雪太郎のつぶやき

美しいもの、面白いもの、切ないもの、考えさせる物・・・。一人が好きだけど、独りじゃ寂しい。そんな私のつぶやき・・・・。
クラシック音楽が苦手な人にはお薦めできません。暗いのが嫌いな人にはお薦めできません!!お子様にもお薦めできません!!
[謝辞]
父と母に、家族に、多くの慰めと喜びを与えてくれた、過去、現在、そして未来の芸術家達に、感謝!!
[おことわり]
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2009.09.27 Sunday

yom yom (ヨムヨム) 2009年 10月号

そう言えば・・・26日だったっけ??と言う事で買ってきました。

お目当てはもちろん小野不由美の「落照の獄」です。

>「獄」というからにはいよいよ驍宗と泰麒のお話か?

と、以前書いていたのですが・・・・結果からいうと外れでした〜。(笑)

18ページから始まり99ページまで・・・厚さにして5ミリほどです。

「丕緒(ひしょ)の鳥」は慶国の官吏のお話でしたが、今回は北の柳国の官吏のお話でやはりサイドストーリーです。

楽俊が感じたように傾きつつある柳国で、咎人の刑を決める官吏の苦悩が描かれます。自分の判断がゆくゆくは芳国のような惨状を招くことを恐れる官吏だったが、目の前の咎人の行いは人として見過ごすことは出来ず・・・。

失道による崩壊が始まった国の行く末も、一人主上の存在だけで決まるのではなく、結局は様々な人々の様々な行いの積み重ねの結果に過ぎない・・・と言う事かな?

大きく風呂敷を拡げて言えば、まさに今の世界にも通じる・・・・なんちゃって。(笑)

最初の内、漢字の専門用語が多くて困りましたが、そんな風に感じるのはたるんでいる証拠です!久しぶりにネジを巻き直して読んでみましょう。(笑)

分厚いこの本ですから他にもたくさん見所が有りそうです。何気なく読み始めた川本三郎の「君、ありし頃」は癌死した妻にまつわる様々なお話・・・思わず落涙し・・・横で眠る妻を見つめた・・・。

そうそう、昨日の夜はついでにKissも見たのですが・・・「のだめ」は次回で終わりみたいでしたね・・・・。

う〜ん・・・世界は確実に・・・移ろうものだ・・・・。

2009.09.06 Sunday

小野不由美 新潮yom yomに「十二国記」新作「落照の獄」150ページ!

「音楽方丈記」さんを見たところ、何故か?(笑)小野不由美の「十二国記」の新作が新潮「yom yom」に、という記事が投稿されていました。

新潮社のHPにも

「また9月26日発売の12号では、ファン待望、小野不由美さんの新作も掲載されます。人気シリーズ「十二国記」の新作です。発売までもうしばらくお待ち下さい。

と掲載されています。

昨年春の「丕緒の鳥」は原稿用紙換算で90枚でしたが、2chの情報では、今回は「落照の獄」というタイトルで150ページだそうです。「獄」というからにはいよいよ驍宗と泰麒のお話か?

大いに期待して・・・9月26日を待て!!

2007.10.21 Sunday

アニメ「十二国記」第45話(終)

第45話   「東の海神 西の滄海」 転章<終>
陽子は、延王・尚隆が話してくれた「もう一人の俺」斡由との過去、その話の意味をもう一度振り返っていた…。
六太の使令・悧角によって倒された斡由。一方更夜は、「ろくた」を止めた。そして瀕死の斡由にとどめをさしたのは、尚隆だった――
尚隆は更夜に「ろくた」と更夜が暮らせる場所、妖魔が追われることのない国をつくると約束する。更夜は、雁がそんな国になるまで黄海で待つといって去っていった。それから数百年、更夜はいまだ尚隆と六太の前には現れていない。
(〜NHK HP)

「東の海神 西の滄海」編の総集編。十二国記の世界観の基本「天意」について思い悩む景王陽子。延王尚隆の「過去」を聞きながら考え込む・・・。

民の為と言いながら、自らの才に溺れ、身を滅ぼす斡由。怠け者と見られながらも、実は思慮深く賢明な尚隆の行動。幼い頃出合い、心を通わせた更夜と六太のやり取り。そして王と民のため、命をすてる能吏や民の姿・・・。一見地味なエピソードですが見所が多いんですね。

「緑の山野!!誰もが飢えないですむ豊かな国・・・凍える事も、夜露に濡れる事も無い家・・・民の誰もが安穏とし、飢える心配も戦火に追われる心配も無い・・・安らかな土地が欲しい!・・・オレはずっとそれが欲しかった・・・。親が子供を捨てたりしないでも生きていける豊かな国・・・」

延麒六太が尚隆に望んだ国。「待っている・・・」と言って去っていった、更夜と養い親の帰ってこれる国は・・・まだ実現していない・・・。

陽子はもちろん、尚隆にとっても・・・先は長い・・・・。

小野不由美原作アニメ「十二国記」はこの第45話を最後に終わりです。原作は未完のまま早??年??(笑)残念ながら今だ完結の報はありません・・・。いつの日にか、アニメでも完結編が放送される事を祈りましょう・・・。王冠2

2007.10.14 Sunday

アニメ「十二国記」第43話 第44話

第43話   「東の海神 西の滄海」 三章
尚隆が王になる前の荒廃する雁国で、斡由は元州の民のためにと父である州候・元魁から位を奪い、そして民を守った。元州だけが豊かだった―――。しかし、延王・尚隆がたち他州が潤い、元州との差はなくなっていった。元州をもっと潤わせるため、自治を取り戻そうと六太を捕虜とした斡由は、王位を簒奪する逆賊とうつった。それは、関弓を出て元州に着いた志願兵の軍が二万を超えていたことより明らかだった。
一方六太は、看病をしていた女官・銘心から地下の道を使い逃げるようにと言われる。

第44話   「東の海神 西の滄海」 終章
女官の助けにより抜け出した六太は、抜け道である地下道で迷っていた。そこへ元州大僕らが六太を探しに来た。その部下の声に、六太は目を見開いた―――。
一方、漉水をはさみ頑朴対岸にとどまる王師と兵卒らは、土嚢を積みあげ堤を築いた。上流で降り出した雨に漉水の水かさは増し始めている。堤のおかげで川の氾濫の心配はない、そう民達は安堵していた。しかし、漉水上流・新易にある北囲の廬に、斡由の命により州師が乗る騎馬二百騎があらわれ、突如築き上げた堤を切り始める。

(〜NHK HP)

身を捨てて六太を救おうとした驪媚。しかし彼女の血を浴びた六太は意識を失う。看病する女官は、驪媚の意思を無駄にせず、民の為にと六太を逃がすが・・・・更夜のよって殺される・・・。斡由のために、更夜は汚れ役を果たしてきたのだった・・・。

民の為にと言いながら、実は権力にこだわるだけの斡由。王師と対面しても劣勢の責任を他に押し付け、あくまで意志を通そうとする。一方、州師の間に身を潜めた尚隆は巧妙に六太と斡由に近づく・・・。

尚隆に見つかった六太は一緒に更夜の元に戻り説得を試みるが・・・。

「六太・・・大丈夫?・・・苦しい?」寝台に横たわる六太に、心配した更夜が問いかける。
「大丈夫だ・・・。それよりお前・・・うっ!」顔をしかめて苦しむ六太。
「六太!!」慌てる更夜。
「更夜・・・お前・・・血の匂いがする・・・」ギクリとする更夜。
「お前・・・人、殺したんだな・・?この間までは、確かに血の匂いはしなかったのに・・・」ため息をつく更夜・・・。
「今は非常時だからね・・・六太が卿伯に仇なせば、六太だって殺す・・・」
「更夜に人殺しを命じるなんて・・・。更夜はあんなに殺戮を嫌がってたのに・・・。最初に会った時、そう言ってたじゃないか?」幼い頃の出会いを思い出す更夜・・・。
「なのに斡由は人殺しを命じる・・・」
「オレはもうそんな事気にしない・・・。昔の話だよ・・・。オレは斡由の臣だから、斡由が殺して欲しいのなら、誰であろうと殺す・・・。麒麟もそうなんだろ?王に命じられれば・・・」
「尚隆は人殺しを命じたりしない・・・」
「人など何をするか分からない!!六太の主だってそれは同じだ!!」叫ぶ更夜。
「そんなことはせんよ!」横で控えていた尚隆が言葉を挟む。
「そいつにさせるより、俺がやった方が早いからな・・・」
「延王??!!」正体を知って驚く更夜。
「更夜とやら、お前は本当に六太の友のようなので頼む、そいつを帰してはもらえんか?どうしようもない悪ガキだが、これがいないと多少は困る事もあるのだ・・・」
「麒麟がいなければ、仁道を見失う・・・か?」皮肉を言う更夜。
「いや・・・ガミガミ言う官の矛先が俺にばかり集中する」とぼける尚隆。(笑)
「何が目的で元に侵入した?卿伯か?」尚隆の背後から更夜の妖魔が唸りながら忍び寄る。
「止せ!!」六太が叫ぶ。
「尚隆に何かしたら許さない!」苦しげに言う六太。
「今更、王を庇うのか?」
「オレは尚隆の臣なんだよ!」
「オレだって卿伯の・・・斡由の臣だよ!」
「オレは・・・更夜が好きだよ・・・。けど・・・そんなに血の匂いがしてちゃ・・・更夜のそばにも寄れない・・・」顔を背ける更夜・・・。
「仕方ない・・・。六太が尚隆を守りたいように・・・オレは斡由を守りたい!」
「そのために誰を殺しても良いのか??!!」叫ぶ六太。
「斡由が良しとするなら、人を殺しても良いのか?!」問い詰める六太。
「道にもとって兵を挙げて良いのか??!!」
「それで、国を傾けて良いのか??!!」
「更夜は・・・自分のような子供を作りたいのか??!!!」ハッとする更夜・・。

「他人なんか知らない・・・」力なくつぶやく更夜・・・。

「なぜ人が死んではいけないんだ・・・。国が滅んで、それがなぜいけないんだ」つぶやく更夜・・・茫然として聞く六太。
「人というのはいつか死ぬものだ・・・。国というのはいつか傾くものだ・・・。どれほど惜しんでも、滅んでいくのを止められない・・・」
「斡由だけ良ければ良いんだ!!」叫ぶ更夜。
「国が傾くのが怖いか?荒廃が怖いか?死が怖いか?・・・」尚隆に問いかける更夜。
「楽になる方法を教えてやろうか?・・・全部滅びてしまえば良いんだ!!」

「斡由が死んでも良いのか?・・・」力なく問いかける六太・・・。

「斡由が死にたいのだったら・・・それで良いよ・・・」

「ふざけるな!!」叫ぶ尚隆。
「国が滅んでも良いだと?死んでも良いだとぬかすのか??!!俺の国民が!!民がそう言えば・・・俺は何のためにあれば良いのだ!!??」詰め寄る尚隆。
「ここはお前の国だ・・・斡由だけがお前のものなのではない!この国は・・・お前のものなんだぞ!!」更夜の肩に手をかけ、尚隆は続ける・・・。
「民のいない王に何の意味がある?国を頼むと民から託されているからこそ、俺は王でいられるのだぞ!!」
「その民が・・・国など滅んで良いという・・・」
「では俺は、何のためにここに居るのだ!!」叫ぶ尚隆。圧倒される更夜・・・。
「俺は一度国を失くした・・・」蓬莱での最後の日々を思い出す尚隆・・。
「民に準じて、死んでしまえば良かったものを・・・。それをしなかったのは・・・まだ托される国があると聞いたからだ・・・」
「俺はお前に・・・豊かな国を渡すためだけに居るのだ・・・更夜・・・」

「オレは・・・そんな奇麗事を信じるほどおめでたくないよ・・・」尚隆の視線から顔を背け・・・肩の尚隆の手を払いのけ出て行く更夜・・・。

「更夜!!」叫ぶ六太・・・。

「オレは何も聞いてない・・・何も知らない・・・」妖魔を撫でながら・・・去って行く更夜。

茫然と見送る六太と尚隆・・・。

民も味方して州師を圧倒する王師。六太と尚隆によって自分のやった事の顛末が全て明らかにされ、追い詰められた斡由は・・・遂に尚隆に切り掛かり・・・討たれる・・・。

すべてが終わり、州城を去る更夜。尚隆と六太が見送る。

「更夜・・言ったろう。俺はお前に、豊かな国を手渡す為にあるのだ」
「オレ以外のやつに与えてやれば良い・・・」妖魔を撫でながら答える更夜・・。
「欲しがっているやつは、いくらでもいるだろう・・・」
「俺は欲張りだからな。百万の民と、百万と一の民なら・・・後者を選ぶ」
「オレにも、大きいのにも・・・行く場所なんか無いんだ・・・」力なくつぶやく更夜。
「オレは妖魔の子だから・・・」
「大きいのは、オレに背いて人を襲ったりしない・・・ちゃんとオレのいう事を聞くんだ・・・オレのために・・・ずっと我慢してくれているんだ・・・」妖魔を抱きしめて泣く更夜・・・。慰めるように小さく唸る妖魔。
「更夜・・・」つぶやく六太・・・。
「では、お前とその妖魔に、住む場所を与えよう・・・」歩み寄る尚隆・・・。
「どんな贅沢な牢獄?銀の格子の檻だろうか・・・?」
「妖魔に、襲われることの無い国だ・・・」妖魔を撫でながら尚隆が言う。
「え・・・」妖魔から顔を上げる更夜・・・。
「時間をくれぬか・・更夜。お前も・・・この養い親も、追われることの無い土地をやろう・・・」
「そんな世が本当に来るのだろうか?」真直ぐに尚隆を見つめながら更夜は聞く・・・。
「そのために・・・俺はあるのだ!・・更夜・・・」更夜の視線を受け止めて答える尚隆・・・。

「待っている・・・」溢れる涙をそのままに、顔を伏せる更夜。
「黄海で・・・雁がそんな国になるのを待っている・・・」
「いつまででも・・・・待っているから・・・・」

飛び立つ妖魔の背に乗り、去って行く更夜・・・。見送る六太と尚隆・・・。

「ありがとな・・・」小声でつぶやく六太・・・。
「何がだ?」
「・・・更夜を・・・許してくれて・・・」
「別段・・・お前のためにしたことではない・・・」
「ひょっとして怒ってるのか?・・・怒って当然だな・・・」
「任せろと言ったろう!」
「うん・・・・」小さくうなずく六太・・・。
「朱衡や帷湍たちといい、六太といい・・・全く俺の臣は、見る目が無さ過ぎる・・・」

「尚隆・・・」
「何だ?」
「尚隆は・・・更夜に約束したように、オレにも、オレのための場所をくれるだろうか?」
「お前も・・・雁国民の端くれだからな・・・。それで、どんな場所が欲しい?」
「緑の山野!!誰もが飢えないですむ豊かな国・・・凍える事も、夜露に濡れる事も無い家・・・民の誰もが安穏とし、飢える心配も戦火に追われる心配も無い・・・安らかな土地が欲しい!・・・オレはずっとそれが欲しかった・・・。親が子供を捨てたりしないでも生きていける豊かな国・・・」
「お前は・・・約束を違えず、俺に一国をくれた。・・・だから俺は約束する。必ず・・・平和で・・・緑豊かな国を・・・お前に返そう・・・」
「うん・・・ではオレは・・・尚隆が良いと言うまで・・・目をつむっている・・・」
   ・
   ・
   ・
  「完」

延王尚隆の登極直後の波乱の模様が描かれた4話でした。後の雁国を支える有能な官との出会い、互いの行き違いと、乱を通して理解しあう様、そして犠牲となった官や民たち。王と延麒の絆の深まり。そして辛い別れ。簡単に500年も続いたわけではない事、続ける事の難しさも描かれていましたね。

アニメの場合は、景王陽子にことの顛末を延王が語る、というスタイルになってましたが、これは・・・オマケですかね?(笑)斡由の悲しい生き様を尚隆が意識する必要があったのか?ちょっと分かりません。原作との微妙な違い・・・味わいましょう。(笑)

これで、「東の海神 西の滄海」編の本編は終わりです。という事は十二国記全編の終わり・・・ということですね。(転章がありますが・・・)長いようで短い?人それぞれでしょうが、残念のひとことですね。原作が完結していればまだ制作されたんですが・・・。いつか続編が制作されることを祈りましょう。

そういえば・・・原作もかなり忘れました。(笑)暇をみて読み返しましょう。王冠2

2007.10.08 Monday

アニメ「十二国記」第41話 第42話

第四十一話 「東の海神 西の滄海」一章
尚隆が雁国の王、延王として登極し二十年。一度滅んだともいえる程のすさまじい荒廃が見られた雁国だったが、大地には緑が増え何とか復興に向かいつつあった・・・。
その頃雁国にある州の一つ、元州が謀反を起こそうとしているという噂がたちはじめていた。内乱になるのかもしれない、もともと慈悲深い生きものである麒麟の六太は心を痛めていた。戦は大人だけでなく、子供たちまで不幸にする―――。ふいに六太は、昔元州で出会った妖魔に育てられた少年、更夜のことを思い出す。

第四十二話 「東の海神 西の滄海」二章
更夜の手により元州に連れ去られた六太は、角を封じられ、元州牧伯・驪媚と共に牢に囚われた。それはすべて当時元州を束ねていた斡由の差し金だった。斡由は、麒麟が選んだ王が玉座につくのは間違いだといい、王の全権を官に譲れ、そう六太に主張した。
このままでは尚隆と斡由の戦いは避けられないと六太は感じ、元州夏官の射士となっていた更夜に斡由を止めてくれと頼む。しかし更夜にとって斡由は、ひとりぼっちで居場所のなかった自分に、居場所を与えてくれた恩人だった。
(〜NHK HP)

「東の海神 西の滄海」編は、延王尚隆登極後20年程の頃のお話。つまり、陽子登極の480年程前のこと・・・。王に反旗を上げた人物、民のために、王を討たねばならぬと思い込む斡由、子供の頃に六太と出会い心を通わせた更夜、二人の苦悩と運命に、延王主従の絆の強さを絡めて描く。

冒頭、尚隆の政務に対するだらしなさ、それに苛立つ官達、そしてそれを理由に王を討つため六太を利用しようとする斡由、恩ある斡由のためあえてその手を汚す更夜の行動が描かれるが、次第に斡由の真意が天意に対する挑戦であることが分かる。

赤索条によって角を封じられた六太を前に、斡由が語る。
「聞けば、王はしばしば朝議をご欠席になり、官は王をお探しするのに躍起とか。州の自治を、公の権を返していただきたい。その上で、どれほどにもお遊びになれば良い」
「それでは国は成り立たない。諸侯が各々の思惑で勝手なことを始めれば、治水ひとつとっても、上流だけが潤って下流が枯れることになりかねない」
「では、全権を委ねる官を置かれると良い。それに、王を代行させればよろしい」
「台輔その奸夫の言葉に耳をお貸しになってはなりません!!今これが言ったことは罪深き事。この世は天帝がお造りになり、万事をお定めになりました。民意の具現たる麒麟に王を選ばせる事も・・・。この理に逆らうという事は、世の成り立ちを否定する事に他なりません!!」六太を諌める驪媚。
「梟王を選んだのもまた麒麟。牧伯はそれをお忘れではないか?」
「それは・・・」
「天帝なるお方がおられるのなら、連れてきてはもらえますまいか?私ははっきりと申し上げる。天帝など・・・おらんのだ!!いたとしても・・・そんなもの必要ない!!」
「なっ・・・」斡由の言葉に驚く驪媚・・・。
「お前は・・・麒麟の選んだ者を玉座に据えることが、そもそも間違いだと言うんだな?」問いただす六太。
「台輔には・・・現王が間違いなく、最善の王だという確信がありましょうか?」
「・・・無いな・・・」ためらいも無く答える六太。
「台輔!!」驚く驪媚。
「確かに、尚隆を見て王だと思った」
「ならば・・・」安堵する驪媚。
「これが・・・雁を滅ぼす王だと・・・」
「おぉ・・・」言葉を失う驪媚。
「王の上に朝廷を造るということなら、オレは止めてくれと言う。王の全権を取り上げてしまえと言うなら、オレは協力したかもしれないが・・・。民の主は民自身だけでいいんじゃないのか?上に権を置けば、権は民を虐げる・・・」
「ご理解いただけず残念です・・・」
「オレもだよ・・・斡由・・・」
六太と斡由の話し合いは終わる・・・。

六太と更夜はそれぞれの身の上を語り合う。
親に捨てられ妖魔に育てられた更夜は、人に追われる孤独な日々から救い出してくれた斡由との出会いを、斡由に対する恩を語る。同じように親に捨てられた六太は、蓬山への帰還、王を選ぶ事を嫌って蓬莱へ逃げ、そこで尚隆と出合った事の不思議さを語る。

「今となってはオレにも、王を選ぶのが嫌で逃げ出したのか、王がいるから蓬莱に帰りたかったのか・・・どちらなのか分からない・・・。オレは尚隆の臣だ。それは諦めた。だから・・・斡由が兵を挙げれば・・・オレは更夜の敵になる。オレはお前とも、お前の主とも戦いたくない。今ならまだ間に合う・・・斡由を止めてくれ!!」
「出来ない・・・」
「更夜・・・」
「斡由は分かっている。分かった上でやると言うんだから・・・オレには止められない・・・」
「内乱になる・・・。沢山の兵が死んで・・・沢山の民が巻き込まれる・・・」
「そうだね・・・」

考え込む二人・・・。

悩む二人の思惑とは別に、尚隆と官は戦いの準備を、六太を救い出す策を練る。そして六太とともに囚われた驪媚は・・・尚隆を信じきれない六太を諭す。そして・・・。

「主上は決して愚かでも無責任でもいらっしゃいません。考えるべきは考え、行うべきは行っていらっしゃる。表にお出しにならないだけでございます」
「でも、だめだ・・。尚隆は王だから・・。王は民を不幸にする・・・」
「いいえ逆です!!国の荒廃は万民の苦難。民にも国にも王が必要なので御座います!!」

無言で立ち上がった驪媚は六太の背後に回る・・・困惑する六太。六太の頬を手の平に納め静かに語りかける驪媚。

「数日のうちには、王師が頑朴に到着いたしましょう。王宮へお帰り下さい・・・」

尚隆との約束通り、自らの命を捨てる覚悟の驪媚は赤索条に指をかけ・・・無言で糸を切る!!

六太の叫び・・・朱に染まる視界・・・・。

かつて六太が蓬山を逃げ出す際、「民に王を!!」と叫んでその身を六太の前に投げ出した驪媚。民と国を救う為に自らの役割を理解してそれを果たす・・・。そしてそれも尚隆の考えのうちだった・・・。王と麒麟、そして官と民の間の非情なまでの関係を描いています。そして斡由・・・天意に疑問を投げかける者がここにも・・・。十二国の世界が決して理想郷ではない事も示しているようですね。王冠2

2007.09.30 Sunday

アニメ「十二国記」第39話 第40話

第三十九話 「風の万里 黎明の空」終章
蜂起の起きた拓峰の街へ王直属の軍隊である禁軍が陽子達の敵として現れる。だがそれによって陽子は、王の了解を得ず勝手に禁軍を動かした人物がいる事を知り、呀峰と昇紘の後ろ盾として裏で取りまとめていた元冢宰・靖共の存在に気付く。
靖共にこれ以上勝手はさせないと決意する陽子のもとに、金色の鬣を持つ一頭の獣が舞い降りる。その光景を呆然と見つめる誰しもが、それがこの慶国に唯一無二の存在、「麒麟」だと分かる。

第四十話 「乗月」
芳国で、恵州候・月渓が先代の峯王・冽王を討って4年の年月が流れた。
慶国の新しい禁軍将軍・桓魋は、空座となった玉座を月渓が仮王として治めていると聞き、景王・陽子からの親書を持って芳国を訪れた。
しかし月渓は、朝廷が多少なりとも鎮まった今、恵州に戻る決意をしていた。冽王を討つという大罪を犯した自分が、王宮に留まり仮だとしても王として国を治めてはいけないと考えていたのだ。

(〜NHK HP)

「終章」
雲を突き抜けてやって来る・・・・獣!!郷城胸壁で待つ陽子の前に獣形の麒麟が駆けつける。待ち構える禁軍を見下ろす・・・景麒に騎乗した景王赤子!!真の王の威厳に勝負は付いた・・・。
やるべきことを果たした陽子は、明郭の浅野のもとへ・・・。

寝台の上に横たわるのは、かすかに微笑む浅野の遺体・・・。

「浅野・・・・」泣く鈴・・。
「笑っている・・・」つぶやく祥瓊・・・。
「この刀が見せてくれたから・・・もう間に合わないのは知っていた・・・」水禺刀を浅野の上半身に置き、つぶやく陽子・・・。
「そんな・・・」目を伏せる祥瓊。
「刀に映った浅野君は・・・笑っていた・・・。でも、私の望む幻も見せる・・・。だから、私が笑っていて欲しいと思ったからかも知れないと・・・。でも・・・本当だった・・・」
「そうね・・・笑っている・・・」うなずく鈴・・。陽子も涙を流す。
「済まないが・・・彼を埋めてやりたい・・・」
「いいの?彼はあちらに・・・」戸惑う祥瓊。
「彼は・・・ここで生きて死んだ・・・。だから・・・ここに眠りたいのだと思う・・・」
   ・
   ・
   ・
落ち着いてから外で語り合う3人。これから何をするか・・・そして・・・。

「良い国っていうのは・・・何なんだろう?・・・二人はどういう生き方がしたい?そのためには、どういう国であって欲しい?」改まって聞く陽子。
「寒いのや、ひもじいのは嫌だわ・・・。それに・・・私が言ってはいけないのだけど、やっぱり誰かに辛く当たられたり、さげすまれるのは嫌だった・・・。それに耐えるうちに、自分だけが不幸に耐えているように誤解しちゃう・・・」答える祥瓊。続けて鈴も。
「あたしもそうだったなぁ・・・。我慢するのを止めれば良かったのに・・・そういうのを我慢していると、何だか気持ちが小さくなってしまうのよねぇ・・・」
「そうそう・・・。でも・・・これって全然答えにならないわね?・・・」戸惑う祥瓊。(笑)

「いや・・・参考になった・・・」
「本当?」意外そうな鈴。
「うん・・・。それで、その用が終わったら、二人はどうする?・・・私もまだまだ遠甫に学びたい・・・。もし遠甫が無事で、金波宮に来てくれたら・・・二人ともそこで働きながら学ばないか?」
「えっ?」「待って!」驚く鈴と祥瓊。
「私は今、一人でも多くの手助けが欲しい。あの王宮の中で、信じることの出来る人が、本当に一人でも多く必要なんだ」
驚きで茫然とする鈴と祥瓊・・・大きなため息をついて祥瓊が言う。
「しょうがないわね・・・行ってあげてもいいわ・・・」もったいぶった祥瓊の答えを聞いた鈴もうれしそうに・・。(笑)
「陽子がどうしてもって言うなら・・・助けてあげないでも無いかな〜〜〜??」
「どうしても!!」パチンと手を合わせ、おどけた様に答える陽子。(笑)
顔を見合わせて、思わず笑い出す3人娘・・・・。(笑)
   ・
   ・
   ・

金波宮で、遠甫と語り合う陽子。
「わしは道を貫いたつもりだった・・・。だが・・道とは他者の命を犠牲にするものではあるまい。ならば、わしの貫いたものは何だったんだろうな・・・?この歳になってもまだこうして迷う・・・。時々、わしは道を説く事よりも、田を耕す事、武器を持って戦うことの方が、はるかに意義があるように思える事がある・・・」
「遠甫は、民に、種をまいてらっしゃるのではないですか?」
「なるほどな・・・。わしのように長生きしてもまだ迷う・・・。陽子のような若造に諭される。人というのはその程度のものだ・・・」

陽子が遠甫を太師に、と願い出る。すると遠甫は、自分はかつてここで達王に仕えた「老松」「乙悦」だと告白し、居合わせた一同は驚ろかされる・・・。


久しぶりの朝堂で、玉座を占めて官吏の前に立つ景王陽子。官吏の移動、綱紀粛正を命じ・・・そして言う。

「良心に恥じる事がない者は狼狽するに及ばない。みんな・・・立ちなさい!!」どよめく官吏たち・・・陽子は続ける。
「景麒にも聞いてもらおう・・・」
「私は人に礼拝されたり、人の間に序列ある事が好きではない。相手の顔が見えないことが嫌だ・・・。人から叩頭されることも、叩頭する人を見るのも不快だ」
「これ以後、礼典、祭典、及びもろもろの定めある儀式、他国からの賓客に対する場合を除き、伏礼を廃し、跪礼、立礼のみとする!!」
「主上!!」驚く景麒!!
「もう決めた・・・」
「侮られたと、怒る者が居りましょう」諌める景麒。
「他者に頭を下げさせて、それで己の地位を確認しなければ安心できない者のことなど、私は知らない。それよりも、人に頭を下げる度、壊れていく物の方が問題だと・・・私は思う・・・。人はね景麒・・・」諭すように話しかける陽子。
「真実相手に感謝し、心から尊敬の念を感じた時には、自然に頭が下がるものだ・・・。他者に対しては礼をもって接する、そんな事は当たり前の事だし、するのしないも、本人の品性の問題で、それ以上のことではないだろう・・と言っているんだ・・・」
「それは・・・そうですが・・・」戸惑う景麒。
「私は・・・慶の民の誰もに王になってもらいたい・・・」官吏たちに向き直り、語り続ける陽子。
「地位でもって礼を強要し、他者を踏みにじることに慣れた者の末路は、昇紘、呀峰の例を見るまでも無く明らかだろう。そしてまた、踏みにじられる事を受け入れた人々が辿る道も・・・」

「人は誰の奴隷でもない。そんな事のために生まれるのじゃない。他者に虐げられても屈する事の無い心。災厄に襲われてもくじける事の無い心。不正があれば正す事を恐れず、獣に媚びず、私は慶の民に、そんな不羈の民になって欲しい。己といういう領土を治める唯一無二の君主に!そのためにまず、他者の前で毅然と、頭を上げることから初めて欲しい・・・」

「諸官は私に、慶をどこに導くのだと聞いた・・・これで答えになるだろうか?」
「その証として、伏例を廃す・・・」凛とした陽子の声が響く・・・・。

「これをもって、初勅とする!!」

  〜「完」〜

「風の万里 黎明の空」編はこれで終わり。

「乗月」
この40話から、アニメでは「東の海神 西の滄海」編となる。原作では短編集の「華胥の幽夢」所収。公主「祥瓊」追放後の後日談である。

陽子と祥瓊の手紙を携えて芳国を訪れた桓魋。祥瓊についての話を聞きいぶかる月渓に言う。
「人は変わる事が出来るんです。幸いな事に・・・」
納得のいかない表情の月渓・・・。

恩義ある冽王に対する思いから、仮王に立つ事を渋る月渓。桓魋と月渓は語り合う。

「峯王を・・・敬愛しておられたのですね・・・」
「民が主上を恨む・・・それはあまりにも当然で・・・しかし、いたたまれないほど辛かった・・・。あの方を憎みたくなかった・・・。私にとってあの方は・・・清廉潔白で・・・真っ白な・・・。だから・・・これ以上憎みたくないから・・・殺したのだ!!」うめく様に続ける月経・・・。
「民の為ではない・・・私怨だ!!・・・だから・・・」
「それは、民の為と同義です・・・」桓魋の言葉に驚く月渓。
「恵州侯にとって良い王とは、民のためになる王だった・・・。峯王にそうあって欲しかった・・・」桓魋を見つめていた月渓は、顔を背けて言う。
「やはり玉座にはつけぬ。それでは文字通り簒奪だ・・・。どんな言い訳も許されない!」言い張る月渓。
「言い訳?誰に対する言い訳なのですか?」問いかける桓魋。言葉に詰まる月渓・・・。
「あぁ・・・失礼を・・・」謝る桓魋。
「いや・・・確かに私は主上に対して言い訳をしたかったのだ・・・。憎かったのでも、軽んじたのでも、ましてや位が欲しかったわけでもない・・・と。いや私は・・・そう・・・せめて自分自身に申し開きがしたいのだ・・・。この上玉座を盗めば、私は自分に言い訳のしようも無くなる・・・。そんな私を・・・祥瓊様は笑うだろう・・・」
「恵州侯が国主でおられるからには、芳が荒れ果てていることはあるまい・・・。そう祥瓊が申したから、主上は私を遣わされました・・・」うめく月渓・・・。
「先ほど内乱と申しましたが、実は私たちが起こしたものでした」驚く月渓。
「私も罪人です・・・」静かに続ける桓魋。
「しかし・・・日が落ち、深い闇が道を塞いでも、月は照らしてくれます・・・」
頭上の満月を見上げる二人・・・。
「そうだ・・・月陰の朝というのはどうでしょう?仮朝でも偽朝でもなく、王が玉座にあるのを日陽の朝とするならば、王のいない朝は月陰の朝じゃないかな?・・・月に乗じて・・・暁を待つ・・・・」
「なるほど・・・・」考え込む月渓・・・。

祥瓊の懺悔の手紙を読み、涙を拭う月渓。
罰を受ける為、一人恭に向かったという祥瓊への寛大な処置を願う為、供王に書状を出そうとする。桓魋が聞く。
「しかし僭越ながら・・・。それはいかなる肩書きをもって出される書状でございましょうか?」
「確かに、一州侯が他国の王に、罪人の減刑を申し出ることなど出来ぬ・・・。恐れながら・・・芳の国主としてお願いしよう」うなずく桓魋。

「確かに人は変わることが出来るようだ・・・」つぶやく月渓・・・。

恭に向かう祥瓊。帰国する桓魋がやって来る・・・。
「もし恭国にあるを見つければ・・・叩き出す!!」供王の言葉を伝える桓魋。困惑する祥瓊。吉量に祥瓊を引き上げながら桓魋は言う。
「供王は罪の陳謝に及ばずと言って下さったんだ。どこへなりとも行け!とな・・・。」

「恵州侯は、祥瓊に詫びたいと言っておられた・・・」
「私に?月渓が??」
「あなたの父上のものを盗む・・・と、そしてあなたのことを思案するのも、これを最後にすると・・・」
「それで良いのよ・・・。月渓には民が待っているのだから・・・」
「それともう一つ・・・。恵州侯はお前の歌が好きだった・・・と」
「ウソ!!」目を閉じて叫ぶ祥瓊。
「何故だ?」
「あれは人形の歌よ!!自分が人形と知らぬ人形の歌・・・。今は私だって忌み嫌っている!!なのに・・・どうして・・・・?」泣く祥瓊。
「どうしてそんなこと言うの?!」泣き続ける祥瓊・・・。

「良かったな・・・」祥瓊の肩に手をかけ語りかける桓魋・・・。

陽子にとっても鈴や祥瓊にとっても、今までの過去を振り返り、新たな一歩を踏み出すための日々が描かれる第39話、40話です。「不羈の民に」と呼びかける陽子の凛々しい姿。朱旌や采王主従と再会する鈴の姿。楽俊と再会し全てを清算するため、恭に向かって歩く祥瓊、月渓の思いに泣く祥瓊の姿。そして月渓と桓魋の深い会話・・・。印象的な場面が随所にあります。じっくりと見てください。

次回からは十二国記シリーズの最後を飾る「東の海神 西の滄海」編が始まります。王冠2

2007.09.23 Sunday

アニメ「十二国記」第37話 第38話

第37話   「風の万里 黎明の空」 十四章
郷城への突入に成功した陽子と虎嘯は昇紘を捜すため二手に分かれる。そして陽子は驃騎と班渠から昇紘の居場所を聞き、ついに昇紘を見つけ出した。陽子の正体に気づいた昇紘は、天意の存在を確信し、剣を投げ出し陽子に「殺せ」と言い放つ。
一方、鈴は浅野と再会する。鈴から状況を聞いた浅野は自分にも何か出来る事はないかと考え、以前追いはぎから救ってくれた人たちに助けを求めるため、一人明郭を目指すのだが・・・。

第38話   「風の万里 黎明の空」 十五章
陽子達は桓魋の部隊が加わった事で州師にも勝る勢力を得た。それでも拓峰の街の人たちが蜂起する気配はなく、静まり返ったままであった。
鈴は、我慢することで自分の不幸を慰めている街の人たちの気持ちと、梨耀に仕えていた時の自分の気持ちが似ていると感じていた。祥瓊もまた同じ気持ちで、二人はこの乱によって二度と呀峰や昇紘のような人物を生み出さないで欲しいという願いが景王に届けばいい、と陽子に話す。

(〜NHK HP)

さあ〜・・・いよいよ山場である。

無数の死体を乗り越えて、陽子は、景王は戦う!!正に死屍累々!!「玉座は血であがなうもの」「腹は括った」と言った陽子だったが、無力な王ゆえに、多くの血が流される・・・。昇紘は捉えたが、限られた兵力では負けが見えている。

「仲間を呼んでくる!!」と言って明郭を目指す浅野。自らの誇りを守り、景王を守るためにと小司馬に立ち向かったが切られる・・・。5千の援軍とともに駆けつけた祥瓊からそれを聞き、鈴は泣くが・・・王である陽子は気丈に振舞うしかない・・・。

「小司馬に媚びなかったから切られた・・・なら良い・・・。私にも、ここでやるべきことがある。・・・・・・良いんだ・・・」

第38話は禁軍を送り込む靖共たちと、陽子を案ずる景麒の姿から始まる。

夜明け前の郷城の胸壁の上で、陽子たち3人は街の人達が立ち上がらないことについて語り合う。
「あたし、何となく街の人の気分、分かるな・・・。あたしが仕えていた人は使用人にとても辛く当たる人だった・・・。今から考えると、少しは文句を言えば良かったって思う。でも、ご機嫌を損ねるのが怖くて黙っていた・・・。黙って我慢して、そうしている間に・・・どんどん怖くなるんだよね。よく考えたら、梨耀様があたしを殺したりする訳じゃないのに、我慢していないともっと酷いことになりそうな・・・」
「そんなものかもしれないわね・・・」祥瓊も頷く。
「我慢していれば、自分はなんて不幸なんだって、自分を慰めていればいい。街の人もきっとそう・・・。大切な人を殺されるまで気が付かない・・・」続けて祥瓊が言う。
「昇紘に殺されるようなことをした方が悪い・・・なんてね・・・。人間て、不幸の競争をしてしまうわね。本当は死んでしまった人が一番可哀そうなのに・・・。誰かを哀れむと・・・負けたような気がしてしまうの・・・。自分が一番可哀そうだって思うのは、自分が一番幸せだって思うことと同じ位気持ちがいいことなのかもしれない。それは違うって諭されると、腹が立ってしまうのよね。こんな不幸なわたしを、この上責めるのかって・・・」顔を見合わせて笑う鈴と祥瓊、横で聞いていた陽子も笑う。
「陽子??」戸惑う鈴。
「皆、同じところにはまり込むんだな・・・」
「あなたも?」驚く祥瓊。
「人が幸せになる事は、簡単なんだけど難しい・・・そんな気がする・・・」
「あのね。生きるってことは・・・うれしい事半分、辛い事半分なんだって・・・」
鈴の言葉に考え込む陽子と祥瓊・・・。

歩きながら更に語る3人・・・。
「沢山の人が犠牲になるんだから、ちゃんと景王の耳に届くといいわね・・・」
驚いて祥瓊を振り向く陽子。
「乱が起こった事で、景王様が、二度と昇紘や呀峰のようなやつをのさばらせないでくれれば・・・そうなったらいいな・・・って話」鈴が付け加える。
うつむく陽子・・・。

「あたしね、本当は景王様に会いたくて来たの・・・祥瓊もそうなんだって」
「景王に??なぜ??」戸惑う陽子。
「同じ年頃の娘だから!!」声をそろえて応え、笑いあう鈴と祥瓊。(笑)
「それに同じ海客だから。海客の王様なら、可哀そうなあたしを助けてくれるって思ってた・・・」
「わたしは逆よ・・・景王を恨んだ・・・」いたたまれず、背を向ける陽子。
「自分は王宮から追い出されて・・・同じ年頃の娘が王になったって聞いて。八つ当たりだけど・・・許せなかったわ・・・。楽俊に合えなかったら、きっと今でも恨んでいたと思うわ・・・」
「楽俊!!?」驚く陽子。
「いい人だったの・・・とても感謝している。あの人の友達なんだから、きっと景王もいい人なんだと思うわ・・・」

「私だ・・・」目を閉じて、背を向けたままで陽子が言う。

「何が?」不思議そうな鈴。振り向いた陽子が2人を見つめて答える。
「その景王は私だ・・・」息を呑む鈴と祥瓊。
「こういう事を言うと、お笑いに聞こえることは分かっているけど、今の話を聞いて、黙っておくのは出来ないから言っておく・・・」
「それであの海客が・・・」浅野の言葉(「景王を守ってくれ・・・頼む」)を思い出す祥瓊。
「その時は意味が分からなかった・・・でも・・・あなたが景王・・・赤子なら・・・」
「浅野は陽子って・・・」
「それが本当の名だ。官は赤子と字を付けた・・・ご覧の髪だから・・・」
「あたし・・・金波宮に行ったわ。でも王は居なかった・・・延にいると言ってたけど、なんだか変で・・・」
「私は、遠甫という人に、こちらのことを学んでいる途中だった」
「遠甫?さらわれたという・・・松塾の?」
「遠甫をさらったのは昇紘で、さらわせたのは呀峰だ。遠甫を助けようと動いていたら、こういう事になった・・・」
「なぜ?あなたが本当の景王なら、昇紘や呀峰を罷免すれば済む!!こんなことをしなくたって!!」
「私は官に信用が無い。昇紘を郷長から更迭するなら、それに足る証拠を出せと、景麒は官に言われたそうだ・・・。私には・・・何の権限も無い・・・」
「そんなはず無い!!」信じられない祥瓊。
「無いんだ!!私が王宮に戻り、朝議を開いても、禁軍をいつ動かせるか分からなかった。そうしている間に、遠甫は殺されるかもしれない!!現に、里家で私と同じ年頃の娘が殺され・・・弟は瀕死だ・・・。この街でも子供が死んだ・・・助けてあげたかった・・・だから!!」聞いていた鈴が、陽子を見つめながら問い詰めるように聞く。
「間に合えば助けてあげた??あの子を??」
「当たり前だろ!人一人の命だぞ!!」息を呑み、目線を下げる鈴。
「もし、そんなに酷い怪我に見えなかったら?昇紘のせいじゃなくても?」祥瓊も聞く。
「祥瓊なら見捨てるのか?」言葉につまる祥瓊・・・。
「・・・そうね・・・」

「私は至らない王だ・・・。沢山の民が無為に殺され、重税や苦役を課せられていることも知らなかった。それで目の前に見える不幸な人だけ助けようなんて、噴飯物だってことは分かっている。桂桂やその子を助けたって、別の場所で別の子供が死んでいるんだろう・・・。でも、私にできる事が目の前の不幸だけなら・・・それを何とかしたい・・・」

「不甲斐ない王で・・・すまない・・・」目を伏せる陽子・・・。

祥瓊の肩に手をかけ、声を震わせ、泣きながら笑い出す鈴・・・。
「ちょっと鈴!!・・」驚く祥瓊。
「すごい・・・馬鹿みたい・・・」
「鈴・・・??」
「勝手に期待して、勝手に失望して・・・ほんと馬鹿みたい・・・。でも王様って・・・そんなものなのね・・・。みんな勝手に期待して・・・陽子自身のことなんて考えてもみないで・・・勝手に失望して行くの・・・」涙を拭いながらつぶやく鈴。

「私は・・・どうすれば良い?」問いかける陽子・・・。

「決まってるじゃない」答える鈴。
「そうね!!」
陽子と鈴の間に立ち、2人の腕を取った祥瓊が言う。
「州師をここで迎え撃ち、呀峰を引きずり降ろすのよ!!」
「うん・・・」頷く陽子・・・。
   ・
   ・
   ・
街に火を放った州師。人々を守る為に、陽子たちは郷城から打って出る!!
班渠に指示をしながら陽子は進む。

州師は撃退したが、朝を迎えて遂にやってきた禁軍!!王の許しも無く禁軍が来た事から、靖共の陰謀と知った陽子たち。陽子は一計を案じる・・・・。動揺する街の人々に王の考えを伝える鈴と祥瓊。自分の身分を明かしての説得に人々は驚く。

いよいよクライマックスです!!3人の少女が、それぞれの素性と、置かれている状況を理解し、互いに励まし合う場面は感動的です。非常に酷い「絵」ですが、我慢しましょう。(笑)それから「水戸黄門の印籠」みたいなあの場面・・・スカッとしますね〜!!(笑)

次回はいよいよ「風の万里 黎明の空」の終章です。王冠2

2007.09.16 Sunday

アニメ「十二国記」第35話 第36話

第35話   「風の万里 黎明の空」 十二章
陽子が瑛州から和州へと旅していた間に、何者かによって里家が襲われ、蘭玉が命を落とす。遠甫の行方は分からず、ひとまず瀕死の桂桂を金波宮へと運ぶ。陽子は里家を襲った人物の手掛かりを掴むため、以前遠甫を訪ねて来た、怪しい男の仲介役だった労の家に向かう――。
一方桓魋達の仲間となった祥瓊は、乱を起こす軍資金を得るため冬器の荷をある場所まで運ぶよう頼まれる。また、鈴も虎嘯から冬器を購入して来て欲しいと運び役を頼まれていた。

第36話   「風の万里 黎明の空」 十三章
和州止水郷・郷長酷吏である昇紘を倒すために集まった虎嘯たち一党に加わった陽子。それを機に、拓峰で乱が始まった。作戦の指揮を担うのは夕暉。昇紘の別宅や蔵を襲った跡には、「殊恩」という文字を残した。それは「昇紘を誅する」という意味だった。
一方、拓峰で起こった乱の知らせが祥瓊のいる明郭の街にも届いていた。桓魋は、虎嘯たちの一見無意味な襲撃が実は巧みな作戦であり、それと同時に見落としている事があると言う。
(〜NHK HP)

いよいよ、ここから最後までは怒濤の展開である〜。(笑)

密かに蜂起の準備を進める二つの勢力。それぞれの一員となった鈴と祥瓊は、自分の役割を果たすために行動する。武器と資金を調達に出向いた鈴と祥瓊。初めて出合った2人は意気投合する。

寝台で眠りながら小声で思芳歌をつぶやく祥瓊。聞きつけた鈴が問う。
「どこの歌?」
「やだ〜、聞こえた?」
「なんていう歌?あ〜、こういう事も聞いちゃいけないのかな?」秘密を守る為に、お互いに知ろうとするな、と言う宿の主人を気遣う鈴。
「良いってことにしちゃおう!!」いけない祥瓊・・・。(笑)

互いに向き合い、語り合う2人。それぞれの目的が同じ事を知るが・・・。

「一緒に旅をしてきた子を、昇紘に殺されたの・・・」
「まぁ・・・」
「清秀は、昇紘の車を止めたっていうだけで殺されてしまった。でも、昇紘は・・・」
「呀峰に守られている・・・」
「昇紘は呀峰と景王に守られているから・・・昇紘を罰する人は、誰もいない・・・。だから、自分たちの手で何とかするしか・・・」
「それ、違うわ」サラリという祥瓊。
「えっ?」驚く鈴。
「それは、先代の予王の時代の話じゃない?」
「だって・・現に景王は・・・」
「私・・・柳で、景王の友達という人に会った。あの人の友達なら、きっとそんなに悪い人じゃないと思う。景王は、登極して間が無いから、分かってない事が多い。それだけだと思うの」
「それじゃ〜許されないわ。だって、王なんだもの・・・」

「さっきの歌は・・・芳の鷹隼宮で歌われていたの・・・。私の父は・・・芳の王だった・・・」
「えっ!!」驚く鈴。
「3年前、民に討たれて倒れたの・・・父はとても憎まれていたから・・・。でも、そんな父でも、やっぱり亡くして悲しい。多分・・・鈴がその子を亡くして辛いのと同じくらい・・・」
「あっ・・・・・・うん・・・」
「あんなに憎まれる前に、父を諌める事が出来なかった自分が悔しい!!だから・・・もしも、景王の周りにも・・・わたしみたいな馬鹿な人間しかいなかったら・・・。父だって、峯麟に選ばれたんだもの、最初からどうしようも無い人ではなかったはずだわ。でも、周りにいる者が、諌めるときに諌めてあげないと、簡単に道を踏み外してしまう・・・・・私は・・・何も見えていない人形だった・・・きっと景王も・・・・」
「あっ・・・」思い起こす鈴。
「傀儡なんだ・・・」と言う陽子の言葉・・・。
「でも、景王は麦州候を罷免したって・・・。とても民に慕われていた人なのに・・・」
「奸臣の常套手段ね。そういう人は、呀峰や昇紘みたいな連中にとっては目障りなだけ。罪を捏造するくらい・・・」
「でも・・・」
「そう言えば、瑛州のどこかの里家が襲われて、遠甫という道を知る偉い閭胥がさらわれたらしいわ」
「里家が?・・・夜・・・拓峰の門を明けた馬車があった・・・」
「麦州候と同じで、正しい事を言う人が目障りだから、昇紘がやらせたんだわ・・・違う??」
鈴の顔を見る祥瓊・・・鈴は目に涙を浮かべて・・・。

「景王って・・・いい人かしら?・・・・」
「だと、私は勝手に思っているけど・・・。そんな風に言われるのが嫌だった?」
「ううん・・・だったらうれしい・・・」泣きだす鈴・・・。
「えっ?・・・」驚く祥瓊。
「私・・・景王に会いたかったの・・・きっといい人だって思ってた・・・。清秀はずっと具合が悪そうで・・・だから・・・一緒に堯天に行こうって・・・。でも・・・昇紘に殺されてしまった・・・・。あんな獣を守っている人なんか!!・・・だから・・・私が景王を殺してやるんだっ!!・・・て・・・」
「鈴・・・」両膝に押し付けられた鈴の拳。むせび泣く鈴の、涙が濡らすその拳に・・・祥瓊の手が重ねられ・・・。
「清秀って子・・・可哀そうだったわね・・・」
いたわるように見つめる祥瓊・・・。

「あなたは間違っていなかった・・・堯天にたどり着けば・・・きっと景王は助けてくれたわ・・・」
耐え切れず、祥瓊にすがって泣きじゃくる鈴・・・。
優しく抱きしめる祥瓊・・・。

若い景王に嫉妬した世間知らずな元公主が、友の悲しみに共感できる人間に・・・・。鈴も、景王に対するかつての思いが間違っていなかった事に安堵するが・・・清秀を救えなかったことが今更ながらに悔やまれて・・・泣かずにはいられない・・・。

何度見ても・・・泣けます・・・・。(笑)


遠甫を探す陽子。鈴たちと合流して、遂に立つ!!

第36話では、戦いの前半が描かれる。夕暉と虎嘯の巧妙な計略で遂に郷城に突入!!
王しては、何も出来る事が無いと分かった陽子は、先頭に立って、ためらいも無く切り込む!!

昇紘は「天の理に挑戦する者」として原作とはまるで違うキャラクターで描かれています。ちょっと理屈っぽいとも思いますが・・・。(笑)また元々原作にはいなかった浅野は、現実をゲームの一部と思い込む「オタク」となってしまっています。(笑)それに対して、自らの立場と役割をしっかりと意識した陽子は、民の先頭に立って立ち上がるという、役人から見たら「困った王」だ。(笑)

「私がここにいるのは、私がそうすべきだと思ったからだ!!」
「世界は役割など与えてはくれない・・・誰にもだ・・・」

自分の役割が分からず困惑する浅野に、突き放すように告げる陽子。自らの信ずる所に向かって・・・自分の運命は自分で切り開く。強くなった陽子がいる・・・・。王冠2

2007.09.09 Sunday

アニメ「十二国記」第33話 第34話

第三十三話 「風の万里 黎明の空」十章
景王が郷長昇紘の悪事を許しかばっているという噂を聞き、王宮を訪ねる鈴。しかし王の不在を聞かされ、また昇紘の悪事を知らない素振りの官吏を見て、噂が真実だと確信する。
一方陽子は、和州の状況を調べるために景麒を連れて和州の州都である明郭へと旅立つ。
同じ頃、和州・止水を目指していた祥瓊も首都堯天に次いで栄えている街だと聞いていた明郭を訪れる。しかし街並みはさびれ難民も多く、明郭は異様な雰囲気に包まれていた・・・。

第三十四話 「風の万里 黎明の空」十一章
明郭で兵士に追われ逃げ場を失った祥瓊は、桓魋という一人の男に助けられた。屋敷に案内された祥瓊は桓魋から和州に住む「二匹のケダモノ」と呼ぶ人物の事を聞かされる。
虎嘯たちの仲間となった鈴は、昇紘をかばう和州の州侯、呀峰もまた敵であると聞く。そんな折、虎嘯の宿へ陽子が訪ねてくる。そこで鈴と再会した陽子。景王が郷長昇紘をかばい和州候を保護し、逆に民に慕われていた麦州侯をやめさせた、そんな鈴の言葉に陽子は衝撃を受ける。

(〜NHK HP)

どちらも物語が大きく動きます。鈴はアイツ達と、祥瓊はコイツ達と。(笑)それぞれに出会い、彼らと行動を共にすることで景王の目を覚まさせようと誓う。

一方陽子は、慶国の現状を知るにつけ、自分の無力さを痛感していきます。そして・・・遂に、辛い別れに遭遇することに・・・・。

清秀の復讐に燃える鈴は遂に金波宮を訪れるが陽子は不在。それでは昇紘を・・・・と屋敷に近づいたところを虎嘯たちに止められる。宿に帰って、鈴、虎嘯、夕暉は語り合う。

「そんなに昇紘が憎いかい?」
「憎いわ!!」
「しかし、鈴一人でどうにかできる相手じゃ〜ない」
「でも!!清秀は具合が悪かったのよ!!・・・殺す事・・・ないじゃない!!」
「堯天に、病気を治してもらいに行こうとしていたのに・・・でもこんな街・・・寄らなきゃ良かった!!・・・・」無念の涙を流す鈴・・・・。

「おねーさんは・・・自分が憎いんだね・・・」驚いて夕暉に顔を向ける鈴。
「昇紘より、自分が憎いんだ・・・昇紘ではなく・・・自分を罰したいんだね・・・」
泣きながら、夕暉を見つめる鈴。
「そうよ!!わたしが清秀を連れてきたばっかりに!!・・・」
「死にたくないって言ってたわ・・・あんな強い子が死ぬのは怖いって泣いてた!!」
「なのに死んでしまった・・・・わたしのせい!!・・・みんなわたしの!!・・・」
「きっと清秀は許してくれるわ・・・そういう子だもの・・・」
「でも・・・わたしはわたしが許せない!!」むせび泣く鈴・・・。

「しかし、恨みで人を襲えば・・・それは昇紘と同じ・・・人殺しになるだけだよ」
「じゃ〜昇紘を許しておけって言うの??!!沢山の人を苦しめて殺しているあんなやつを!!」

無言の夕暉・・・ふと気付いて回りの男たちを見回す鈴。

「止水にいるのは、やつに怯えた腑抜けばかりじゃない・・・」鈴を見つめながら語りかける虎嘯。
「昇紘は必ず倒す!!・・・俺たちはその時期を待っている。昇紘を忘れるか、これを受け取れ・・・」懐から取り出した鎖の輪を見せる虎嘯。
「一度受け取れば抜ける事はできない・・・裏切れば制裁を覚悟してもらう」
「・・・うん・・・ください・・・」手を差し出す鈴。

「裏切ったりしない・・・何でもする・・・」

指先の輪を見つめつぶやく鈴・・・。
自らを哀れんで、泣いてばかりいた少女は・・・もう・・・いない・・・。

その頃祥瓊は明郭に。広場に人だかりができ、磔刑の刑が執行されようとしている場面に出合う。

「磔刑!!??今じゃ、どこの国でもやってないって・・・」

振り下ろされる大槌!!手の平に食い込むクギ!!叫ぶ罪人!!!
二度!!!!三度!!!!!絶叫がこだまする!!!!!!
茫然と見つめる祥瓊の脳裏に・・・芳での惨状が蘇る!!息を詰める祥瓊・・・。
股裂きの刑を受ける自分!!泣き叫ぶ自分!!絶叫する自分!!蘇る沍姆の言葉!!!!

「わたしの息子は・・・刑場に引き立てられる小さな子を哀れんで役人に石を投げ・・・その子と並んで・・・殺された!!・・・・」

振り下ろされる大槌!!耐えられずに目をつむる祥瓊!!・・・足元の石を手にして・・・投げる!!

「誰だ!!今、石を投げた者を引きずり出せ!!」響き渡る呀峰の声。

祥瓊は逃げる!!!!陽子に助けられ、コイツ達(笑)に救われて・・・そして・・・やるべきことを見つける。


同じ頃、鈴は虎嘯と話す。

「わたしは自分がとても嫌い。だから・・・自分のかわりに昇紘を憎んでいるのかもしれない。でも・・・昇紘も景王も、このままにしておいたらいけないわ・・・違う??」
「実を言えばよく分からん・・・。昇紘や呀峰は国のために値打ちがあるのかも知れないし・・・麦州候の罷免にも理由があるのかもな〜・・・」
「でもな〜〜〜〜・・・オレはアイツがいる限りしんどいんだ!!
「しんどい??」
「夕暉がな・・・アイツは出来が良い。このまま行けば官吏に取り立てられるくらいにな・・・。でも上の学校への推薦があった時・・・オレはちっともそれがうれしくなかった・・・。官吏になってどうする??・・・郷府に入って昇紘に使われんのか??・・・呀峰に加担すんのか??・・・・」

「夕暉も嫌だったんだろう・・・。罪もね〜子供が轢き殺されたと聞きゃ〜腹が立つ!!しんどいし、むかついて忘れられね〜・・・。忘れたいのに忘れられね〜嫌な事がある・・・。喜びたいのに喜べね〜ことがある・・・
「オレはな〜・・・そういうのがしんどくて嫌なんだ・・・。生まれてきた以上は、何とか気持ち良く生きたいだろう??・・・生まれてきて良かったな〜って思いて〜じゃね〜か??!!

茶を差し出す鈴・・・。
「昇紘がいたら、いつまでもそう思えないのね?」
「あ〜、昇紘を一発殴って済む話ならそうする・・・。でもな〜・・・昇紘を何とかするって言うのは大勢で寄ってたかって引きずり下ろすっていう事だ。「死んでもやだ!!」ってやつが言うなら、首を刎ねてでもそうする。オレのやろうとしていることはとんでもね〜ことだろうが・・・オレは辛抱できね〜んだ!!

「よく分かる・・・」うなずく鈴・・・。
「そうか・・・」


あちらこちら・・・慶国の現状を知るうちに何とかしなければあせる陽子。鈴とも再会したが景王への批判の言葉にいたたまれない・・・。夕暉や虎嘯は陽子を疑う・・・。

そして・・・陽子のいない固継の里家では・・・昇紘の手の者がやって来て遠甫を連れ去る!!桂桂は浅野の銃弾に倒れ・・・蘭玉が・・・・。

部屋に入った陽子。視界の隅に入ったそれを、信じられぬ思いで見つめる陽子。
血染めの寝台に横たわる・・・蘭玉・・・・。
駆け寄る陽子・・・。

蘭玉!!・・・蘭玉・・・・」抱き上げた蘭玉のふところから、王の印の御璽を握ったままの手がこぼれ落ちる。

「あぁ・・・これは・・・」息を呑む陽子・・・。
「隠して・・・くれたんだ・・・賊から・・・」
「・・・知っていたのか?・・・」
陽子の頬を涙が伝う・・・。
「・・・すまなかった・・・」むせび泣く陽子。
その時脳裏に蘇るのは初めて会った頃の蘭玉の言葉・・・。

「何言ってるの・・・すまないことなんてないじゃない。何でそんなこと言うの?」

思い出して茫然とする陽子・・・蘭玉の死顔を見つめてつぶやく・・・。

「ああ・・・そうだ・・・。至らない王で・・・本当に・・・すまない!!!」

「もう・・・・誰も死なせない!!遠甫・・・桂桂・・・・必ず助ける!!」

歯を食いしばり・・・決意する・・・陽子・・・・。

陽子、祥瓊そして鈴。3人がそれぞれに理由を見つけ、行動する為に決意する。この2話はそんな様子が描かれています。この物語後半の最も重要な場面ですね。

3人の思いとは別に虎嘯たちの思いも見逃せません。自分たちだけで立ち上がろうとする民、「しんどい」「辛抱できね〜」と言う単純な言い方が、民の思いを素朴に表しています。素朴で力強い民。陽子たち3人とは別のこの物語の主人公の登場でしょう。高邁な理想や精神論とは違う次元の現実的な視点が新鮮ですね。王冠2

2007.09.02 Sunday

アニメ「十二国記」第31話 第32話

第三十一話 「風の万里 黎明の空」転章
慶国の戸籍を得るために一旦戴国へ渡ろうとした祥瓊は、柳国で出会った楽俊と共に柳国と雁国との国境の街へとやってきていた。楽俊と出会い共に旅をすることによって、祥瓊は玉座に王がいないというのがどれだけ国に対して影響を与えるのかを理解する。そして、公主として何も知らなかった自分、知ろうとしなかった自分の責任について考えはじめる。
 そんな祥瓊に、楽俊は景王陽子との出会い、景王になるまでの経緯を話し始める。

第三十二話 「風の万里 黎明の空」九章
清秀の死を受け入れる事の出来ない鈴。周りで見ていたはずの人々は見てみぬふりをし、何事も無かったかのように振舞う。そんな鈴にある人物が救いの手を差し伸べる。
一方陽子は、蘭玉から止水の郷長である昇紘の行いを聞いていた。
雁国と慶国との国境へやってきた祥瓊と楽俊。お礼を言う間もなく去って行く楽俊に、祥瓊は自然と頭を下げた。これは祥瓊にとって心から「ありがとう」と思って行った初めての礼だった。

(〜NHK HP)

妖魔が出没し、どこか寂れた雰囲気のする柳の国から、国境を越えて初めて延の国を見た祥瓊。眼下に広がる壮大な町並みに驚く。

「・・・凄い!!これが延なの??!!」
「北方では、最も豊かな国だからな〜」
「何がとれるの?玉とか石??」
「いや〜、めぼしい鉱山は何もね〜。土地だけだ」
「え〜っ?!」驚く祥瓊。
「小麦を作り牛を飼う。それで終わり」
「でも・・・柳や私の国とはまるで違う・・・」
「そりゃ〜・・・主上の格の違いだな。500年傾いたことが無いってのは物凄く大きな違いなんだよ」
「でも・・・・」茫然と町並みを眺める祥瓊・・・。
「玉座が空になることが無ければ天災が少ない。農地も増え、穀物の蓄えも出来る。治水も街の整備も、隅々まで一つの方針で貫かれている。王が短命な国はかわいそうだ・・・。どんな立派な店や畑を持っても、洪水一発で流されちまったりする」
「・・・そうか・・・芳もそうなるのね。天災で穀物も採れなくなり皆飢えて・・・王がいなくなったばかりに・・・」

宿の部屋で、祥瓊は自分の過去を振り返る。そして・・・芳の民の行く末を思う。

「楽俊の言葉に反発しながら、その言葉が染み渡ってくるのを私は感じていた。傾きかけているという柳の風景は・・・明日の、いや・・・今の芳国の姿だった・・・。王がいない国はどうなるのか・・・私は知らなかった・・・ただ分かっている振りをしていただけだったのだ・・・」

「私・・・何も知らないのね・・・・」
「恵州侯のなさりようは、酷く思えたかも知れね〜が・・・」
「分かってる・・・。国がどんな状態か・・・私は只王宮で遊ぶだけで知ろうともしなかった。だから・・・・その事に対する罰なの・・・・。私は何も分かっていなかった。だから月渓は、私の仙籍を奪って・・・そうしたら私は一人で生きていけやしないから、里家に預けた・・・」

「私は・・・・愚かだった・・・」

「あいつも・・・そう言ってたな。自分は愚かだ・・・それで王になって良いのかって・・・」
「えっ??・・・誰のこと??」
「え、あ〜〜・・・い、いや〜〜・・・」ごまかそうとする楽俊。(笑)
「楽俊。旌券を見せてもらっても良い?」
「・・・う、うん・・・」仕方なく差し出された楽俊の旌券。手にして驚く祥瓊。
「この旌券・・・雁国の冢宰が裏書している!!・・・どういうこと??!!」
「冢宰には面識がね〜。ただ・・・すう虞を貸してくれた人が・・・。オイラ・・・たまたま景王と知り合いなんだ・・・それで・・・」
「えっ!」驚く祥瓊。
「・・・・・なぜ??・・・」
「・・・オイラは・・・ご覧の通りの半獣だけどな〜、あいつは・・・人と人との間には立ってる場所の距離しか、隔たりはね〜んだって言った。だから・・・うん・・オイラはあいつの友達なんだ。行き倒れてるのを拾ったんだ・・・それで、延まで連れて行った」
「・・・行き倒れる??・・・景王が??」
「海客だからな〜〜・・・。巧の乍王は海客には厳しいお方だったからな〜」
「そんな苦労を・・・」言葉を失う祥瓊。
「最初は、あいつを送り届ければ、そのご褒美に仕事でももらえるかもって・・・だけど、あいつといる内に、それってどうも卑屈なんじゃね〜かと思ってさ・・・。でも、ご褒美をくれるってんで、するっと大学に入りて〜って言っちまった・・・」

「オイラがあった頃の景王と、牢の中のアンタが同じに見えた・・・」
「わ、私が??」困惑する祥瓊。
「苦しくて苦しくて・・・辛抱できないって顔してた・・・」
思わず納得して・・・苦笑する祥瓊・・・。
「それで・・・私も拾われたのね・・・」
「そう言うめぐり合わせなんだって言ったろう?」
微笑む祥瓊。

「景王は・・・どんな人?」
「歳は〜祥瓊と同じぐらいだな〜。けど、祥瓊の方が女らしい。あいつ、ぶっきら棒な所があるからな〜〜」
「便りはあるの?」
「それが・・・あいつ・・・今行方不明なんだ」
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陽子の辛い状況を話す楽俊。

「王がいなくなったら、また国が荒れることになる・・・」つぶやく祥瓊。
「あ〜・・・。だがオイラには、陽子の考えている事が分かるような気がする。あいつは何も知らね〜。でも知らね〜からって、官吏の言う事ばかり聞いていたら、そいつらの顔色ばっかり伺っていることになる。官吏は自分の都合の良いように国を動かそうとするからな・・・。あいつは自分で何も決められね〜で・・・自分が命を狙われても何でそうなるのかも分からね〜。きっと・・・それが嫌だったんだ・・・」
「じゃ〜・・・」
「多分あいつは・・・今必死に・・・ここで・・・この世界で生きているんだと思う・・・。この世界を知って・・・自分のするべきことをして・・・もう一度玉座に戻ってくる・・・
「分からないわ・・・辛くて逃げ出すかも・・・」うつむく祥瓊。
「オイラ・・・あいつを信じてる・・・」
「えっ??」
驚いて楽俊を見つめる祥瓊。

夕暮れの空を見つめる半獣の、透明な眼差し・・・。それを見た祥瓊は・・・微笑む・・・。

別れる前に楽俊は言う。

「芳の公主は、知っておくべき事を知らかったから罰せられた・・・。それはもう、悔やんでも始まらない・・・。けど、祥瓊の人生は始まったばかりだろ〜!!」
目を見張る祥瓊。
「王なら一度失敗すればやり直しはきかね〜・・・でも今の祥瓊は・・・ただの民だ・・・。やり直しのきかね〜ことなんかね〜!!」
涙ぐむ祥瓊。
「私・・・やっぱり慶に行ってみたい。自分を愚かだって言った人が、どんな国を造るか・・・見てみたい・・・」
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第31話「転章」は祥瓊の目覚めの様子をじっくりと見せてくれます。楽俊の懐の深さと豊かな・・・毛皮、じゃね〜!!毛並みも!!(爆)あっ、それからの鈴の今までのこと、それから「あいつ」の事もちょっと・・・。


第32話からはワンシーンだけ・・・。

御名御璽を求めて陽子の元にやってきた景麒。景麒の口から、官が陽子は逃げ出したと噂していることを聞いて陽子は言う。

「それは、確認する必要があることか?!!」陽子の強い口調に戸惑う景麒・・・。
「誰が疑わなくとも、私だけは、私の王たる資質を疑っている。だから・・・たとえ世界中の誰もが疑っても・・・お前だけは・・・私を信じなくてはならない!!」
景麒を見据えて告げる陽子。すぐに表情を緩めて・・・。
「私は・・・お前を信じている・・・」
「はい・・・」
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面白い主従である・・・。(笑)

第32話は「あいつ」の周りに引き寄せられていく3人の娘達の様子が。ここからストーリーは大きく動き出す!!それぞれの道筋があるときは交わり、また離れていく。しっかりと見届けてくださいね。

楽俊と陽子。それぞれの「信じる」という言葉・・・ゆるぎない信頼の証が印象的です・・・。

残念なのは、このあたりから絵がね〜・・・ドンドン崩れて行くんです。ま〜大目に見てやってください。(笑)王冠2

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