・3時間も何やるの〜???(笑)


「4月から衛星アニメ劇場で放送予定の「精霊の守り人」。上橋菜穂子原作のベストセラー児童書を、世界的に注目されているアニメ監督・神山健治と、プロダクションI.Gがアニメ化する、本格派アニメシリーズの話題作。
『アニメ「精霊の守り人」徹底研究』は、このアニメシリーズ「精霊の守り人」の魅力を徹底的に研究・紹介する密度の濃い3時間。アニメができるまでの長期取材と、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」第2話「暴走の証明 TESTATION」の丸ごと放送を通して、神山監督をはじめアニメスタッフのこだわりと実力をあますところなく伝える。
また、昨年11月に収録された、原作者の上橋さんと神山監督のトークイベントも紹介。物語の世界観をどのように作り上げていったのか、アニメを作っていくうえでのディテールへのこだわり、小説とアニメの違いなど、こぼれ話も満載。
そして、出来上がったばかりのアニメ「精霊の守り人」第1話「女用心棒バルサ」のまるごと先行放送。これは見逃せない!」(〜NHK HP)


見逃せないんだ〜〜!!(爆)

キャラクターが原作のイメージとかなり違うんだけど、やはり見てみたいですね。評判がよければ、十二国記みたいに連作のシリーズ化もあるかもしれません。とりあえず見てみよう〜。テレビジョン

2007.03.11 Sunday

上橋菜穂子「天と地の守り人 第3部」

天と地の守り人 第3部 (3)
天と地の守り人 第3部 (3)
上橋 菜穂子

読了しました。
昨日の晩・・・読み終わったら1時過ぎ・・・・〜〜。(笑)

全10巻のシリーズも・・・遂に終わりました・・・・・。
児童書ですからハッピーエンドは当然ですし、今までの1、2巻での伏線から最終巻での展開はある程度予想できます。それでも、実際に活字となったものを読むと・・・その場その場の情景が目の前に浮かんできて引き込まれます。

単純にストーリーを創るだけでは無い・・・登場人物の表情、心理の描写が卓越しており、さらには、この世界とは異なる異世界の情景描写も精密を極めます。読者は文字を追うことで、登場人物たちと一体となり、あせりと緊張と恐怖を、空気の匂いと温度と風を、痛みと涙と喜びを共有できる・・・そんな物語ですね。

最終巻ですから、勝利は約束されています。描かれているのはそのための犠牲の多さでしょう。多くの人間の犠牲の上に平和がやって来る。支配者となるものは、屍を踏み越えて、自ら血を流して強くならなければならない!!子は父親を越えていかなければならない!!支配者でなくても・・どんなに理不尽であっても・・身近な人間の犠牲を乗り越えて・・・生きていかなければならない。多くの人間が、戦火の中を懸命に生き抜こうとする・・・人間ドラマが満載です。

大いなる自然の営みに翻弄される人間の弱さも描かれています。シリーズ第1巻のシーンも登場し、人間と自然の絆の大切さを思わせます。自然に対する謙虚さと洞察を忘れてしまう事の愚かさと危険性を訴えているんですね・・・。最後まで自分の理想にこだわった父は・・・自然の営みに身を任せる事を選ぶ・・・・子はなすすべも無く見送る・・・・。

バルサとチャグム、そして多くの仲間達・・・。幼かった子は大きく育ち・・・もう2度と会えない身となってしまうのに・・・春の日のお花畑のように、明るく暖かく終ります。

この明るさと暖かさこそ、「守人シリーズ」全巻を貫く感覚ですが・・・大好きですね。

う〜ん・・・いい本だ!!(笑)お薦め!!グッド

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